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ソルクシーズ Research Memo(5):2019年12月期業績は不採算プロジェクトの一巡によりV字回復へ

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年12月期の業績見通し
ソルクシーズ<4284>の2019年12月期の連結業績は、売上高が前期比5.8%増の14,000百万円、営業利益が同1160.6%増の800百万円、経常利益が同919.4%増の800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同205.9%増の450百万円と収益はV字回復する見通しとなっている。不採算プロジェクトが一巡することによるソフトウェア開発事業の収益回復が主因となっている。現在、手持案件で業績に影響を及ぼすような不採算プロジェクトはなく、今後も予定どおり開発業務が進めば、グループ子会社も総じて増収増益となる計画となっており達成可能な水準と言える。

なお、上期業績については売上高で前年同期比0.8%増の6,500百万円、営業利益で同12.8%増の250百万円と緩やかな回復を見込んでいるが、これは前上期まで受注活動を手控えていた影響が残るため。システム開発需要は引き続き旺盛で、下期以降売上高も本格的に成長軌道に復帰するものと予想される。また、販管費については前期比3.2%増の2,200百万円と小幅な伸びにとどまる見通し。営業利益率は前期の0.5%から5.7%まで回復することになるが、5%を上回るのは2015年12月期(5.3%)以来のこととなる。


ソフトウェア開発事業、デジタルサイネージ事業ともに増収増益を見込む
2. 事業別の見通し
事業セグメント別の売上高は、ソフトウェア開発事業が前期比6.0%増の13,509百万円、デジタルサイネージ事業が同1.9%増の491百万円となる見通し。営業利益計画は開示されていないが、いずれも増益でデジタルサイネージ事業は黒字転換を見込んでいる。

ソフトウェア開発事業のうち、SI/受託開発の売上高は前期比3.7%増の11,610百万円を見込む。金融業界向けは銀行、証券向けが引き続き低迷するものの、クレジットや生・損保向けの受注が回復してきており、今期は2期ぶりに増収に転じる見通し。クレジット業界では政府によるキャッシュレス社会推進の動きや、消費増税に伴うポイント還元対応、新元号への対応、並びにセキュリティ対策の強化に向けたIT投資拡大に加えて、異業種からの参入増なども需要増要因となる。保険業界ではビッグデータを活用した新たな商品・サービスの開発が活発化しているほか、従来の代理店ビジネス中心の販売からスマートフォン等のITを活用した直販を強化する動きが出始めており、これら案件の受注獲得により売上増を見込んでいる。金融業界以外では、通信業界で5Gサービスの開始に向け対応するコンテンツやサービスの開発需要、IoTを利用した異業種との連携、並びに放送業界における4K/8K対応のためのIT投資が拡大しており、これら案件を受注していくことで売上拡大を図るほか、前期に伸長した官公庁、製造業向けについても堅調を持続する見通しとなっている。

また、損益面では不採算プロジェクトがなくなったことにより前期比で大幅増益が見込まれる。同社では不採算プロジェクトの発生を抑止するため、プロジェクトマネージャー等の体制見直しを図っており、今のところ順調に進んでいるようだ。ただ、今後も開発遅延等により不採算プロジェクトが発生する可能性はあるため、引き続きリスク要因であることに変わりない。また、外注費についてもIT技術者の人材不足が続くなか、緩やかな上昇傾向が続いており、今後も利益圧迫要因となる可能性がある。同社では外注比率に関して現在の5割程度の水準が適正と考えており、事業を拡大していくうえでは更なる協力会社の開拓が必要となってくる。

一方、ソリューションについては前期比22.5%増の1,898百万円と2ケタ増収が続く見通し。子会社のノイマンの売上高は横ばい水準が続きそうだが、本体でECサイト構築案件が拡大するほか、クラウドサービス事業も「Fleekdrive」※(クラウド型ファイル共有サービス)を中心に前期比3割増の3億円と伸張することが要因。「Fleekdrive」は、企業の情報資産である文書ファイル等を共有・管理するクラウド型オンラインストレージサービスとなる。社内だけでなく社外(取引先)とのセキュアな状態でのファイル共有が可能なほか、Officeファイルを複数人で同時編集(最大5人)できる機能(コラボレーション機能)を備えているなど、豊富な機能と使い勝手の良さから大企業を中心に導入が進んできたが、2018年後半以降は中小企業からの引き合いも増え始めており、2019年は契約社数の増加ペースが加速すると見ている。

※月額料金プラン(1ユーザ当たり)はライトプランが500円、ビジネスプランが1,500円、エンタープライズプランが4,000円からとなっており、AWS(Amazon Web Service)のプラットフォーム上でサービス提供している。法人向けIT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」による「ITトレンド年間ランキング2018」のオンラインストレージ部門で1位(2018年1月-11月の資料請求件数ランキング)に選出されている。


連結子会社の中で最も増収増益の寄与度が大きい会社はエクスモーションで、売上高は前期比19.1%増の993百万円、営業利益は同21.6%増の177百万円を見込んでいる。引き続き自動車業界向けの開発支援コンサルティングが伸びるほか、自動二輪や産業機器メーカー向けにも顧客の裾野を広げていくことで高成長を実現する戦略となっている。また、イー・アイ・ソルについても受注回復により増収増益に転じる見通しとなっている。前期に初めて大手電装品メーカー向けに導入した「IoT/予知保全システム」は、工場の製造ラインの故障を事前に予知保全することで、工場の生産性向上に寄与するシステムで、2019年12月期の売上計画には含めていないものの、既存顧客の他工場に導入される可能性が出ている。1件導入すれば売上高、利益ともに相当規模のインパクトとなるだけに今後の動向が注目される。

デジタルサイネージ事業については前期比1.9%増の491百万円となる見通し。2019年12月期は黒字転換すること優先して取り組んでいく。直近は東北エリアの復興も一段落し、アミューズメント施設からの受注も徐々に回復しつつあることから、外注費を抑制することができれば黒字転換も十分可能と見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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