AOITYOHold Research Memo(1):持続的な成長に向けて、より質を重視した中期経営方針を公表
[19/04/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
AOI TYO Holdings<3975>は、(株)AOI Pro.と(株)ティー・ワイ・オー(TYO)の経営統合により設立された共同持株会社である。主力のテレビCMの企画・制作をはじめ、広告主直接取引やオンライン動画などのデジタルコンテンツを軸とした「ソリューション事業」などを手掛けている。業界大手2社の経営統合によりテレビCM制作においてはトップシェアを握る。
インターネットを中心としたメディア(媒体)やデバイス(スマートフォンやタブレットなど)の多様化に加え、通信速度やデータ解析、VR(仮想現実)※1やAR(拡張現実)※2などのテクノロジーの進化により業界環境が大きく変化するなかで、これまでのテレビCM制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造変化を伴いながらも拡大していくものと予想されていることが経営統合に至った背景である。経営資源の結集及び有効活用により、スケールメリットやシナジー創出を実現し、新たな価値創造と事業拡大のスピードを速めるところに狙いがあると考えられる。
※1 VR(仮想現実)とは、仮想世界を含めたあらゆる体験を、時間や空間を超えてまるで現実世界のように表現する技法やその手法のこと。
※2 AR(拡張現実)とは、現実世界で人が感知できる情報に「何かの情報」を加え、現実を「拡張」表現する技術やその手法のこと。
2018年12月期の業績は、売上高が前期比8.1%減の64,792百万円、営業利益が同25.7%減の3,433百万円と減収減益となった。売上高は、主力の「広告映像制作事業」が大きく縮小。ただ、プリントレス化の進展による影響に加えて、採算性重視の収益管理や働き方改革に伴う受注コントロールが理由であり、想定内の展開と言える。一方、利益面では、減収による収益の押し下げのほか、新システムの稼働に伴う減価償却費の増加等により減益となったものの、外部支出原価の管理により実行利益率※の改善を図ったことにより、営業利益の減少幅を限定的な範囲に抑えたと言える。また、出資・業務提携戦略の推進や「5G時代に向けた動画広告への取り組み」などにおいても、今後の事業展開に向けて一定の成果を残した。
※実行利益とは、売上高から外部支出原価を差し引いた利益である(詳細は後述)。
2019年12月期の業績予想について同社は、売上高を前期比0.3%増の65,000百万円、営業利益を同24.3%減の2,600百万円と見込んでおり、プリントレス化の継続等が想定されるなかで、売上高は前期並みを確保する一方、利益面では働き方改革への対応や人材育成・採用等を中心とする今後の成長に向けた先行投資等により2期連続で減益となる見通しである。ただ、来期以降については、プリントレス化の影響がほぼ一巡することもあり、損益面での落ち込みは底打ちし、改善に向かうものと見ている。
同社は、経営統合から2年が経過し、様々な環境変化への対応を図るため、新たに中期経営方針を公表した。これまでとの大きな違いは、「規模より質」の経営への転換である。すなわち、いかなる時代にも対応できる力強い企業体であり続けるため、ニーズや変化に対応した事業を展開すること、人材の力を最大限活用すること、適切な収益を上げ続けることを目指す姿として掲げている。また、持続可能性や株主還元等は継続して重視しており、株主資本コストを上回るROEの確保を目指していく。
■Key Points
・2018年12月期の業績は働き方改革への対応やプリントレス化の影響等により減収減益
・ただ、実行利益率の改善のほか、出資・業務提携戦略の推進や5G時代に向けた動画広告への取り組みなどにおいては一定の成果を残した
・プリントレス化の継続や成長に向けた先行投資により2019年12月期までは減益が続く見通し
・新たな中期経営方針を公表。「規模より質」の経営への転換を図り、持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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AOI TYO Holdings<3975>は、(株)AOI Pro.と(株)ティー・ワイ・オー(TYO)の経営統合により設立された共同持株会社である。主力のテレビCMの企画・制作をはじめ、広告主直接取引やオンライン動画などのデジタルコンテンツを軸とした「ソリューション事業」などを手掛けている。業界大手2社の経営統合によりテレビCM制作においてはトップシェアを握る。
インターネットを中心としたメディア(媒体)やデバイス(スマートフォンやタブレットなど)の多様化に加え、通信速度やデータ解析、VR(仮想現実)※1やAR(拡張現実)※2などのテクノロジーの進化により業界環境が大きく変化するなかで、これまでのテレビCM制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造変化を伴いながらも拡大していくものと予想されていることが経営統合に至った背景である。経営資源の結集及び有効活用により、スケールメリットやシナジー創出を実現し、新たな価値創造と事業拡大のスピードを速めるところに狙いがあると考えられる。
※1 VR(仮想現実)とは、仮想世界を含めたあらゆる体験を、時間や空間を超えてまるで現実世界のように表現する技法やその手法のこと。
※2 AR(拡張現実)とは、現実世界で人が感知できる情報に「何かの情報」を加え、現実を「拡張」表現する技術やその手法のこと。
2018年12月期の業績は、売上高が前期比8.1%減の64,792百万円、営業利益が同25.7%減の3,433百万円と減収減益となった。売上高は、主力の「広告映像制作事業」が大きく縮小。ただ、プリントレス化の進展による影響に加えて、採算性重視の収益管理や働き方改革に伴う受注コントロールが理由であり、想定内の展開と言える。一方、利益面では、減収による収益の押し下げのほか、新システムの稼働に伴う減価償却費の増加等により減益となったものの、外部支出原価の管理により実行利益率※の改善を図ったことにより、営業利益の減少幅を限定的な範囲に抑えたと言える。また、出資・業務提携戦略の推進や「5G時代に向けた動画広告への取り組み」などにおいても、今後の事業展開に向けて一定の成果を残した。
※実行利益とは、売上高から外部支出原価を差し引いた利益である(詳細は後述)。
2019年12月期の業績予想について同社は、売上高を前期比0.3%増の65,000百万円、営業利益を同24.3%減の2,600百万円と見込んでおり、プリントレス化の継続等が想定されるなかで、売上高は前期並みを確保する一方、利益面では働き方改革への対応や人材育成・採用等を中心とする今後の成長に向けた先行投資等により2期連続で減益となる見通しである。ただ、来期以降については、プリントレス化の影響がほぼ一巡することもあり、損益面での落ち込みは底打ちし、改善に向かうものと見ている。
同社は、経営統合から2年が経過し、様々な環境変化への対応を図るため、新たに中期経営方針を公表した。これまでとの大きな違いは、「規模より質」の経営への転換である。すなわち、いかなる時代にも対応できる力強い企業体であり続けるため、ニーズや変化に対応した事業を展開すること、人材の力を最大限活用すること、適切な収益を上げ続けることを目指す姿として掲げている。また、持続可能性や株主還元等は継続して重視しており、株主資本コストを上回るROEの確保を目指していく。
■Key Points
・2018年12月期の業績は働き方改革への対応やプリントレス化の影響等により減収減益
・ただ、実行利益率の改善のほか、出資・業務提携戦略の推進や5G時代に向けた動画広告への取り組みなどにおいては一定の成果を残した
・プリントレス化の継続や成長に向けた先行投資により2019年12月期までは減益が続く見通し
・新たな中期経営方針を公表。「規模より質」の経営への転換を図り、持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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