オンコリス Research Memo(8):2018年12月期は研究開発費の増加により営業損失がやや拡大
[19/03/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向と財務状況
1. 2018年12月期の業績概要
オンコリスバイオファーマ<4588>の2018年12月期の業績は、売上高が前期比26.4%減の168百万円、営業損失が1,247百万円(前期は1,078百万円の損失)、経常損失が1,230百万円(同1,087百万円の損失)、当期純損失が1,233百万円(同1,090百万円の損失)となった。
売上高のうち、医薬品事業はテロメライシンに関するMedigenからの開発協力金収入※が増加したものの、マイルストーン収入がなかったことで前期比22.4%減の152百万円となった。また、検査事業ではテロメスキャンの販売収入やWONIK、Liquid Biotechからのライセンス契約に基づく収入等を計上したものの、マイルストーン収入がなかったことで同51.1%減の15百万円となった。費用面では、テロメライシンの臨床試験が進んだことなどにより研究開発費等が前期比150百万円増の720百万円となったが、その他販管費の圧縮を図ったことで販管費全体では同58百万円の増加となり、結果、研究開発費の増分が営業損失の拡大要因となった。
※テロメライシンの治験費用が膨らむなかで、開発費用の負担軽減を目的にMedigenとの共同開発契約の改定を2017年3月に実施。従来、対象を肝細胞がんのみとしていたのに対して、新たに食道がんとメラノーマの共同開発権も付与した。これにより食道がん、メラノーマの研究開発費用の一部をMedigenから開発協力金として受領している。
なお、2018年2月に新規腫瘍アデノウイルスの開発を行う米バイオベンチャーのアンリーシュに出資を行っている(転換社債3百万ドル、すべて権利行使した場合の議決権比率は約27%)。今回の出資により国内外で研究開発を進めているテロメライシンを始めとする「遺伝子改変アデノウイルス」のプラットフォームがさらに強化されたことになる。2017年に出資したジカウイルス感染症ワクチンの開発を行う米プレシジョンも含めて、「がんと重症感染症」領域でのパイプラインを推進し、将来的なビジネスチャンスの拡大につなげていく戦略だ。
2. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期の業績見通しについては、業績に与える未確定な要素が多く、適正かつ合理的な数値算出が困難なため非開示としている。ただ、研究開発費については日米でテロメライシンの臨床試験を進めていることや、テロメスキャンの開発も進めていくことから、前期比6.7億円増の13.9億円に増加する見通しとなっている。このうち約7割はテロメライシンに関する研究開発費用となる。
テロメライシンの契約締結により黒字化を実現し、成長拡大フェーズへの移行を目指す
3. 中長期の成長イメージ
現状、同社の収入はMedigenからの開発協力金収入と既存契約先からのマイルストーン収入、及びテロメスキャンの販売収入等に限られており、期間損失が続いている状況にある。黒字化の時期としては、テロメライシンの食道がんを対象とした新規ライセンス契約の締結が1つのタイミングになると考えられる。前述したように、他の腫瘍溶解ウイルスではライセンス契約やM&Aにより数百億円規模のディールが実施されており、テロメライシンについても、同規模でのディールが纏まる可能性があるためだ。
当面はテロメライシンやテロメスキャンの新規契約や上市による販売収入の増加で収益化を目指していくことになるが、中長期的には新規パイプラインの開拓・開発、次世代テロメライシンの開発による新規契約などを進めていくことで更なる成長拡大フェーズに移行していくことを目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2018年12月期の業績概要
オンコリスバイオファーマ<4588>の2018年12月期の業績は、売上高が前期比26.4%減の168百万円、営業損失が1,247百万円(前期は1,078百万円の損失)、経常損失が1,230百万円(同1,087百万円の損失)、当期純損失が1,233百万円(同1,090百万円の損失)となった。
売上高のうち、医薬品事業はテロメライシンに関するMedigenからの開発協力金収入※が増加したものの、マイルストーン収入がなかったことで前期比22.4%減の152百万円となった。また、検査事業ではテロメスキャンの販売収入やWONIK、Liquid Biotechからのライセンス契約に基づく収入等を計上したものの、マイルストーン収入がなかったことで同51.1%減の15百万円となった。費用面では、テロメライシンの臨床試験が進んだことなどにより研究開発費等が前期比150百万円増の720百万円となったが、その他販管費の圧縮を図ったことで販管費全体では同58百万円の増加となり、結果、研究開発費の増分が営業損失の拡大要因となった。
※テロメライシンの治験費用が膨らむなかで、開発費用の負担軽減を目的にMedigenとの共同開発契約の改定を2017年3月に実施。従来、対象を肝細胞がんのみとしていたのに対して、新たに食道がんとメラノーマの共同開発権も付与した。これにより食道がん、メラノーマの研究開発費用の一部をMedigenから開発協力金として受領している。
なお、2018年2月に新規腫瘍アデノウイルスの開発を行う米バイオベンチャーのアンリーシュに出資を行っている(転換社債3百万ドル、すべて権利行使した場合の議決権比率は約27%)。今回の出資により国内外で研究開発を進めているテロメライシンを始めとする「遺伝子改変アデノウイルス」のプラットフォームがさらに強化されたことになる。2017年に出資したジカウイルス感染症ワクチンの開発を行う米プレシジョンも含めて、「がんと重症感染症」領域でのパイプラインを推進し、将来的なビジネスチャンスの拡大につなげていく戦略だ。
2. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期の業績見通しについては、業績に与える未確定な要素が多く、適正かつ合理的な数値算出が困難なため非開示としている。ただ、研究開発費については日米でテロメライシンの臨床試験を進めていることや、テロメスキャンの開発も進めていくことから、前期比6.7億円増の13.9億円に増加する見通しとなっている。このうち約7割はテロメライシンに関する研究開発費用となる。
テロメライシンの契約締結により黒字化を実現し、成長拡大フェーズへの移行を目指す
3. 中長期の成長イメージ
現状、同社の収入はMedigenからの開発協力金収入と既存契約先からのマイルストーン収入、及びテロメスキャンの販売収入等に限られており、期間損失が続いている状況にある。黒字化の時期としては、テロメライシンの食道がんを対象とした新規ライセンス契約の締結が1つのタイミングになると考えられる。前述したように、他の腫瘍溶解ウイルスではライセンス契約やM&Aにより数百億円規模のディールが実施されており、テロメライシンについても、同規模でのディールが纏まる可能性があるためだ。
当面はテロメライシンやテロメスキャンの新規契約や上市による販売収入の増加で収益化を目指していくことになるが、中長期的には新規パイプラインの開拓・開発、次世代テロメライシンの開発による新規契約などを進めていくことで更なる成長拡大フェーズに移行していくことを目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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