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ケネディクス Research Memo(5):2018年12月期は安定収益が増加、不動産投資損益も拡大(2)

注目トピックス 日本株
■業績動向

5. その他トピックス
(1) メインスポンサーREITの成長
ケネディクス<4321>の成長を支える柱の1つであるベースAUMは、前述のとおり、前期末比1,003億円増の1兆4,735億円と堅実な伸びを実現することができた。特に、KDO※1については、2018年5月に3年半ぶりとなる公募増資を実施するとともに、資産の入れ替えによるポートフォリオの質の向上にも取り組んだ。KDR※2についても、前述のとおり、ジャパン・シニアリビング投資法人との合併により、ヘルスケア施設、宿泊施設を主たる投資対象に追加。また、2018年7月には、こちらも3年半ぶりとなる公募増資を実施し、資産規模は2,000億円を突破した。KRR※3については、eコマースの増加とともに需要が高まる「消費者配送型物流施設」※4を投資対象に追加。主力の「生活密着型商業施設」とユーザー(テナント)が重なることから、運営面でのシナジー効果も見込んでいる。また、将来発生し得るテナントリスク等を鑑み、資産入れ替えに向けた一部物件の譲渡を実施した(代替物件として、初の物流施設2物件を取得予定)。私募REITのKPI※5についても、国内大手機関投資家からの投資参入が続くなか、約1年ぶりとなる新投資口発行を実施すると、都心の商業施設(都市型サービス施設)に加えて、首都圏所在の大規模オフィスビル1物件の持分を取得した。投資家層も100社程度にまで拡大しており、成長余地はまだまだ大きい。

※1 ケネディクス・オフィス投資法人の略。東京経済圏を中心とする中規模オフィスビルの最大級REITである。2018年12月末のAUMは4,158億円。
※2 ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人の略。「人が居住・滞在する空間」への幅広い投資を行う住居系REITである。ジャパン・シニアリビング投資法人との合併に伴い、ケネディクス・レジデンシャル投資法人から名称変更。2018年12月末のAUMは2,214億円。
※3 ケネディクス商業リート投資法人の略。物流施設への投資で新たなステージを迎える生活密着型商業REITである。2018年12月末のAUMは2,100億円。
※4 最終消費者に商品等を届けるための物流施設。
※5 ケネディクス・プライベート投資法人の略。大規模オフィスビルを中心にホテル・商業施設等へ投資する私募REITである。2019年1月末のAUMは1,216億円。


(2) 私募ファンド(コア)の設立
同社成長のもう1つの柱である私募ファンドのAUMについても、前述のとおり、国内外の大手機関投資家との各種コアファンドの設立により、2018年12月末は前期末比441億円増の5,217億円と順調に増加基調をたどっている。2018年4月には、今後見込まれる私募ファンドへの投資需要増加に対応するため、私募ファンドビジネス専業の会社ケネディクス・インベストメント・パートナーズ(株)を設立。より専門性・機動性の高い事業体制を構築するところに狙いがある。

(3) 不動産クラウドファンディング事業の開始
野村総合研究所との協業により新たなプラットフォームとして立ち上げを推進してきた「不動産クラウドファンディング事業」についても、2019年1月より投資家登録の受付を開始。第1号ファンド※は満額申込を即日達成し、上々の滑り出しとなった。個人投資家に対してクラウドファンディングによる様々な投資機会を提供することにより、手数料ビジネスの強化を図っていくところにある。ファンド組成における様々なサポートや質の高いアセットマネジメントの提供により他社との差別化を図る戦略であり、REIT、私募ファンドに続く、第3の事業の柱(プラットフォーム)へと育成する方針である。

※六本木エリアという都内屈指のロケーションに建つホテル及び商業ビル「レム六本木ビル」を対象とする不動産担保ローン債権へ投資するファンドとなっている。募集総額は1億60万円、想定利回り2.3%(年換算)、予定運用期間約7ヶ月、最低投資額100万円(1口10万円、10口以上)。


(4) アウトバウンドファンドの運用を開始
アジアの中でも安定性と成長性の両面が見込まれるシンガポールにおいて、大型オフィスビル※を組入対象資産としたアウトバウンドファンド(約100億円)の運用を開始した。日系投資家に対して初のアジアでの共同投資機会を提供するものであった。アジア地域での不動産投資市場における同社グループのプレゼンス向上にも狙いがあり、将来の成長に向けた布石として評価することができる。

※シンガポールのビジネス中心区であるRaffles Placeの好立地に所在する大型オフィスビル「Capital Square」の25%出資持分。


6. 2018年12月期の総括
以上から、2018年12月期の実績を総括すると、堅調な不動産市況を背景として大幅な業績の伸びを実現したところはもちろん、不動産クラウドファンディング事業への参入やアジアでのアウトバウンドファンドの運用開始など、新たな成長分野の開拓においても大きな成果を残したと評価できる。特に、業績面においては、物件取得競争が厳しいなかで、同社独自のネットワークの活用によりAUMの堅実な成長を実現するとともに、安定収益が順調に伸びているところは大いに評価することができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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