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ラクオリア創薬 Research Memo(1):動物薬に続いてヒト領域の新薬発売で黒字化が視野に

注目トピックス 日本株
■要約

ラクオリア創薬<4579>はPfizer Inc.(米国)の日本法人であるファイザー(株)から中央研究所が独立してできた創薬開発型バイオベンチャー。新薬の種となる開発化合物を創出し、その技術・特許を医薬品メーカーにライセンスアウト(導出)することで収益を上げるというビジネスモデルだ。消化器領域、疼痛領域を得意としており、参入障壁が高いイオンチャネル創薬において優位性を有している点に強みを持つ。

1. 動物薬に加えヒト領域での新薬発売で、創業以来初の利益黒字化の見通し
同社の2019年12月期は、2008年創業来初めてとなる利益の黒字化が予想されている。米国での動物薬2剤の順調な拡販に加え、2019年には同社初のヒト領域の新薬の販売開始や、動物薬の欧州での販売開始に伴い、ロイヤルティ収入が拡大することがその理由だ。新薬の販売開始や開発進捗に伴うマイルストン収入や、医薬品候補プログラムの導出に伴う契約一時金収入も収益を押し上げると期待されている。

2. 新中期経営計画では黒字定着を計画。次の創薬への期待感や企業としての存在感が一段階アップ
同社は2019年ー2021年の新3ヶ年中期経営計画「Gaia 2021」を発表した。その業績計画では、2019年に引き続き、2020年以降も安定的に利益を計上し、かつ増益となる見通しが示されている。安定収益であるロイヤルティによって収益のベースを作り、その上にマイルストンや契約一時金などの収益が上乗せされるという構図を想定している。“ロイヤルティ収入⇒創薬への再投資”という持続性のある資金フローを確立することで、次の新薬への期待ばかりでなく、製薬企業へのステップアップもまた期待される状況になってきたと言える。

3. 「K-CAB®」の販売開始とその後の評価次第で日米欧でのtegoprazan導出が動意づく可能性
同社の一段の成長をもたらす存在として期待が大きいのがtegoprazan(テゴプラザン)だ。導出先のCJヘルスケア(韓国)は「K-CAB®」の製品名で2019年3月に韓国販売を開始しているほか、アジアや中南米でサブライセンス活動を展開している。しかし市場規模が大きい日米欧の3地域については導出に向けた活動が続いている。「K-CAB®」は非びらん性胃食道逆流症にも適応がある点が、先行する武田薬品工業<4502>(以下、武田薬品)の「タケキャブ®」との最大の違いとなっている。非びらん性の患者数はびらん性よりも多いとされ、またプロトンポンプ阻害薬(Proton Pump Inhibitor、PPIと略される)の非びらん性に対する効果が乏しいケースも多いことから、「K-CAB®」の発売とその後の評価次第では主要3地域での導出に弾みがつくことも期待される。

■Key Points
・ロイヤルティによる安定収益を新規創薬に投資するという持続性のある資金フローが確立
・初のヒト領域医薬品は2019年3月に販売を開始。中南米やアジアでのサブライセンスの動きも活発化
・非びらん性胃食道逆流症への適応を有する「K-CAB®」の販売開始で、3大市場へのtegoprazanの導出活動に弾みがつくと期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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