平成最後に振り返る−「リーマンショック」期でも売上高を更新し続けた企業イー・ギャランティ 江藤公則社長インタビュー(2)
[19/02/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
イー・ギャランティ<8771>がジャスダックに上場したのは2007年、その後、すぐに“リーマンショック”に突入することになる。しかし、同社はリーマンショックの真っ只中でも、ショックの後でも『売上高・利益ともに更新し続け』、12期連続増収増益を誇り、現在は東証1部の企業へと成長しました。同社の強さはどこにあるのか?
??リーマンショックという金融危機を経て、不景気、アベノミクス以降の低金利政策、どの局面でも成長を続けてきたイー・ギャランティの真実に第1回で迫りました。今回は、イー・ギャランティが見据えた次なる戦略について、深掘りしていきます。
■次なる視点は“ベンチャー系企業と連携したい企業のサポート”
企業のデータが集まってきたからこそ、同社ができる分野が「ベンチャー企業の分野」になります。優秀なベンチャー企業は、革新性やスピード感、スケール感など、成長のスピードが非常に早いです。良い製品やプラットホーム、システムを持っています。ただ、老舗の大企業にとっては、ベンチャー企業との最初のお取引は社内稟議で通りにくいことがあります。決算書や実績がないため、大企業にとってはリスクが高くなります。そこで、ベンチャー企業の売上債権の保証をすると、当然、保証料は高くなってしまいます。同社では、高めの保証料でいただきますが、その代わり、事故がなければ、例えば保証料半分お戻しするスキームを組んでいます。むしろ、保証料という感覚ではなく、販売促進費、開発費的な感覚でご利用いただくことで、大企業が、思い切ってベンチャー企業との取引にチャレンジできます。これにより、日本のベンチャー企業の成長にも寄与できると考えております。
■“中国向け輸出債権保証のサービス”??代金回収に不安を抱く日本企業をサポート
海外のリスクの引き受けは以前から需要があります。国内基盤が整ってきた頃から、北米、ヨーロッパ、台湾、韓国、中国で輸出債権保証サービスを行っています。具体的には、現地の与信は海外の金融機関が行い、リスクの引き受け先も提携先になります。そのため、現地の保証会社・金融機関と提携できたところから順次保証引受けをスタートしています。現在、日本から中国向けの輸出額は、年間約18兆円と米国に次ぐ輸出先である一方で、中国企業の財務情報や信用情報が入手しにくい現状があります。また、昨今の米中貿易摩擦や金融引き締めによる企業の債務不履行リスクが高まっています。それにより、代金回収に不安を抱く日本企業が多く、その部分の保証サービスを同社では行っています。今後、この事業は東南アジアにも拡大予定です。海外向け輸出債権の保証サービスの分野に関しても、今後強化していく方針で、輸出債権保証業務のノウハウを持つフランス系大手信用保険グループのコファスグループからコファス・ジャパン・ファイナンスを2012年1月に買収しています。
■業務提携数の“幅の広さ”がリスクコントロールにつながる
51地方銀行、7 信用金庫の提携数を誇ります。更に、直近では最近はリコーリースとの提携など、従来の提携先から幅を持たせています。その他金融会社、商社などとも業務提携を結んでおり、こうした提携企業から新規顧客の紹介を受けることも多いです。ほぼ全国の主要エリアはカバーし、日本国内においては顧客開拓のための販売チャネルは確立されています。今後は、融資と連携した商品など、地銀など提携先の本業である売上につながるような連携をさせていただきたいと思っております。
■専門性の向上及びマーケット機能の強化
従来の金融機関には引受け難い複雑で多様な信用リスクの受託や、流動化に特化した企業を目指していきます。そのため、信用リスクの引受、分析、審査、流動化というビジネスプロセスの洗練に取り組み、その基盤となる審査力を強化しリスク分析能力を高めています。ノウハウの蓄積や専門性の高い社員の育成を通じて、高度なリスク分析力に基づいたリスクコントロールが可能となる体制を構築し、リスクの引受の拡大を図っていきます。
■組織が若い、専門性の高い“社員育成”
正社員が約170名のうち、入社5年目の社員が100名なのです。27歳が半分以上の組織です。同社のサービスは日本で唯一の企業なので、たとえ中途採用であっても提供した経験のある人はいないのです。営業職も中途採用したからといって、そのまま即戦力になるわけではないです。だからこそ、新卒採用でゼロからの教育に力を入れています。月に2回金曜日の夕方に行う研修では、実務の研修だけではなく、聞く力など、人生を通して必要なスキル研修も行っています。その中で、私が従業員に伝える事はビジネスでは「誠実」であることを教えます。私自身が自分の都合の悪いこともしっかり相手に伝える、「ビジネスにおいて誠実」であることが何よりも大切だと考えているからです。若い世代の彼らが、本質的に大切にすべき事を学び、その上で専門性を高め・スキルアップすることで豊かな社会人として成長していく姿を頼もしく感じています。
■中期目標として連結経常利益50億円の達成を目指す
平成の時代を生き抜き、東証1部に上場した後も企業業績は堅調に推移しています。投資家の皆さまの応援のもと、成長を続ける事ができました。今後、同社は更なる成長と飛躍を掲げています。中期の経営目標として、連結経常利益で50億円をターゲットとしています。50億円を達成するためには、 保証残高で前期末から約2倍の規模となる7,000〜8,000億円が目安となります。現状の15%増ペースで拡大が続けば5年後の2023年3月期には射程圏内に入ってくると考えております。
■新しい金融事業とセットで保証をスタート
フィンテック分野にも参入しています。例えば、BtoB、BtoCのネット系ベンチャーのフィンテック部分で同社はサポートを開始しています。保証事業を行ってきた強みがあり、リスクを取れない部分に入り込む事を得意として、新しい金融分野にも事業展開しています。審査依頼が年間約30万社になりますと、『どの企業がどの企業とどんな取引をしている』というデータや、『どのような支払い状況』があるか等を把握できます。この情報を使って、次なるビジネスを考えています。例えば、ある企業は企業規模が小さいが、データをもとに審査を行うと、もう少し保証枠を大きく取れる事ができるようになります。当社にはデータサイエンティストが在籍していますので、溜まってきたデータをいよいよ活用できるステージに入ってきたと言えます。
【インタビューを終えて】成長を続ける企業は、従業員の教育を大切にしている。やりがいのある仕事ができることで人は輝き、それが集合となり、企業は輝く。イー・ギャランティは企業としての本質の部分を大切にし、基盤を強固にした上で、攻めの中長期戦略を打ち出しています。ベンチャー企業との取引、データサイエンティストによるビッグデータの活用、中国輸出債権の保証など、世の中のニーズに合致した分野に注力する同社には引き続き注目です。
(フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子)
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??リーマンショックという金融危機を経て、不景気、アベノミクス以降の低金利政策、どの局面でも成長を続けてきたイー・ギャランティの真実に第1回で迫りました。今回は、イー・ギャランティが見据えた次なる戦略について、深掘りしていきます。
■次なる視点は“ベンチャー系企業と連携したい企業のサポート”
企業のデータが集まってきたからこそ、同社ができる分野が「ベンチャー企業の分野」になります。優秀なベンチャー企業は、革新性やスピード感、スケール感など、成長のスピードが非常に早いです。良い製品やプラットホーム、システムを持っています。ただ、老舗の大企業にとっては、ベンチャー企業との最初のお取引は社内稟議で通りにくいことがあります。決算書や実績がないため、大企業にとってはリスクが高くなります。そこで、ベンチャー企業の売上債権の保証をすると、当然、保証料は高くなってしまいます。同社では、高めの保証料でいただきますが、その代わり、事故がなければ、例えば保証料半分お戻しするスキームを組んでいます。むしろ、保証料という感覚ではなく、販売促進費、開発費的な感覚でご利用いただくことで、大企業が、思い切ってベンチャー企業との取引にチャレンジできます。これにより、日本のベンチャー企業の成長にも寄与できると考えております。
■“中国向け輸出債権保証のサービス”??代金回収に不安を抱く日本企業をサポート
海外のリスクの引き受けは以前から需要があります。国内基盤が整ってきた頃から、北米、ヨーロッパ、台湾、韓国、中国で輸出債権保証サービスを行っています。具体的には、現地の与信は海外の金融機関が行い、リスクの引き受け先も提携先になります。そのため、現地の保証会社・金融機関と提携できたところから順次保証引受けをスタートしています。現在、日本から中国向けの輸出額は、年間約18兆円と米国に次ぐ輸出先である一方で、中国企業の財務情報や信用情報が入手しにくい現状があります。また、昨今の米中貿易摩擦や金融引き締めによる企業の債務不履行リスクが高まっています。それにより、代金回収に不安を抱く日本企業が多く、その部分の保証サービスを同社では行っています。今後、この事業は東南アジアにも拡大予定です。海外向け輸出債権の保証サービスの分野に関しても、今後強化していく方針で、輸出債権保証業務のノウハウを持つフランス系大手信用保険グループのコファスグループからコファス・ジャパン・ファイナンスを2012年1月に買収しています。
■業務提携数の“幅の広さ”がリスクコントロールにつながる
51地方銀行、7 信用金庫の提携数を誇ります。更に、直近では最近はリコーリースとの提携など、従来の提携先から幅を持たせています。その他金融会社、商社などとも業務提携を結んでおり、こうした提携企業から新規顧客の紹介を受けることも多いです。ほぼ全国の主要エリアはカバーし、日本国内においては顧客開拓のための販売チャネルは確立されています。今後は、融資と連携した商品など、地銀など提携先の本業である売上につながるような連携をさせていただきたいと思っております。
■専門性の向上及びマーケット機能の強化
従来の金融機関には引受け難い複雑で多様な信用リスクの受託や、流動化に特化した企業を目指していきます。そのため、信用リスクの引受、分析、審査、流動化というビジネスプロセスの洗練に取り組み、その基盤となる審査力を強化しリスク分析能力を高めています。ノウハウの蓄積や専門性の高い社員の育成を通じて、高度なリスク分析力に基づいたリスクコントロールが可能となる体制を構築し、リスクの引受の拡大を図っていきます。
■組織が若い、専門性の高い“社員育成”
正社員が約170名のうち、入社5年目の社員が100名なのです。27歳が半分以上の組織です。同社のサービスは日本で唯一の企業なので、たとえ中途採用であっても提供した経験のある人はいないのです。営業職も中途採用したからといって、そのまま即戦力になるわけではないです。だからこそ、新卒採用でゼロからの教育に力を入れています。月に2回金曜日の夕方に行う研修では、実務の研修だけではなく、聞く力など、人生を通して必要なスキル研修も行っています。その中で、私が従業員に伝える事はビジネスでは「誠実」であることを教えます。私自身が自分の都合の悪いこともしっかり相手に伝える、「ビジネスにおいて誠実」であることが何よりも大切だと考えているからです。若い世代の彼らが、本質的に大切にすべき事を学び、その上で専門性を高め・スキルアップすることで豊かな社会人として成長していく姿を頼もしく感じています。
■中期目標として連結経常利益50億円の達成を目指す
平成の時代を生き抜き、東証1部に上場した後も企業業績は堅調に推移しています。投資家の皆さまの応援のもと、成長を続ける事ができました。今後、同社は更なる成長と飛躍を掲げています。中期の経営目標として、連結経常利益で50億円をターゲットとしています。50億円を達成するためには、 保証残高で前期末から約2倍の規模となる7,000〜8,000億円が目安となります。現状の15%増ペースで拡大が続けば5年後の2023年3月期には射程圏内に入ってくると考えております。
■新しい金融事業とセットで保証をスタート
フィンテック分野にも参入しています。例えば、BtoB、BtoCのネット系ベンチャーのフィンテック部分で同社はサポートを開始しています。保証事業を行ってきた強みがあり、リスクを取れない部分に入り込む事を得意として、新しい金融分野にも事業展開しています。審査依頼が年間約30万社になりますと、『どの企業がどの企業とどんな取引をしている』というデータや、『どのような支払い状況』があるか等を把握できます。この情報を使って、次なるビジネスを考えています。例えば、ある企業は企業規模が小さいが、データをもとに審査を行うと、もう少し保証枠を大きく取れる事ができるようになります。当社にはデータサイエンティストが在籍していますので、溜まってきたデータをいよいよ活用できるステージに入ってきたと言えます。
【インタビューを終えて】成長を続ける企業は、従業員の教育を大切にしている。やりがいのある仕事ができることで人は輝き、それが集合となり、企業は輝く。イー・ギャランティは企業としての本質の部分を大切にし、基盤を強固にした上で、攻めの中長期戦略を打ち出しています。ベンチャー企業との取引、データサイエンティストによるビッグデータの活用、中国輸出債権の保証など、世の中のニーズに合致した分野に注力する同社には引き続き注目です。
(フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子)
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