AOITYOHold Research Memo(4):2018年12月期はプリントレス化や働き方改革により減収減益
[19/04/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算概要
AOI TYO Holdings<3975>の2018年12月期の業績は、売上高が前期比8.1%減の64,792百万円、営業利益が同25.7%減の3,433百万円、経常利益が同24.3%減の3,325百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同29.8%減の1,952百万円と減収減益となった。また、修正予想(2018年8月10日付)に対しては、売上高は達成できたものの、利益面では下回る着地となっている。
売上高は、「海外事業」を除くすべての事業が減収となった。特に、主力の「広告映像制作事業」が大きく縮小。ただ、プリントレス化の進展による影響(約730百万円の減収要因)に加えて、採算性重視の収益管理や働き方改革に伴う受注コントロールが理由であり、想定内の展開と言える。また、成長領域と位置付ける「ソリューション事業」も大型案件の剥落等により伸び悩んだ。一方、「海外事業」については、マレーシアの大手広告制作会社を連結子会社化したことなどにより大きく伸びている。
顧客別の売上高では、前述のとおり、働き方改革の影響等により広告代理店向けが減少する一方、広告主との直接取引は、映像制作やイベント、PR等も含めて順調に増加している。
利益面では、減収による収益の押し下げ(特に、利益率の高いプリント売上の減少による影響)のほか、新システムの稼働に伴う減価償却費の増加等により減益となったものの、外部支出原価の管理により実行利益率※の改善を図ったことにより、営業利益の減少幅を限定的な範囲に抑えたと言える。もっとも、会社計画では実行利益率の更なる改善を見込んでいた模様であり、それが利益予想を下回った理由となったが、この部分は来期以降の改善余地として捉えることもできる。また、経営統合後の資産スリム化に向けた保有不動産及び政策保有株式の売却により特別利益(509百万円)を計上した一方、不採算子会社の整理等に伴う特別損失(351百万円)を計上した。
※実行利益とは、CM制作における売上高から外部支出原価を差し引いた利益。2018年12月期の実行利益率は35.5%(前期は33.4%)に改善した。
財政状態は、積極的な投資活動※や新システムの構築により固定資産が増加したものの、それ以上に流動資産(「現金及び預金」や「受取手形及び売掛金」等)が減少したことから、総資産は前期末比6.9%減の55,634百万円に縮小した。一方、自己資本は、自己株式取得によるマイナス分を内部留保の積み増し等によりカバーし、前期末比1.8%増の25,114百万円に増加。それに伴って、自己資本比率は45.1%(前期末は41.3%)に改善した。なお、「現金及び預金」が減少したといっても流動比率は180.5%と高い水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。
※TYOと(株)フィールドマネジメントが共同で設立したベンチャーファンドを通じた(株)パネイルへの出資(5億円)のほか、マレーシアの大手広告制作会社DTTグループの連結子会社化、アジア最大級のインフルエンサー・マーケティング会社であるタグピク(株)の株式取得(持分法適用関連会社化)によるもの。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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AOI TYO Holdings<3975>の2018年12月期の業績は、売上高が前期比8.1%減の64,792百万円、営業利益が同25.7%減の3,433百万円、経常利益が同24.3%減の3,325百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同29.8%減の1,952百万円と減収減益となった。また、修正予想(2018年8月10日付)に対しては、売上高は達成できたものの、利益面では下回る着地となっている。
売上高は、「海外事業」を除くすべての事業が減収となった。特に、主力の「広告映像制作事業」が大きく縮小。ただ、プリントレス化の進展による影響(約730百万円の減収要因)に加えて、採算性重視の収益管理や働き方改革に伴う受注コントロールが理由であり、想定内の展開と言える。また、成長領域と位置付ける「ソリューション事業」も大型案件の剥落等により伸び悩んだ。一方、「海外事業」については、マレーシアの大手広告制作会社を連結子会社化したことなどにより大きく伸びている。
顧客別の売上高では、前述のとおり、働き方改革の影響等により広告代理店向けが減少する一方、広告主との直接取引は、映像制作やイベント、PR等も含めて順調に増加している。
利益面では、減収による収益の押し下げ(特に、利益率の高いプリント売上の減少による影響)のほか、新システムの稼働に伴う減価償却費の増加等により減益となったものの、外部支出原価の管理により実行利益率※の改善を図ったことにより、営業利益の減少幅を限定的な範囲に抑えたと言える。もっとも、会社計画では実行利益率の更なる改善を見込んでいた模様であり、それが利益予想を下回った理由となったが、この部分は来期以降の改善余地として捉えることもできる。また、経営統合後の資産スリム化に向けた保有不動産及び政策保有株式の売却により特別利益(509百万円)を計上した一方、不採算子会社の整理等に伴う特別損失(351百万円)を計上した。
※実行利益とは、CM制作における売上高から外部支出原価を差し引いた利益。2018年12月期の実行利益率は35.5%(前期は33.4%)に改善した。
財政状態は、積極的な投資活動※や新システムの構築により固定資産が増加したものの、それ以上に流動資産(「現金及び預金」や「受取手形及び売掛金」等)が減少したことから、総資産は前期末比6.9%減の55,634百万円に縮小した。一方、自己資本は、自己株式取得によるマイナス分を内部留保の積み増し等によりカバーし、前期末比1.8%増の25,114百万円に増加。それに伴って、自己資本比率は45.1%(前期末は41.3%)に改善した。なお、「現金及び預金」が減少したといっても流動比率は180.5%と高い水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。
※TYOと(株)フィールドマネジメントが共同で設立したベンチャーファンドを通じた(株)パネイルへの出資(5億円)のほか、マレーシアの大手広告制作会社DTTグループの連結子会社化、アジア最大級のインフルエンサー・マーケティング会社であるタグピク(株)の株式取得(持分法適用関連会社化)によるもの。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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