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ナレッジスイート Research Memo(7):2019年9月期は収益化フェーズに移行する見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年9月期の業績見通し
ナレッジスイート<3999>の2019年9月期の連結業績は、売上高で前期比127.6%増の2,202百万円、営業利益で同25.7%増の60百万円、経常利益で同19.6%増の52百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同132.2%増の138百万円と増収増益となる見通し。前述したように第1四半期は順調な立ち上がりを見せているほか、年明け以降についても「Knowledge Suite」の引き合いが旺盛なことから、会社計画を達成する可能性は高いと見られる。

売上高については前第3四半期にフジソフトサービス、当第1四半期にビクタスを子会社化した影響で大幅増収となるが、これら子会社の売上高については実質横ばい水準で計画に織り込んでいる。また、クラウドソリューション事業についても、KDDI向けや電通グループ向けについては横ばい前提で計画しており、実質的にはクラウドサービスの成長のみを見込んでいることになる。

一方、費用面では引き続き将来の成長に向けた投資を実行していく。主な投資分野としては、製品力の強化、営業力の強化、人材の強化の3つとなる。なお、のれん償却費については前期比37百万円増加の59百万円を見込んでいる。

(1) 製品力強化
製品力の強化として、中堅・中小企業向けクラウドサービスの更なる製品開発、新サービスの開発を行っていく。既に新製品として2018年12月に「ROBOT ID」、2019年1月に「Shelter」「ラクリエ求人」などの提供を開始しており、今後もRPAやIoTなどの先進技術を活用した新たなサービスの開発も進めていく予定となっている。

リリースした新製品の中では「Shelter」の引き合いが活発で、今後の収益貢献が期待される。画面操作だけで簡単に業務アプリケーションの開発を可能とするプラットフォームで、2018年7月に資本業務提携したインプリムの「Pleasanter(プリザンター)」をベースに、同社独自の機能を追加した製品となる。2019年1月末にリリースして以降、既にトライアルで数社が導入している。ただ、当初想定していた中堅・中小企業ではなくいずれも大企業からの引き合いとなっている。サービス料金がクラウド版で月額15,000円(現在はトライアル期間中で7,500円)と大企業にとってはリーズナブルな価格設定になっていることが一因と見られる。同社としては「Knowledge Suite」と顧客ターゲットが重なる中堅・中小企業のほうがシナジーを生かせると考えており、今後顧客ニーズをヒアリング調査しながら、今期中に販売戦略を見直していく方針となっている。

(2) 営業力の強化
毎月800件の引き合いに対処するための営業体制の強化が喫緊の課題となっている。同社では人的リソースが限られていることから、自社でカバーできないエリアについては販売パートナーを活用して顧客獲得を進めていく戦略となっている。「Knowledge Suite」の顧客は首都圏や九州、関西エリアに多いが、名古屋や北日本は相対的に少ないようで、これらエリアを中心にパートナーを拡充していく。販売パートナーは2018年秋に8社であったが、現在は12社まで拡大しており、今後も拡充していく方針となっている。

一方、自社の営業拠点については2019年3月に福岡と大阪に初めて営業所を開設した。九州営業所(福岡)で九州と四国エリアを、関西営業所(大阪)で関西と中国エリアをそれぞれカバーする。従来は東京本社から出張ベースで営業活動を行っていた。各営業所は3名程度の体制で顧客獲得を進めていく予定で現地採用を進めている。また、導入コンサルティングサービスについても、現在は4名で対応しているが、今後も案件が見込まれるため増員していく予定になっている。

(3) 人材の強化
人材投資に関しては引き続きエンジニアの増員並びに育成を進めていく方針としている。子会社のビクタスではIT人材の育成なども行っており、グループ間での人事交流を活発化させることでシナジーを高めていく方針となっている。また、2019年4月の新卒社員数はグループで15名と前年の7名から2倍超に増加しており、IT人材を中心に採用活動も積極化していく。


M&Aも活用しながら5年後に売上高100億円、営業利益率15%を目指す
2. 中期目標
同社は5年後に売上高100億円、営業利益率15%の目標を打ち出した。2019年9月期の会社計画から売上高で5倍弱と大幅成長を見込んでいる。先行投資フェーズから収益化フェーズに移行し、「Knowledge Suite」を中心としたクラウドサービス(OEM除く)で年率40%台の成長を続けていくと同時に、M&Aや資本業務提携等を積極的に展開していくことで成長を加速していく方針となっている。

「Knowledge Suite」については今後も更なる機能強化を進めていくほか、周辺領域でのサービス開発を進めていくことで高成長を実現していく。前述したとおり、中堅・中小企業におけるSFA/CRMツールの普及率はまだ低く、今後の成長ポテンシャルが大きいだけに、年率40%台の成長が続く可能性も十分あると弊社では見ている。

なお、M&Aの対象としては「Knowledge Suite」の周辺ビジネスを展開している企業を考えている。例えば、開発力強化につながるシステム開発会社、販売力の強化につながる導入コンサルティングを行う企業、地方主要都市で顧客地盤を持つSIerなどが候補となり、中堅・中小企業を顧客ターゲットとしていればシナジーも高めやすく、有力候補となる。規模感については手元キャッシュや有利子負債などで実施できる規模を想定している。

中堅・中小企業における営業の生産性向上だけでなく、業務全般の効率化を支援するプラットフォーマーとして今後の展開が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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