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エムアップ Research Memo(1):上期業績は堅調に推移。VR事業や電子チケット事業への参入でも前進

注目トピックス 日本株
■要約

1. 会社概要
エムアップ<3661>は、携帯コンテンツ配信事業を主力とし、人気アーティスト等のファンクラブサイトの運営を軸としながら、アニメやキャラクターを使用したエンタメ系コンテンツ、ファンメール、電子書籍といったデジタルコンテンツからeコマースに至るまで、アーティストを中心に幅広い領域でビジネスを手掛けている。代表取締役の美藤宏一郎(みとうこういちろう)氏は、音楽業界(レコード会社)出身者。アーティストやタレント、スポーツ選手、キャラクター等の獲得に強みがあり、多岐にわたるカテゴリーやジャンルで数多くの公式サイトを展開する。携帯コンテンツやeコマース市場の拡大などを背景として同社業績も堅調に推移してきた。また、足元では、各事業会社との戦略的提携やM&Aにより、市場拡大が期待されるVR事業及び電子チケット事業にも参入しており、同社は新たな成長ステージを迎えている。

2. 2019年3月期上期決算の概要
2019年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比13.0%増の2,026百万円、営業利益が同6.6%減の147百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が2,524百万円(前年同期は105百万円の利益)と増収及び営業減益となったが、ほぼ計画どおりの進捗とみられる。また、大幅な親会社株主に帰属する四半期純損失となったのは、EMTGの完全子会社化に伴う会計技術的な特殊要因(詳細は後述)によるものであり、決して業績の悪化や財務上の実質的な損失を示すものではない。売上高は、好調なeコマース事業が増収に大きく寄与した。また、ファンクラブサイトやコンテンツ関連ビジネスについても堅調に推移している。損益面で営業減益となったのは、新規事業投資や人材の採用、M&A費用など先行費用によるものである。また、活動面においても、VR事業の立ち上げや電子チケット事業への参入(EMTG(株)の完全子会社化)など、今後の成長ドライバーの育成に向けて大きな成果を残したと評価できる。

3. 2019年3月期の業績予想
2019年3月期の業績予想として同社は、売上高を前期比71.1%増の6,300百万円、営業利益を同5.2%増の325百万円、親会社株主に帰属する当期純損失を2,300百万円(前期は96百万円の利益)と見込んでいる。EMTGの連結化(2018年10月1日より)が増収に大きく寄与した。一方、損益面では、EMTGの連結化による利益貢献をほとんど見込んでいないことに加え、新規事業投資の継続等により緩やかな営業増益にとどまる見通しである。なお、EMTGの利益貢献を見込んでいないのは、1)のれん償却費の計上のほか、2)ソフトウェア資産の一括費用処理、3)EMTGの本社移転費用といった一時的なコスト要因が理由である。したがって、2020年3月期以降については、2)及び3)の解消により利益率の水準も回復に向かうものとみられる。

4. 今後の事業戦略
今後の事業戦略のポイントは、1)基盤強化の継続、2)事業シナジーの追求、3)積極的な事業投資による成長加速である。具体的には、強力IPの獲得に向けた活動(基盤強化)を継続するとともに、IPと動画配信ノウハウを生かした独自のVR事業の展開、並びにIPとアプリの組み合わせによる公式アプリ展開(ファンメールを含む)といった事業シナジーの追求を目論む。また、電子チケットサービスを同社のファンクラブサイトやVRライブ事業へ導入するととともに、他社アプリへのOEM供給、チケットトレードセンター機能を活かした2次流通市場の創出など、成長加速に向けた新規事業投資にも積極的に取り組む方針である。弊社でも、市場拡大が期待されるVR事業や電子チケット事業への参入が、中長期的な成長加速に結び付く可能性が高いと評価している。特に、VR事業については、同社ならではのIP獲得やVR体験の提供のほか、課金ポイント(マネタイズ)の巧拙が成功のカギを握るだろう。また、電子チケット事業についても、デファクトスタンダードと成り得る事業モデルとしての優位性はもちろん、会員の囲い込みによるクロスセルや2次流通市場の創出など、様々な可能性を秘めていることから、今後の展開に注目したい。

■Key Points
・上期業績は、会計技術的な特殊要因を除けば、堅調に推移(計画どおりの進捗)
・市場拡大が期待されるVR事業や電子チケット事業(EMTGの完全子会社化)でも大きな成果
・2019年3月期の業績は、EMTGの連結化に伴い大幅な増収となるものの、損益面ではソフトウェア資産の一括費用処理等により緩やかな営業増益にとどまる見通し
・今後も強力IPの獲得を強化するとともに、VR事業や電子チケット事業を含む事業シナジーの創出により成長を加速する方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)




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