GMOペパボ Research Memo(7):19年12月期は「minne」の黒字化により営業利益は2倍増となる見通し
[19/03/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■GMOペパボ<3633>の今後の見通し
1. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期からGMOクリエイターズネットワークを連結対象子会社とすることに伴い、連結業績での開示を行う。前期の単独業績との比較で見れば、売上高は前期比12.2%増の9,200百万円、営業利益が同103.1%増の950百万円、経常利益が同83.6%増の962百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同46.5%増の684百万円といずれも過去最高を更新する見通しだ。
すべての事業セグメントで増収を見込んでいることに加えて、「minne」がプロモーションコストの減少により、サービス開始以降初めて黒字化することが増益要因となる。営業利益の増減要因を見ると、増収による利益増(337百万円)やプロモーションコストの減少(552百万円)、その他コストの減少(28百万円)が増益要因となり、人件費の増加(434百万円)を吸収する格好となる。なお、GMOクリエイターズネットワークについては売上高で2億円強が見込まれるものの、のれん償却費の計上等もあって利益面では若干の減益要因になると考えられる。
「minne」は収益の複層化を図ることで更なる成長を目指す
2. 主要事業の見通し
(1) ホスティング事業
ホスティング事業は、売上高で前期比4.0%増の4,596百万円、営業利益で同8.1%減の1,300百万円となる見通し。「ムームードメイン」は顧客単価の上昇により増収増益が続くが、「ロリポップ!」で微増収減益を見込んでいることが減益要因となる。「ロリポップ!」は前期に契約件数が減少に転じたことを受け、その対策としてサーバー増強などの設備投資を行い、スペック向上(高速・大容量化)に取り組むほか、プロモーション施策の強化により契約件数の増加に取り組んでいく。これら対策費用として、減価償却費が前期比0.2億円増、広告宣伝費が同0.8億円増と合わせて1億円のコスト増要因となる。2019年1月の契約件数は前月比で増加に転じており、これらの施策によって契約件数は今後回復に向かうものと予想される。全体的にみれば顧客単価の上昇傾向が続いていることから、やや保守的な計画になっていると見られる。
(2) EC支援事業
EC支援事業は、売上高で前期比17.3%増の2,426百万円、営業利益で同14.1%増の948百万円と2ケタ増収増益となる見通し。主力の「カラーミーショップ」については7%台の増収増益を見込んでいる。顧客件数はしばらく微減傾向が続くものの、顧客単価の上昇が続くほか機能の拡充を図るためサードパーティが開発したシステムや機能をアプリストアで提供していく計画となっており、サービス機能の拡充による収益拡大を見込んでいる。アプリストアは2019年12月期上期にリリースする予定で、商品レコメンド機能や商品配送効率化、実店舗連携機能など様々なアプリを用意する。顧客は月額数百円の利用料を支払うことでこれら機能を利用することが可能で、同社は販売手数料を売上として計上する仕組みとなる。
また、同社は「カラーミーショップ」利用店舗の総流通額拡大に向けた取り組みも進めていく。前述したように顧客店舗の育成を図ることが同社の収益拡大にもつながるためだ。2018年12月期の総流通額は1,300億円と5年前の800億円から年率10%程度のペースで拡大が続いている。ここ数年は、取扱商材が多様化してきたこともあり、様々なニーズに応えるため商材ごとに細分化したプラットフォームの構築に関する検討を開始している。
一方、オリジナルグッズ作成・販売サービス(SUZURI、Canvath)は、売上高で前期比45%増の796百万円、営業利益で同101%増の129百万円と高成長を見込んでいる。「SUZURI」はクリエイターの育成支援を行う場としての認知度が向上しており、売上高で6億円程度、営業利益で70百万円程度まで拡大するほか、「Canvath」についても2018年末に手数料率の見直しを実施したことにより、売上高で2億円程度、営業利益で60百万円程度まで拡大する見込みとなっている。
(3) ハンドメイド事業
ハンドメイド事業の売上高は前期比14.6%増の1,770百万円、営業利益は77百万円(前期は682百万円の損失)と事業開始以降初めて黒字化する見通しとなっている。プロモーションコストが前期の10.2億円から3.1億円と大きく減少することが主因だ。前期まで実施してきた認知度向上のための積極的なプロモーション施策(テレビCM放映等)により流通額が120億円を突破し、また、作家数も直近で50万人を超えるなどハンドメイドのマーケットプレイスとして圧倒的な地位を確立したとの判断から、今後はプロモーション施策を購入率やリピート率の向上に軸足を置いた施策にシフトし、コストの大幅圧縮を実現する。このため、流通額については前期比7.6%増の130億円と成長率が1ケタ台に鈍化する見込みとなっている。2019年1月の実績について見れば、ポイント還元を中止したことでプロモーションコストが前年同月比68.8%減となった一方で、流通額は同19.6%増と好調な滑り出しとなっており、プロモーションコスト圧縮の影響は出ていないように思われる。
同社では今後の収益拡大施策として、「minne」の流通額拡大に伴う手数料収入の増加だけでなく、オフラインでの展開(イベント、ワークショップの開催による収益獲得)や「minne」における広告収入(作家向け、企業向け広告枠の販売)、作家への各種支援サービスなどを強化することで、収益の複層化を進めていく方針となっている。将来的には海外市場への進出も見据えており、これらが実現すれば同社の業績も大きく成長することになる。このうち、「オフライン施策等」(広告収入、各種支援サービス含む)による売上高は、2019年12月期で全体の10%程度を見込んでおり、将来的に50%程度まで引き上げていくことを目標としている。特に、広告収入に関しては「minne」の利用者層が女性層中心であるため費用対効果の高いメディアとして位置付けられ、利益面での貢献が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期からGMOクリエイターズネットワークを連結対象子会社とすることに伴い、連結業績での開示を行う。前期の単独業績との比較で見れば、売上高は前期比12.2%増の9,200百万円、営業利益が同103.1%増の950百万円、経常利益が同83.6%増の962百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同46.5%増の684百万円といずれも過去最高を更新する見通しだ。
すべての事業セグメントで増収を見込んでいることに加えて、「minne」がプロモーションコストの減少により、サービス開始以降初めて黒字化することが増益要因となる。営業利益の増減要因を見ると、増収による利益増(337百万円)やプロモーションコストの減少(552百万円)、その他コストの減少(28百万円)が増益要因となり、人件費の増加(434百万円)を吸収する格好となる。なお、GMOクリエイターズネットワークについては売上高で2億円強が見込まれるものの、のれん償却費の計上等もあって利益面では若干の減益要因になると考えられる。
「minne」は収益の複層化を図ることで更なる成長を目指す
2. 主要事業の見通し
(1) ホスティング事業
ホスティング事業は、売上高で前期比4.0%増の4,596百万円、営業利益で同8.1%減の1,300百万円となる見通し。「ムームードメイン」は顧客単価の上昇により増収増益が続くが、「ロリポップ!」で微増収減益を見込んでいることが減益要因となる。「ロリポップ!」は前期に契約件数が減少に転じたことを受け、その対策としてサーバー増強などの設備投資を行い、スペック向上(高速・大容量化)に取り組むほか、プロモーション施策の強化により契約件数の増加に取り組んでいく。これら対策費用として、減価償却費が前期比0.2億円増、広告宣伝費が同0.8億円増と合わせて1億円のコスト増要因となる。2019年1月の契約件数は前月比で増加に転じており、これらの施策によって契約件数は今後回復に向かうものと予想される。全体的にみれば顧客単価の上昇傾向が続いていることから、やや保守的な計画になっていると見られる。
(2) EC支援事業
EC支援事業は、売上高で前期比17.3%増の2,426百万円、営業利益で同14.1%増の948百万円と2ケタ増収増益となる見通し。主力の「カラーミーショップ」については7%台の増収増益を見込んでいる。顧客件数はしばらく微減傾向が続くものの、顧客単価の上昇が続くほか機能の拡充を図るためサードパーティが開発したシステムや機能をアプリストアで提供していく計画となっており、サービス機能の拡充による収益拡大を見込んでいる。アプリストアは2019年12月期上期にリリースする予定で、商品レコメンド機能や商品配送効率化、実店舗連携機能など様々なアプリを用意する。顧客は月額数百円の利用料を支払うことでこれら機能を利用することが可能で、同社は販売手数料を売上として計上する仕組みとなる。
また、同社は「カラーミーショップ」利用店舗の総流通額拡大に向けた取り組みも進めていく。前述したように顧客店舗の育成を図ることが同社の収益拡大にもつながるためだ。2018年12月期の総流通額は1,300億円と5年前の800億円から年率10%程度のペースで拡大が続いている。ここ数年は、取扱商材が多様化してきたこともあり、様々なニーズに応えるため商材ごとに細分化したプラットフォームの構築に関する検討を開始している。
一方、オリジナルグッズ作成・販売サービス(SUZURI、Canvath)は、売上高で前期比45%増の796百万円、営業利益で同101%増の129百万円と高成長を見込んでいる。「SUZURI」はクリエイターの育成支援を行う場としての認知度が向上しており、売上高で6億円程度、営業利益で70百万円程度まで拡大するほか、「Canvath」についても2018年末に手数料率の見直しを実施したことにより、売上高で2億円程度、営業利益で60百万円程度まで拡大する見込みとなっている。
(3) ハンドメイド事業
ハンドメイド事業の売上高は前期比14.6%増の1,770百万円、営業利益は77百万円(前期は682百万円の損失)と事業開始以降初めて黒字化する見通しとなっている。プロモーションコストが前期の10.2億円から3.1億円と大きく減少することが主因だ。前期まで実施してきた認知度向上のための積極的なプロモーション施策(テレビCM放映等)により流通額が120億円を突破し、また、作家数も直近で50万人を超えるなどハンドメイドのマーケットプレイスとして圧倒的な地位を確立したとの判断から、今後はプロモーション施策を購入率やリピート率の向上に軸足を置いた施策にシフトし、コストの大幅圧縮を実現する。このため、流通額については前期比7.6%増の130億円と成長率が1ケタ台に鈍化する見込みとなっている。2019年1月の実績について見れば、ポイント還元を中止したことでプロモーションコストが前年同月比68.8%減となった一方で、流通額は同19.6%増と好調な滑り出しとなっており、プロモーションコスト圧縮の影響は出ていないように思われる。
同社では今後の収益拡大施策として、「minne」の流通額拡大に伴う手数料収入の増加だけでなく、オフラインでの展開(イベント、ワークショップの開催による収益獲得)や「minne」における広告収入(作家向け、企業向け広告枠の販売)、作家への各種支援サービスなどを強化することで、収益の複層化を進めていく方針となっている。将来的には海外市場への進出も見据えており、これらが実現すれば同社の業績も大きく成長することになる。このうち、「オフライン施策等」(広告収入、各種支援サービス含む)による売上高は、2019年12月期で全体の10%程度を見込んでおり、将来的に50%程度まで引き上げていくことを目標としている。特に、広告収入に関しては「minne」の利用者層が女性層中心であるため費用対効果の高いメディアとして位置付けられ、利益面での貢献が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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