エクスモーション Research Memo(5):2019年11月期も2ケタ増収増益、最高益更新の見通し
[19/02/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2019年11月期の業績見通し
エクスモーション<4394>の2019年11月期業績は売上高で前期比19.1%増の993百万円、営業利益で同21.6%増の177百万円、経常利益で同22.7%増の179百万円、当期純利益で同22.7%増の121百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。売上高については連続で過去最高を更新し、また、営業利益や経常利益、当期純利益については4期ぶりに過去最高を更新することになる。自動車業界向けの拡大に加えて、二輪車やその他業界向けについても売上拡大が見込まれている。
上期については売上高で前年同期比12.9%増の443百万円、経常利益で同32.3%減の60百万円と増収減益となる見込みだが、これはコンサルティング要員の採用費や支払報酬費等で前年同期比35百万円の増加を見込んでいるため。今期はコンサルティング要員を10名程度増員する予定にしており、うち5名は既に採用(うち、内定者3名含む)が決まっている。2019年春の新卒採用はなく、残りについても中途採用で増員していく計画となっている。下期はこれら新規に採用したコンサルティング要員が戦力化することで、売上高、利益の一段の成長が見込めることになる。前述したように10月時点でほぼ半年分の受注が決まっていることから、上期の売上高についてはほぼ見えていると考えられる。下期についても需要は旺盛なことから会社計画の達成は十分可能と弊社では見ている。
潜在需要は旺盛で、コンサルティング要員の増強により、顧客の裾野を拡大しながら高成長を目指す方針
2. 今後の成長戦略
今後の事業展開としては、主力の自動車業界向けでCASEを中心とした最新機能の開発支援需要を確実に取り込みながら、その他業界へと顧客の裾野を広げていくことでコンサルティング事業の高成長を実現し、また、投資余力が付いた段階でコンサルティング事業のドアオープナー的な位置付けとなっている教育事業やツール事業についても強化し、収益基盤を拡充していく方針となっている。
コンサルティング事業における自動車分野以外の展開については、大手二輪車メーカー向けのプロジェクトが開始されている。二輪車の電子制御技術に関しては、自動車分野でのノウハウが生かされるため、同社にとっても手掛けやすい分野と言える。
また、レガシー資産の再生支援に関する引き合いもここにきて活発化しており、これらの需要を取り込んでいく方針となっている。IoT社会が到来するなかで、その一翼を担うエッジ(端末機器)側の組込みソフトウェアの品質は長年の機能追加等により劣化しており、品質改善に対する需要が増大しているためだ。民生機器分野では情報家電や住設機器等でIoT化が進んでいるが、ソフトウェアの品質劣化により開発の生産性が低下したり、製品の不具合が発生したりするケースが増えている。同様に、産業機器分野でもスマートファクトリー化等によって製造装置等の組込みソフトウェアの見直し要求が高まっており、これら業界での需要拡大が見込まれる。
さらに、2019年11月期から新たにスタートアップ企業が開発するソフトウェアの品質診断、改善支援などがサービス対象となりうるか、調査&トライアルを開始する予定にしている。IoTやAIを活用したソリューションサービスを手掛けるスタートアップ企業が年々増加傾向にあるが、機能拡充(ソフトウェアの改良)に伴いソフトウェアの設計品質が徐々に劣化し、開発の生産性が低下するといった問題を抱える企業が増え始めているためだ。ただ、自動車業界向けなどを中心に現状は引き合いが旺盛なため、実際にビジネスとして展開していくのは早くて2020年以降になると予想される。
当面は自動車業界やその他製造業向けのコンサルティング需要を取り込むことで、年率2ケタの売上成長が可能と弊社では見ている。また、収益性に関しても顧客の期待を上回るサービスを提供し、唯一無二の「技術参謀」としての地位を確立することで、今後も安定して高い売上総利益率を維持していくことが可能と考えられる。本社間接部門はスリム化されており、組織戦略としては今後もコンサルティング要員の増強による技術参謀集団として組織を拡大していく方針となっている。営業費用については、新規顧客の開拓が展示会への出展並びに既存顧客からの口コミ紹介のみで可能なことから、今後も小幅な増加にとどまる可能性が高い。このため、人材採用費や支払報酬費用等を除けば販管費の伸びは限定的と見られ、増収効果によって販管費率は低下し、逆に経常利益率は上昇トレンドに転じるものと予想される。同社では経常利益率の水準として過去のピーク(2015年11月期28.5%)程度までの上昇余地はあると見ているようだ。
同社の今後の高い収益成長は、「市場拡大×高利益率×組織拡大」という3つの成長エンジンによって実現していくものと予想される。リスク要因としては、コンサルティング要員の増員が計画どおりに進まない場合に、売上を伸ばすことが難しくなるといった点が挙げられる。ただ、株式上場したことによって認知度が高まり、採用状況も以前より改善しており、今後は順調に増員が進むものと弊社では見ている。また、主要顧客3社のうち、いずれかの顧客との取引が何らかの事由により停止された場合は、業績面でマイナスの影響が出る可能性があるが、現状はいずれの顧客とも良好な関係を構築しており、その可能性は極めて低い。また、経済環境が悪化し顧客企業の開発投資が削減された場合に、マイナスの影響を受ける可能性はあるが、2008年秋に発生したリーマンショック後のケースを見ると、同社は創業間もなかったものの影響を受けなかったと言う。不況期においても開発の生産性向上につながる分野への投資は削減項目としての優先順位が低く、そういう面では不況抵抗力も強いと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2019年11月期の業績見通し
エクスモーション<4394>の2019年11月期業績は売上高で前期比19.1%増の993百万円、営業利益で同21.6%増の177百万円、経常利益で同22.7%増の179百万円、当期純利益で同22.7%増の121百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。売上高については連続で過去最高を更新し、また、営業利益や経常利益、当期純利益については4期ぶりに過去最高を更新することになる。自動車業界向けの拡大に加えて、二輪車やその他業界向けについても売上拡大が見込まれている。
上期については売上高で前年同期比12.9%増の443百万円、経常利益で同32.3%減の60百万円と増収減益となる見込みだが、これはコンサルティング要員の採用費や支払報酬費等で前年同期比35百万円の増加を見込んでいるため。今期はコンサルティング要員を10名程度増員する予定にしており、うち5名は既に採用(うち、内定者3名含む)が決まっている。2019年春の新卒採用はなく、残りについても中途採用で増員していく計画となっている。下期はこれら新規に採用したコンサルティング要員が戦力化することで、売上高、利益の一段の成長が見込めることになる。前述したように10月時点でほぼ半年分の受注が決まっていることから、上期の売上高についてはほぼ見えていると考えられる。下期についても需要は旺盛なことから会社計画の達成は十分可能と弊社では見ている。
潜在需要は旺盛で、コンサルティング要員の増強により、顧客の裾野を拡大しながら高成長を目指す方針
2. 今後の成長戦略
今後の事業展開としては、主力の自動車業界向けでCASEを中心とした最新機能の開発支援需要を確実に取り込みながら、その他業界へと顧客の裾野を広げていくことでコンサルティング事業の高成長を実現し、また、投資余力が付いた段階でコンサルティング事業のドアオープナー的な位置付けとなっている教育事業やツール事業についても強化し、収益基盤を拡充していく方針となっている。
コンサルティング事業における自動車分野以外の展開については、大手二輪車メーカー向けのプロジェクトが開始されている。二輪車の電子制御技術に関しては、自動車分野でのノウハウが生かされるため、同社にとっても手掛けやすい分野と言える。
また、レガシー資産の再生支援に関する引き合いもここにきて活発化しており、これらの需要を取り込んでいく方針となっている。IoT社会が到来するなかで、その一翼を担うエッジ(端末機器)側の組込みソフトウェアの品質は長年の機能追加等により劣化しており、品質改善に対する需要が増大しているためだ。民生機器分野では情報家電や住設機器等でIoT化が進んでいるが、ソフトウェアの品質劣化により開発の生産性が低下したり、製品の不具合が発生したりするケースが増えている。同様に、産業機器分野でもスマートファクトリー化等によって製造装置等の組込みソフトウェアの見直し要求が高まっており、これら業界での需要拡大が見込まれる。
さらに、2019年11月期から新たにスタートアップ企業が開発するソフトウェアの品質診断、改善支援などがサービス対象となりうるか、調査&トライアルを開始する予定にしている。IoTやAIを活用したソリューションサービスを手掛けるスタートアップ企業が年々増加傾向にあるが、機能拡充(ソフトウェアの改良)に伴いソフトウェアの設計品質が徐々に劣化し、開発の生産性が低下するといった問題を抱える企業が増え始めているためだ。ただ、自動車業界向けなどを中心に現状は引き合いが旺盛なため、実際にビジネスとして展開していくのは早くて2020年以降になると予想される。
当面は自動車業界やその他製造業向けのコンサルティング需要を取り込むことで、年率2ケタの売上成長が可能と弊社では見ている。また、収益性に関しても顧客の期待を上回るサービスを提供し、唯一無二の「技術参謀」としての地位を確立することで、今後も安定して高い売上総利益率を維持していくことが可能と考えられる。本社間接部門はスリム化されており、組織戦略としては今後もコンサルティング要員の増強による技術参謀集団として組織を拡大していく方針となっている。営業費用については、新規顧客の開拓が展示会への出展並びに既存顧客からの口コミ紹介のみで可能なことから、今後も小幅な増加にとどまる可能性が高い。このため、人材採用費や支払報酬費用等を除けば販管費の伸びは限定的と見られ、増収効果によって販管費率は低下し、逆に経常利益率は上昇トレンドに転じるものと予想される。同社では経常利益率の水準として過去のピーク(2015年11月期28.5%)程度までの上昇余地はあると見ているようだ。
同社の今後の高い収益成長は、「市場拡大×高利益率×組織拡大」という3つの成長エンジンによって実現していくものと予想される。リスク要因としては、コンサルティング要員の増員が計画どおりに進まない場合に、売上を伸ばすことが難しくなるといった点が挙げられる。ただ、株式上場したことによって認知度が高まり、採用状況も以前より改善しており、今後は順調に増員が進むものと弊社では見ている。また、主要顧客3社のうち、いずれかの顧客との取引が何らかの事由により停止された場合は、業績面でマイナスの影響が出る可能性があるが、現状はいずれの顧客とも良好な関係を構築しており、その可能性は極めて低い。また、経済環境が悪化し顧客企業の開発投資が削減された場合に、マイナスの影響を受ける可能性はあるが、2008年秋に発生したリーマンショック後のケースを見ると、同社は創業間もなかったものの影響を受けなかったと言う。不況期においても開発の生産性向上につながる分野への投資は削減項目としての優先順位が低く、そういう面では不況抵抗力も強いと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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