エルテス Research Memo(4):過去5年間は平均成長率35%を超える水準で業績を拡大
[19/02/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■エルテス<3967>の決算動向
1. 過去の業績推移
2013年2月期からの業績を振り返ると、顧客数の拡大等により、年平均成長率35%を超える水準で順調に業績を伸ばしてきた。経常利益も株式上場を見据えた2015年2月期に一時的な損失を計上したものの、その後は順調に回復し、経常利益率は先行費用や上場関連費用等をこなしながら13%前後の水準で推移してきた。もっとも、連結決算に移行した2018年2月期は、今後の事業拡大に向けた先行投資の影響により利益水準は一旦落ち込んだが、本質的な収益力に変化はないと言える。
財務面でも、自己資本比率は2015年10月の産業革新機構等からの出資(534百万円)や2016年11月の株式上場に伴う新株発行(299百万円)により80%を超える水準で推移するとともに、「現金及び預金」も1,228百万円と高い水準にある(2018年2月末現在)。同社は、強固な財務基盤と潤沢な手元流動性を生かした戦略投資やM&Aも視野に入れているもようであり、今後の動向に注意が必要である。
2019年2月期第3四半期(累計)は増収ながら、新規事業への先行費用により減益決算
2. 2019年2月期第3四半期(累計)決算の概要
2019年2月期第3四半期(累計)の連結業績は、売上高が前年同期比2.7%増の1,231百万円、営業利益が同41.5%減の26百万円、経常利益が同49.0%減の23百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が34百万円(前年同期は19百万円の利益)と緩やかな増収にとどまるとともに、新規事業への先行費用※1により減益となった。また、最終損失を計上したのは、投資有価証券の減損(特別損失)※2と税金費用の増加※3によるものである。
※1特に、投資フェーズにある戦略子会社の損失幅拡大(新サービスの開発等)が利益を圧迫した。一方、同社単体では増益を確保しているもようである。
※2将来的な事業貢献(サービス連携や拡販、開発など)を目的としたベンチャー投資先に対する減損(約19百万円)。
※3連結子会社の業績状況を踏まえ、繰延税金資産の計上を見送った結果、税金費用が増加した。
新たに注力している「内部脅威検知サービス」の拡大が増収に寄与した。特に、提供体制を強化するための人材配置や多様な業界における新規顧客の積み上げが奏功し、足元で大きく伸びてきた。一方、緩やかな増収にとどまったのは、主力の「ソーシャルリスク事業」において、潜在顧客の掘り起こし等に取り組んでいるものの、人員不足の影響等により進捗に遅れが生じていることが理由である。もっとも、継続率の高い「モニタリングサービス」への移行は順調に進んでおり、積み上げ型の収益構造に転換してきたところは評価すべきポイントと言える※。
※「ソーシャルリスク事業」における「モニタリングサービス」の売上構成比は約55%となり、「コンサルティングサービス」を上回った。
損益面では、AIの活用(リスク判定等)による業務効率化※を進めているものの、今後の成長に向けた新規事業への先行費用(特に、研究開発活動の進捗に伴う試験研究費)の増加により、想定を下回る営業減益となった。
※リスクモニタリングのAI化により「ソーシャルリスク事業」単位では利益率が向上している。
財務面では大きな変動はなく、自己資本比率は86.5%(前期末は89.1%)と高い水準を維持するとともに、手元流動性(現金及び預金)も潤沢な状態にあることから、財務基盤の安全性や支払い能力に懸念はない。
以上から、第3四半期までの状況を総括すると、業績面では進捗に遅れ(特に利益面)がみられるものの、1)新たな成長軸として期待される「内部脅威検知サービス」が大きく伸びてきたこと、2)主力の「ソーシャルリスク事業」においても、「モニタリングサービス」への移行やリスクモニタリングのAI化により収益構造の転換が着実に進んでいること、3)新規事業(イベント安全サービス、デジタル信用調査、本人認証技術等)についても数々の進展(詳細は後述)が見られたことは、今後に向けて大きな成果と言っても良いだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 過去の業績推移
2013年2月期からの業績を振り返ると、顧客数の拡大等により、年平均成長率35%を超える水準で順調に業績を伸ばしてきた。経常利益も株式上場を見据えた2015年2月期に一時的な損失を計上したものの、その後は順調に回復し、経常利益率は先行費用や上場関連費用等をこなしながら13%前後の水準で推移してきた。もっとも、連結決算に移行した2018年2月期は、今後の事業拡大に向けた先行投資の影響により利益水準は一旦落ち込んだが、本質的な収益力に変化はないと言える。
財務面でも、自己資本比率は2015年10月の産業革新機構等からの出資(534百万円)や2016年11月の株式上場に伴う新株発行(299百万円)により80%を超える水準で推移するとともに、「現金及び預金」も1,228百万円と高い水準にある(2018年2月末現在)。同社は、強固な財務基盤と潤沢な手元流動性を生かした戦略投資やM&Aも視野に入れているもようであり、今後の動向に注意が必要である。
2019年2月期第3四半期(累計)は増収ながら、新規事業への先行費用により減益決算
2. 2019年2月期第3四半期(累計)決算の概要
2019年2月期第3四半期(累計)の連結業績は、売上高が前年同期比2.7%増の1,231百万円、営業利益が同41.5%減の26百万円、経常利益が同49.0%減の23百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が34百万円(前年同期は19百万円の利益)と緩やかな増収にとどまるとともに、新規事業への先行費用※1により減益となった。また、最終損失を計上したのは、投資有価証券の減損(特別損失)※2と税金費用の増加※3によるものである。
※1特に、投資フェーズにある戦略子会社の損失幅拡大(新サービスの開発等)が利益を圧迫した。一方、同社単体では増益を確保しているもようである。
※2将来的な事業貢献(サービス連携や拡販、開発など)を目的としたベンチャー投資先に対する減損(約19百万円)。
※3連結子会社の業績状況を踏まえ、繰延税金資産の計上を見送った結果、税金費用が増加した。
新たに注力している「内部脅威検知サービス」の拡大が増収に寄与した。特に、提供体制を強化するための人材配置や多様な業界における新規顧客の積み上げが奏功し、足元で大きく伸びてきた。一方、緩やかな増収にとどまったのは、主力の「ソーシャルリスク事業」において、潜在顧客の掘り起こし等に取り組んでいるものの、人員不足の影響等により進捗に遅れが生じていることが理由である。もっとも、継続率の高い「モニタリングサービス」への移行は順調に進んでおり、積み上げ型の収益構造に転換してきたところは評価すべきポイントと言える※。
※「ソーシャルリスク事業」における「モニタリングサービス」の売上構成比は約55%となり、「コンサルティングサービス」を上回った。
損益面では、AIの活用(リスク判定等)による業務効率化※を進めているものの、今後の成長に向けた新規事業への先行費用(特に、研究開発活動の進捗に伴う試験研究費)の増加により、想定を下回る営業減益となった。
※リスクモニタリングのAI化により「ソーシャルリスク事業」単位では利益率が向上している。
財務面では大きな変動はなく、自己資本比率は86.5%(前期末は89.1%)と高い水準を維持するとともに、手元流動性(現金及び預金)も潤沢な状態にあることから、財務基盤の安全性や支払い能力に懸念はない。
以上から、第3四半期までの状況を総括すると、業績面では進捗に遅れ(特に利益面)がみられるものの、1)新たな成長軸として期待される「内部脅威検知サービス」が大きく伸びてきたこと、2)主力の「ソーシャルリスク事業」においても、「モニタリングサービス」への移行やリスクモニタリングのAI化により収益構造の転換が着実に進んでいること、3)新規事業(イベント安全サービス、デジタル信用調査、本人認証技術等)についても数々の進展(詳細は後述)が見られたことは、今後に向けて大きな成果と言っても良いだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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