エクスモーション Research Memo(4):2018年11月期は2ケタ増収増益、自動車業界ニーズが旺盛
[19/02/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2018年11月期の業績概要
エクスモーション<4394>の2018年11月期の業績は売上高で前期比20.2%増の834百万円、営業利益で同16.4%増の145百万円、経常利益で同16.3%増の146百万円、当期純利益で同16.4%増の99百万円と2ケタ増収増益となり、ほぼ会社計画どおりの着地となった。売上高は過去最高を連続更新し、利益に関しては2期連続の増益となった。
売上総利益率は前期の43.8%から44.8%と1.0ポイント上昇した。プロジェクトの生産性向上により、労務費率が同1.3ポイント改善したことが主因だ。一方、販管費率は前期の25.8%から27.3%と1.5ポイント上昇した。株式上場に伴う関連費用36百万円を計上したことによる。このため、営業利益率は前期比0.6ポイント低下の17.5%となったが、株式上場関連費用を除いたベースでは21.8%と同3.7ポイント上昇したことになる。
顧客別売上高を見ると、SUBARU向けが前期比16.3%増の303百万円、本田技術研究所向けが同65.7%増の136百万円、トヨタ自動車向けが同22.6%増の131百万円とそれぞれ2ケタ増収となり、その他顧客向けで同8.0%増の262百万円となった。引き続き主要顧客3社がけん引役となったが、プロジェクトの内容としては自動運転やEV、コネクテッド等のCASEの案件が増加した。3社の中でも、本田技術研究所向けの増収率が大きくなっているが、これは本田技研工業の中で、開発体制の立て直しを図るため組込みソフトウェア分野における開発の生産性向上を施策の1つとして挙げており、結果、同社への引き合いが増えたものと推察される。本田技研工業は従来、IT系の大手外資系コンサルティング会社を主に利用していたようだ。なお、自動車分野における新規顧客案件としては、ディーゼル制御に対するMBD※支援プロジェクトを受注している。
※MBD(Model Based Development:モデルベース開発)とは、コンピュータ上でモデルを活用したシミュレーションで製品の設計や性能を検証し、量産までつなげる開発手法。
また、自動車業界以外での受注取り込みも進んでいる。二輪車分野では環境規制の強化が進むなか電子制御機能の搭載が加速化しており、組込みソフトウェアの品質改善に関する支援需要が増加している。具体的には、電動化に対するMBD支援やブレーキ制御に対する機能安全、MBSE※1支援などのプロジェクトを受注した。また、精密機器やデジタル家電、住宅設備機器等のレガシー資産※2に対する品質診断や改善支援等の引き合いも増加している。
※1 MBSE(Model-Based Systems Engineering)とは、複数の領域からなるシステムの開発を、全体最適なシステムズエンジニアリングとMBDを用いて進める開発手法。
※2 レガシー資産とは、長年にわたって機能追加や改修が行われ、品質的に多くの問題を抱えた組込みソフトウェアのことを指す。新たな機能追加や変更の際にその他の機能が正常に作動しない等の問題を引き起こす可能性が高く、開発の生産性低下の一因となっている。
無借金経営を継続、株式上場による資金調達で財務基盤の強化が進む
2. 財務状況と経営指標
2018年11月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比923百万円増加の1,367百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では株式発行で820百万円を資金調達したこと等により、現預金が907百万円増加し、固定資産ではコンサルティングツールの開発に伴い、ソフトウェアが13百万円増加した。
負債は前期末比27百万円増加の103百万円となった。主に未払法人税等が16百万円増加している。また、純資産は前期末比896百万円増加の1,264百万円となった。株式発行により資本金及び資本剰余金が823百万円増加したほか、当期純利益の計上に伴い利益剰余金が73百万円増加した。
経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末の82.8%から92.4%に上昇、また、有利子負債もなく、財務の健全性は十分保たれていると判断される。現状では人材投資以外に大きな投資計画はないことから、今後も財務内容は良好な状況が続くものと予想される。また、収益性について見ると、ROAは16.1%、ROEは12.2%とそれぞれ前期の水準(ROA30.6%、ROE25.3%)から低下しているが、これは株式上場により資金調達を行ったことが主因となっている。また、経常利益率について見ると2015年11月期の28.5%をピークに低下傾向が続いている。2017年11月期までは株式の上場に向けて内部管理体制の強化を図るために間接部門の人員を増やしたこと、また、採用強化のため本社オフィスを移転したことに伴う賃借料の増加等が要因となっており、2018年11月期に関しては株式上場に伴う関連費用の増加が要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2018年11月期の業績概要
エクスモーション<4394>の2018年11月期の業績は売上高で前期比20.2%増の834百万円、営業利益で同16.4%増の145百万円、経常利益で同16.3%増の146百万円、当期純利益で同16.4%増の99百万円と2ケタ増収増益となり、ほぼ会社計画どおりの着地となった。売上高は過去最高を連続更新し、利益に関しては2期連続の増益となった。
売上総利益率は前期の43.8%から44.8%と1.0ポイント上昇した。プロジェクトの生産性向上により、労務費率が同1.3ポイント改善したことが主因だ。一方、販管費率は前期の25.8%から27.3%と1.5ポイント上昇した。株式上場に伴う関連費用36百万円を計上したことによる。このため、営業利益率は前期比0.6ポイント低下の17.5%となったが、株式上場関連費用を除いたベースでは21.8%と同3.7ポイント上昇したことになる。
顧客別売上高を見ると、SUBARU向けが前期比16.3%増の303百万円、本田技術研究所向けが同65.7%増の136百万円、トヨタ自動車向けが同22.6%増の131百万円とそれぞれ2ケタ増収となり、その他顧客向けで同8.0%増の262百万円となった。引き続き主要顧客3社がけん引役となったが、プロジェクトの内容としては自動運転やEV、コネクテッド等のCASEの案件が増加した。3社の中でも、本田技術研究所向けの増収率が大きくなっているが、これは本田技研工業の中で、開発体制の立て直しを図るため組込みソフトウェア分野における開発の生産性向上を施策の1つとして挙げており、結果、同社への引き合いが増えたものと推察される。本田技研工業は従来、IT系の大手外資系コンサルティング会社を主に利用していたようだ。なお、自動車分野における新規顧客案件としては、ディーゼル制御に対するMBD※支援プロジェクトを受注している。
※MBD(Model Based Development:モデルベース開発)とは、コンピュータ上でモデルを活用したシミュレーションで製品の設計や性能を検証し、量産までつなげる開発手法。
また、自動車業界以外での受注取り込みも進んでいる。二輪車分野では環境規制の強化が進むなか電子制御機能の搭載が加速化しており、組込みソフトウェアの品質改善に関する支援需要が増加している。具体的には、電動化に対するMBD支援やブレーキ制御に対する機能安全、MBSE※1支援などのプロジェクトを受注した。また、精密機器やデジタル家電、住宅設備機器等のレガシー資産※2に対する品質診断や改善支援等の引き合いも増加している。
※1 MBSE(Model-Based Systems Engineering)とは、複数の領域からなるシステムの開発を、全体最適なシステムズエンジニアリングとMBDを用いて進める開発手法。
※2 レガシー資産とは、長年にわたって機能追加や改修が行われ、品質的に多くの問題を抱えた組込みソフトウェアのことを指す。新たな機能追加や変更の際にその他の機能が正常に作動しない等の問題を引き起こす可能性が高く、開発の生産性低下の一因となっている。
無借金経営を継続、株式上場による資金調達で財務基盤の強化が進む
2. 財務状況と経営指標
2018年11月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比923百万円増加の1,367百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では株式発行で820百万円を資金調達したこと等により、現預金が907百万円増加し、固定資産ではコンサルティングツールの開発に伴い、ソフトウェアが13百万円増加した。
負債は前期末比27百万円増加の103百万円となった。主に未払法人税等が16百万円増加している。また、純資産は前期末比896百万円増加の1,264百万円となった。株式発行により資本金及び資本剰余金が823百万円増加したほか、当期純利益の計上に伴い利益剰余金が73百万円増加した。
経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末の82.8%から92.4%に上昇、また、有利子負債もなく、財務の健全性は十分保たれていると判断される。現状では人材投資以外に大きな投資計画はないことから、今後も財務内容は良好な状況が続くものと予想される。また、収益性について見ると、ROAは16.1%、ROEは12.2%とそれぞれ前期の水準(ROA30.6%、ROE25.3%)から低下しているが、これは株式上場により資金調達を行ったことが主因となっている。また、経常利益率について見ると2015年11月期の28.5%をピークに低下傾向が続いている。2017年11月期までは株式の上場に向けて内部管理体制の強化を図るために間接部門の人員を増やしたこと、また、採用強化のため本社オフィスを移転したことに伴う賃借料の増加等が要因となっており、2018年11月期に関しては株式上場に伴う関連費用の増加が要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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