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ケアネット Research Memo(3):2018年12月期は売上高、営業利益、経常利益で過去最高を更新

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年12月期の業績概要
2月13日付で発表されたケアネット<2150>の2018年12月期の連結業績は、売上高で前期比1.7%増の2,902百万円、営業利益で同15.1%増の469百万円、経常利益で同6.9%増の436百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同43.3%減の263百万円となり、当期純利益を除き過去最高を更新した。主力の医薬営業支援サービスがスペシャリティ薬のeプロモーションを中心に順調に拡大し、また、原価低減に取り組んだことが増収増益要因となった。当期純利益については累損解消による税負担の発生が減益要因となっている。なお、会社計画比で売上高が若干未達となったが、これはeプロモーションで予定していた2件のプロジェクトが顧客事由により先送りされたことによる。

セグメント別の業績を見ると、医薬営業支援サービスの売上高は前期比2.6%増の2,511百万円、営業利益は同16.5%増の1,101百万円と増収増益が続き、過去最高業績を更新した。医薬品業界において上市される新薬の中心がプライマリー医薬品(生活習慣病向け)からスペシャリティ医薬品(がん、希少疾患向け)にシフトするなかで、スペシャリティ医薬品のプロモーションに適したeプロモーションサービスの受注拡大に取り組むべく、営業体制の強化やサービスラインナップの充実を図ったことが増収要因となっている。また、収益性に関しても原価低減に取り組んだ効果により、セグメント利益率で前期比5.2ポイント上昇の43.8%と大きく上昇した。直近3年間で見ると、売上高は1.6倍、営業利益は2.0倍になるなど、同事業は順調に成長していると言える。

なお、2016年7月よりオープンした臨床医学動画メディア「MEDuLiTe」を組み合わせた製薬企業の疾患啓発活動のサポートするサービスは、主にスペシャリティ医薬品領域でターゲットとなる医師に、「新たに発売する医薬品に関連する疾患領域を印象付け、期待感を醸成し、処方に向けての準備をしてほしい」という製薬企業のニーズにこたえるものである。欧米では一般的に普及している施策だが、日本ではまだ自社商品名を出さずに販売プロモーションを行うという文化が育っておらず、導入に慎重な顧客が多いため、主力サービスとなるのは、少し先と考えられる

一方、医療コンテンツサービスの売上高は前期比4.1%減の390百万円、営業利益は同5.6%減の122百万円と2014年3月期以来の減収減益となった。医師向け教育動画サービス「CareNeTV」の売上高は有料会員数が前期末比201人増加の4,374人と順調に増加したことで、前期比4.8%増の229百万円と増収が続いたものの、医師向け教育コンテンツ「ケアネットDVD」及び「その他」の売上高が同14.5%減の160百万円と減少したことが減収減益要因となった。


無借金経営で財務内容は良好
2. 財務状況と経営指標
2018年12月期末の総資産は前期末比324百万円増加の3,102百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現預金が198百万円減少した一方で、売上債権が72百万円増加した。固定資産では主にサンバイオ株式の取得(6万株、190百万円)と期末株価の上昇で投資有価証券が486百万円増加している。

負債は前期末比21百万円減少の852百万円となった。流動負債で前受金が102百万円減少した一方、固定負債で繰延税金負債が81百万円増加した。また、純資産は前期末比346百万円増加の2,250百万円となった。配当金の支出64百万円、自己株式取得で104百万円の減少要因となったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上263百万円とその他有価証券評価差額金の増加205百万円、資本剰余金の増加41百万円が増加要因となった。

経営指標を見ると、自己資本比率が前期末比3.9ポイント上昇の72.4%と高水準で推移、無借金経営を継続していることから、財務内容は健全な水準が保たれていると判断される。一方、収益性について見ると医薬営業支援サービスの成長に伴い、売上高営業利益率は前期比1.9ポイント上昇の16.2%と上昇傾向が続いた。また、ROAやROEについては、利益の伸びよりも総資産や自己資本の伸びが大きかったことで前期比では低下したものの、それぞれ14.8%、12.7%と10%以上の水準を維持しており、収益性、資本効率ともに高水準を維持していると判断される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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