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シノケンG Research Memo(8):ビジネストランスフォーメーションの推進により中長期的な事業基盤強化を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年12月期の経営方針
シノケングループ<8909>の2019年12月期の経営方針として、1)アパートメント販売に依存しない収益基盤の構築、2)ストックビジネスによる積み上げ利益の安定確保、3)国内外での不動産ファンド・REITの商品化、4)これらを加速させるための積極的なM&A、の4点に取り組んでいく方針と打ち出している。

このうち、アパートメント販売に依存しない収益基盤の構築では、ストックビジネス(不動産サービス事業、エネルギー事業、ライフケア事業)の拡大により、全体の利益に占めるアパートメント販売の構成比を引き下げていく方針となっており、中期的にはアパートメント販売以外の事業で安定的に100億円の利益確保を目標としている。ちなみに、アパートメント販売の利益構成比は2018年12月期の33%から2019年12月期は8%まで低下し、経常利益も37億円から10億円以下に減少する見込みとなっている。一方で、アパートメント販売以外の事業の利益構成比は2018年12月期の67%から2019年12月期は92%まで上昇する見込みとなっている。利益額そのものは前期の74億円から80億円強程度と1割弱の増益となるが、内訳を見るとストックビジネスの利益が前期の26.5億円から約30億円と2ケタ成長を見込んでおり、これにゼネコン事業や安定収益源の位置付けとなるマンション販売事業の利益が加わることになる。また、アパートメント販売については、2019年12月期は厳しい市場環境の影響が避けられないが、今後業界の淘汰が進む可能性があり、中期的に見れば競争環境は有利に働く可能性さえあると見られる。

2. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期の連結業績は、売上高が前期比19.2%減の90,000百万円、営業利益が同27.4%減の8,600百万円、経常利益が同25.2%減の8,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同24.5%減の5,600百万円と減収減益で見込んでいる。現状認識として、アパートメントローンについては長年の信頼による金融機関との提携ローンにより、従来どおりの取引が継続されており、足元の引き合いも順調に推移していること、一方で、個人向けローンについては審査期間が長期化しており、同要因で引渡しの遅れが発生しているとなどを挙げている。こうした現状を踏まえて、業績計画については、融資審査期間が最大40%長期化すること等によるインパクトを保守的に見積もった上で策定したとしている。

業績計画の策定時期は2018年12月で最も先行きが不透明な時期であり、アパートメント販売については前第4四半期の状況が1年通じて続くことを前提とした数字となっている。実際、年明け以降の動きについては3月まで前年同期比で減少してはいるものの、会社側の想定に対してはやや上回って推移しているようだ。今後の金融機関の融資審査の状況にもよるが、計画は上振れる可能性が高いと弊社では見ている。特に、2019年中には不動産ファンド「HTT-2号ファンド」の組成を30億程度で予定しているが、計画には織り込んでおらず上振れ要因となる可能性がある。

事業セグメント別で見れば、不動産セールス事業についてはアパートメント販売で2ケタ減収減益を見込む一方、マンション販売については安定的に利益を創出する事業基盤と位置付けており、リノベーションマンションの区分販売等にも注力しながら、前期並みの利益水準を維持していく方針となっている。また、不動産サービス事業やエネルギー事業については引き続きストックビジネスとしてアパートメント販売棟数の拡大による契約件数の積み上げを図り、2ケタ増収増益を目指す。前期は社内取引変更の影響で利益率が大きく向上したが、2019年12月期はその影響がなくなる。ただ、社内組織の効率化を進めるなど引き続きコスト削減に取り組んでいく方針で、収益性についてもさらに向上する可能性がある。

ゼネコン事業については国内で対外顧客向け受注の拡大が続くほか、海外展開についてもインドネシアにおけるアパートメント開発が進む見通しで、増収増益基調が続く見通し。また、ライフケア事業については既存の介護施設やサ高住施設の入居率が高水準となっていることから、サービス領域を高齢者・要介護者だけにとどまらず、その家族や同社物件の入居者向けに広げ、生涯を通した生活支援サービスを展開するプラットフォームの構築を進めていく方針となっている。さらに、業界の慢性的な人材不足を国内外で補うべく、介護人材の確保・育成、育成した人材のグループ内外への派遣等、教育や人材ビジネスもライフケア事業の一環として視野に入れながら事業を拡大していく。手段としてはM&Aの活用も視野に入れている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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