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シノケンG Research Memo(1):2020年12月期以降増収増益に転じる見通し

注目トピックス 日本株
■要約

シノケングループ<8909>は、アパートメントやマンション等の不動産販売を主力とし、付随する賃貸管理やマンション管理、家賃等の債務保証、LPガス及び電力の小売販売などのストック収益を積み重ねながら事業基盤を拡大してきた。2019年12月期以降は「アパートメント経営のシノケン」から、「ライフサポートのシノケン」へ生まれ変わることを表明し、ビジネストランスフォーメーション(事業体の進化)に取り組んでいくことで、更なる成長を目指して行く方針を打ち出している。

1. 2018年12月期の業績概要
2018年12月期の連結業績は、売上高が前期比5.1%増の111,390百万円、営業利益が同8.3%減の11,843百万円となった。営業利益で減益となるのは、リーマンショック不況直後の2009年3月期以来のこととなる。同社の主力事業であるアパートメント販売が上期までは好調だったものの、下期に入って同業他社の不正問題が発覚したこと等を契機に、金融機関の個人向け融資審査期間が長期化するなどマイナスの影響が出始めたことで、急失速したことが要因だ。ただ、ストック型ビジネスである不動産サービス事業やエネルギー事業などそれ以外の事業は順調に拡大した。また、業界初となるアパートメント物件を対象とした不動産ファンド「HTT(ハーモニーテラス東京)-1号ファンド」(2018年春組成)も、NOI利回り※で上場するREIT(レジデンス主体)を上回る5.7%を達成するなど、新規事業として順調な立ち上がりを見せている。

※NOI利回り=(年間賃料収入-経費+減価償却費)÷不動産取得価額


2. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期の連結業績は、売上高が前期比19.2%減の90,000百万円、営業利益が同27.4%減の8,600百万円と減収減益を見込む。アパートメント販売において、融資審査期間が最大40%長期化すること等によるマイナスインパクトを保守的に見積り、販売件数で前期比4割減と前第4四半期の状況が1年続くことを前提とした計画となっている。第1四半期の受注状況は前年同期比で減少しているものの、計画に対してはやや上回って推移しているものと見られ、今後、一段と国内不動産市況が悪化することが無ければ業績の下振れリスクはないと考えられる。逆に、2019年中に組成を予定している不動産ファンド「HTT-2号ファンド」については会社計画に織り込んでおらず、上振れ余地を残した格好となっている。ファンドの規模は30億円程度となる見通しで、1号ファンドの利回りが良かったこともあり、機関投資家からの引き合いも旺盛なようだ。

3. ビジネストランスフォーメーションによる成長戦略
同社はアパートメント販売を主軸とした事業展開から、ストックビジネス(不動産サービス、エネルギー事業)やライフケア事業(旧介護事業)、国内外での不動産ファンド・REITビジネスなどを新たな成長エンジンとして、収益を拡大していく新たな成長戦略を打ち出した。経常利益に占めるアパートメント販売の構成比は2018年12月期の33%から2019年12月期は8%まで低下する見込みとなっており、逆にストックビジネスやライフケアビジネスが24%から35%程度まで上昇し、2019年12月期は収益構造の大きな転換点と位置付けられる。同社は中期的に、アパートメント販売以外の事業で安定的に100億円の経常利益を稼げる収益基盤の構築を目指している。2019年12月期は80億円程度の見込みとなっており、ストックビジネスの積み上げやライフケア事業、不動産ファンド・REITビジネスの育成により目標の達成は十分可能と見られる。また、同社はこれら目標の達成に向けて必要であればM&Aも積極的に検討していく方針だ。このため、同社の業績は2020年12月期以降、増収増益路線に復帰するものと弊社では予想している。

なお、同社は成長戦略の一環として、セグメントの呼称を変更しており、これまでの「不動産販売事業」「不動産管理関連事業」「介護事業」をそれぞれ「不動産セールス事業」「不動産サービス事業」「ライフケア事業」と改称している※。

※本レポートにおいては、新呼称に改めて表記。


■Key Points
・販売用不動産は個人向けに加えて、機関投資家向け不動産ファンド組成のための販売用物件確保により増加
・ビジネストランスフォーメーションの推進により、中長期的な事業基盤強化を目指す
・ストックビジネス、ライフケア、不動産ファンド・REITを新たな成長エンジンと位置付ける

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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