ケネディクス Research Memo(1):2018年12月期は計画を上回る大幅な増益を実現
[19/03/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ケネディクス<4321>は、国内最大の独立系不動産アセットマネジメント会社である。1995年の設立以降、日本の不動産証券化ビジネスの勃興期から活躍するとともに、不動産アセットマネジメント会社の草分けとして業容を拡大してきた。メインスポンサーJ-REITの3銘柄や私募REITのほか、多数の私募ファンドを運用しており、AUM(受託資産残高)は2.0兆円を超える。国内外の機関投資家や年金基金など幅広い投資家層を顧客基盤に持つ。堅調な不動産市況に加えて、同社が目指してきた「ケネディクスモデル」※が本格稼働フェーズに入ってきたことから、ここ数年の業績は順調に拡大基調にある。最近では、ホテルや住宅を対象としたコアファンドの設立のほか、開発ファンドや海外案件など、将来を見据えた新規分野の拡大にも積極的に取り組んでいる。また、新たな不動産投資の仕組みである不動産クラウドファンディング事業についても順調に立ち上がってきた。
※不動産を自ら保有せず、グループで組成・運用するファンドが保有することにより、安定的な収益力を追求する収益モデル。
同社は、2015年に定めた長期ビジョン「Kenedix Vision 2025」のもと、2018年12月期からは、新たな3ヶ年の中期経営計画「Partners in Growth, Next 2020」をスタートした。新中期経営計画は、前中期経営計画の方向性を継承し、「ケネディクスモデルの発展期」と位置付けられている。すなわち、同社の強みである投資案件の組成力と運用力を高め、顧客投資家層を拡大し、「ケネディクスモデル」を多方面に発展・深化させることで、同社の収益基盤を一層強化する。また、機動的な投資と健全な財務体質を維持しながら、資本の有効活用と株主還元の充実を図り、不動産アセットマネジメントのリーディングカンパニーとして企業価値の一層の向上を目指す方針である。定量計画として、ROE(3年平均)10%以上、総還元性向(3年平均)50%以上を掲げている。
2018年12月期の業績は、営業収益が前期比140.5%増の63,372百万円、営業利益が同18.2%増の14,516百万円、経常利益が同19.3%増の13,663百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.3%増の12,335百万円とすべての段階利益で増益となった。AUM拡大に伴い、アセットマネジメントフィーを中心とした安定収益が増加したほか、堅調な不動産市況を背景として不動産投資損益も拡大した。また、利益成長に伴う増配や自己株式の取得により総還元性向は93.8%に上り、積極的な株主還元に取り組んでいる。
2019年12月期の業績予想※について同社は、営業総利益を前期比0.4%増の22,100百万円、営業利益を同0.6%増の14,600百万円、経常利益を同6.9%増の14,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同18.1%減の10,100百万円と見込んでいる。営業総利益は、不動産投資事業が減益となるものの、アセットマネジメントフィーを中心とした安定収益の増加によりカバーすることで増益を確保する見通しである。一方、親会社株主に帰属する当期利益が減益となるのは、前期における特殊要因(物件売却の期ずれ等)のはく落や法人税等の増加が理由であり、業績トレンドの後退を示すものではない。したがって、業績の伸びは一旦緩やかになるものの、「ケネディクスモデル」は引き続き順調に進展するものと捉えることができる。また、配当についても、安定収益基盤の確立を踏まえ、中間配当を開始するとともに、前期比8円増配の1株当たり15円(中間7.5円、期末7.5円)に大きく引き上げる予定である。
※同社はアセットマネジメント事業を中心に安定的な収益基盤を有しているが、不動産投資事業については、経済環境や不動産市場等の影響を大きく受ける状況にあり、現状では予測が困難であるため、営業収益の予想を公表していない。
同社の中長期的な成長戦略の軸は、3つのプラットフォーム(メインスポンサーREIT、私募ファンド、不動産クラウドファンディング)をそれぞれ強化するとともに、そこに同社の競争力を足し合わせることにより、AUMの成長(2025年の長期ビジョンとして4兆円)と投資家層の拡大を目指すものである。弊社でも、「ケネディクスモデル」を確立してきた同社にとって、好調な外部環境(投資対象としての不動産への注目度の高まり等)を追い風としながら、持続的な成長を実現することは可能であると評価している。注目すべきは、他社との連携等を含め、AUM拡大や「ケネディクスモデル」の更なる発展に向けた具体的な施策やその道筋にある。独自のポジショニングやビジネスモデルを展開する同社ならではの価値創造に期待したい。
■Key Points
・2018年12月期の業績は堅調な不動産市況を背景として大幅な増益を実現するとともに、積極的な株主還元を実施(総還元性向93.8%)
・AUM拡大に伴う安定収益の増加に加えて、不動産投資利益の大幅な拡大が業績の伸びに寄与。2019年1月に開始した不動産クラウドファンディングも上々の滑り出し
・2019年12月期も安定収益を軸として高い業績水準を継続する見通しであり、大幅な増配を予定
・今後も、3つのプラットフォーム(メインスポンサーREIT、私募ファンド、不動産クラウドファンディング)をそれぞれ強化することにより、AUMの成長と投資家層の拡大を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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ケネディクス<4321>は、国内最大の独立系不動産アセットマネジメント会社である。1995年の設立以降、日本の不動産証券化ビジネスの勃興期から活躍するとともに、不動産アセットマネジメント会社の草分けとして業容を拡大してきた。メインスポンサーJ-REITの3銘柄や私募REITのほか、多数の私募ファンドを運用しており、AUM(受託資産残高)は2.0兆円を超える。国内外の機関投資家や年金基金など幅広い投資家層を顧客基盤に持つ。堅調な不動産市況に加えて、同社が目指してきた「ケネディクスモデル」※が本格稼働フェーズに入ってきたことから、ここ数年の業績は順調に拡大基調にある。最近では、ホテルや住宅を対象としたコアファンドの設立のほか、開発ファンドや海外案件など、将来を見据えた新規分野の拡大にも積極的に取り組んでいる。また、新たな不動産投資の仕組みである不動産クラウドファンディング事業についても順調に立ち上がってきた。
※不動産を自ら保有せず、グループで組成・運用するファンドが保有することにより、安定的な収益力を追求する収益モデル。
同社は、2015年に定めた長期ビジョン「Kenedix Vision 2025」のもと、2018年12月期からは、新たな3ヶ年の中期経営計画「Partners in Growth, Next 2020」をスタートした。新中期経営計画は、前中期経営計画の方向性を継承し、「ケネディクスモデルの発展期」と位置付けられている。すなわち、同社の強みである投資案件の組成力と運用力を高め、顧客投資家層を拡大し、「ケネディクスモデル」を多方面に発展・深化させることで、同社の収益基盤を一層強化する。また、機動的な投資と健全な財務体質を維持しながら、資本の有効活用と株主還元の充実を図り、不動産アセットマネジメントのリーディングカンパニーとして企業価値の一層の向上を目指す方針である。定量計画として、ROE(3年平均)10%以上、総還元性向(3年平均)50%以上を掲げている。
2018年12月期の業績は、営業収益が前期比140.5%増の63,372百万円、営業利益が同18.2%増の14,516百万円、経常利益が同19.3%増の13,663百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.3%増の12,335百万円とすべての段階利益で増益となった。AUM拡大に伴い、アセットマネジメントフィーを中心とした安定収益が増加したほか、堅調な不動産市況を背景として不動産投資損益も拡大した。また、利益成長に伴う増配や自己株式の取得により総還元性向は93.8%に上り、積極的な株主還元に取り組んでいる。
2019年12月期の業績予想※について同社は、営業総利益を前期比0.4%増の22,100百万円、営業利益を同0.6%増の14,600百万円、経常利益を同6.9%増の14,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同18.1%減の10,100百万円と見込んでいる。営業総利益は、不動産投資事業が減益となるものの、アセットマネジメントフィーを中心とした安定収益の増加によりカバーすることで増益を確保する見通しである。一方、親会社株主に帰属する当期利益が減益となるのは、前期における特殊要因(物件売却の期ずれ等)のはく落や法人税等の増加が理由であり、業績トレンドの後退を示すものではない。したがって、業績の伸びは一旦緩やかになるものの、「ケネディクスモデル」は引き続き順調に進展するものと捉えることができる。また、配当についても、安定収益基盤の確立を踏まえ、中間配当を開始するとともに、前期比8円増配の1株当たり15円(中間7.5円、期末7.5円)に大きく引き上げる予定である。
※同社はアセットマネジメント事業を中心に安定的な収益基盤を有しているが、不動産投資事業については、経済環境や不動産市場等の影響を大きく受ける状況にあり、現状では予測が困難であるため、営業収益の予想を公表していない。
同社の中長期的な成長戦略の軸は、3つのプラットフォーム(メインスポンサーREIT、私募ファンド、不動産クラウドファンディング)をそれぞれ強化するとともに、そこに同社の競争力を足し合わせることにより、AUMの成長(2025年の長期ビジョンとして4兆円)と投資家層の拡大を目指すものである。弊社でも、「ケネディクスモデル」を確立してきた同社にとって、好調な外部環境(投資対象としての不動産への注目度の高まり等)を追い風としながら、持続的な成長を実現することは可能であると評価している。注目すべきは、他社との連携等を含め、AUM拡大や「ケネディクスモデル」の更なる発展に向けた具体的な施策やその道筋にある。独自のポジショニングやビジネスモデルを展開する同社ならではの価値創造に期待したい。
■Key Points
・2018年12月期の業績は堅調な不動産市況を背景として大幅な増益を実現するとともに、積極的な株主還元を実施(総還元性向93.8%)
・AUM拡大に伴う安定収益の増加に加えて、不動産投資利益の大幅な拡大が業績の伸びに寄与。2019年1月に開始した不動産クラウドファンディングも上々の滑り出し
・2019年12月期も安定収益を軸として高い業績水準を継続する見通しであり、大幅な増配を予定
・今後も、3つのプラットフォーム(メインスポンサーREIT、私募ファンド、不動産クラウドファンディング)をそれぞれ強化することにより、AUMの成長と投資家層の拡大を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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