クリレスHD Research Memo(1):2019年2月期は増収ながら減益。M&A戦略を軸として成長加速を目指す
[19/04/26]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■要約
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は、ショッピングセンター内のレストラン及びフードコートの運営を主力とするとともに、M&Aにより獲得した居酒屋業態や飲食店業態も展開している。集客力の高い立地へのこだわりとそれぞれの立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に見合った業態の組み合わせによるマルチブランド・マルチロケーション戦略に特徴があり、それが同社の主力事業を支えてきた。現在の店舗数は約200業態で925店舗※1となっている(2019年2月末現在)。また、ここ数年においては、駅前好立地での24時間営業により人気業態となっている海鮮居酒屋業態「磯丸水産」※2など、積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」※3を推進しており、同社は新たな成長フェーズに入っている。
※1 業務受託店舗、FC店舗のすべてを含む(以下、同様)。
※2 2013年4月に買収したSFPホールディングス<3198>が展開している。
※3 同社が推進しているグループ経営のこと。これまでは同社がグループ間シナジーを創出する太陽系型をとってきたが、今後は多様なグループ会社同士が相互にシナジーを追求する星団型へと進化を図る方針である。
2019年2月期の業績(IFRS基準)※は、売上収益が前期比2.4%増の119,281百万円、営業利益が同34.9%減の3,975百万円と増収減益となり、売上収益、利益ともに期初予想を下回った。また、2019年1月11日付けの修正予想に対しても、利益面ではさらに下振れる着地となっている。前期出店分が通年寄与したことや新規出店89店舗(内、M&A等による増加29店舗)が増収要因となった。ただ、売上収益が期初予想を下回ったのは、地震や天候不順の影響に加え、新規出店の一部を戦略的に抑制したこと、業態変更を実施した一部の店舗において業績改善効果が想定を下回ったことなどが理由である。利益面でも、原価率はほぼ想定内にコントロールできたものの、売上収益の下振れによる利益の減少や人件費が想定以上に増加したことに加え、IFRS適用に伴って減損損失が一時的に増加したことから修正予想をさらに下振れる着地となった。一方、活動面においては、IFRS適用やM&Aの実現など、今後の成長加速に向けた基盤づくりでは一定の成果を残したと言える。
※2019年2月期通期業績からIFRS(国際財務報告基準)へ移行。
2020年2月期の業績予想(IFRS基準)について同社は、売上収益を前期比4.0%増の124,000百万円、営業利益を同45.9%増の5,800百万円と増収増益を見込んでいる。売上収益は、すべてのカテゴリーが伸長する見通しである。前期出店分が通年寄与するほか、新規出店77店舗(内、M&Aによる増加分26店舗)が増収要因となる一方、不振店等の撤退も38店舗を予定している。また、既存店売上高については、業態変更や生産性向上に資する施策などを通じて前期比98.2%を確保する想定である。利益面では、引き続き原価コントロールに取り組むとともに、前期の利益を圧迫した一時的な減損損失が解消することにより大幅な損益改善を見込んでおり、重視する「調整後EBITDA」についても前期比1.7%増の11,000百万円に増加する見通しである。
同社は、顧客ニーズの多様化や競争の激化、良質な人財確保などが重要な経営課題となる一方、M&Aを取り巻く環境が追い風となっている状況等を踏まえ、改めて中期的な成長戦略の方向性を示した。すなわち、1)国内及び海外でのM&A戦略の推進、2)ブランド創出力の一層の強化、3)グループ連邦経営の更なる進化により、サスティナブル(持続可能)な力強い成長へと舵を切る方針である。また、それに伴って、新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。年間50〜60店舗の新規出店に加え、M&Aによる店舗数の増加(3年間で200店舗程度)により、最終年度(2022年2月期)の売上収益152,000百万円、調整後EBITDA16,100百万円を目指す計画となっている。
■Key Points
・2019年2月期決算は増収ながら減益となり、期初予想を下回る着地
・IFRS適用による減損損失の一時的な増加も利益を圧迫
・2020年2月期は増収及び大幅な損益改善を見込む
・国内外でのM&A戦略の推進やグループ連邦経営の更なる進化により、成長加速を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<ST>
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は、ショッピングセンター内のレストラン及びフードコートの運営を主力とするとともに、M&Aにより獲得した居酒屋業態や飲食店業態も展開している。集客力の高い立地へのこだわりとそれぞれの立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に見合った業態の組み合わせによるマルチブランド・マルチロケーション戦略に特徴があり、それが同社の主力事業を支えてきた。現在の店舗数は約200業態で925店舗※1となっている(2019年2月末現在)。また、ここ数年においては、駅前好立地での24時間営業により人気業態となっている海鮮居酒屋業態「磯丸水産」※2など、積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」※3を推進しており、同社は新たな成長フェーズに入っている。
※1 業務受託店舗、FC店舗のすべてを含む(以下、同様)。
※2 2013年4月に買収したSFPホールディングス<3198>が展開している。
※3 同社が推進しているグループ経営のこと。これまでは同社がグループ間シナジーを創出する太陽系型をとってきたが、今後は多様なグループ会社同士が相互にシナジーを追求する星団型へと進化を図る方針である。
2019年2月期の業績(IFRS基準)※は、売上収益が前期比2.4%増の119,281百万円、営業利益が同34.9%減の3,975百万円と増収減益となり、売上収益、利益ともに期初予想を下回った。また、2019年1月11日付けの修正予想に対しても、利益面ではさらに下振れる着地となっている。前期出店分が通年寄与したことや新規出店89店舗(内、M&A等による増加29店舗)が増収要因となった。ただ、売上収益が期初予想を下回ったのは、地震や天候不順の影響に加え、新規出店の一部を戦略的に抑制したこと、業態変更を実施した一部の店舗において業績改善効果が想定を下回ったことなどが理由である。利益面でも、原価率はほぼ想定内にコントロールできたものの、売上収益の下振れによる利益の減少や人件費が想定以上に増加したことに加え、IFRS適用に伴って減損損失が一時的に増加したことから修正予想をさらに下振れる着地となった。一方、活動面においては、IFRS適用やM&Aの実現など、今後の成長加速に向けた基盤づくりでは一定の成果を残したと言える。
※2019年2月期通期業績からIFRS(国際財務報告基準)へ移行。
2020年2月期の業績予想(IFRS基準)について同社は、売上収益を前期比4.0%増の124,000百万円、営業利益を同45.9%増の5,800百万円と増収増益を見込んでいる。売上収益は、すべてのカテゴリーが伸長する見通しである。前期出店分が通年寄与するほか、新規出店77店舗(内、M&Aによる増加分26店舗)が増収要因となる一方、不振店等の撤退も38店舗を予定している。また、既存店売上高については、業態変更や生産性向上に資する施策などを通じて前期比98.2%を確保する想定である。利益面では、引き続き原価コントロールに取り組むとともに、前期の利益を圧迫した一時的な減損損失が解消することにより大幅な損益改善を見込んでおり、重視する「調整後EBITDA」についても前期比1.7%増の11,000百万円に増加する見通しである。
同社は、顧客ニーズの多様化や競争の激化、良質な人財確保などが重要な経営課題となる一方、M&Aを取り巻く環境が追い風となっている状況等を踏まえ、改めて中期的な成長戦略の方向性を示した。すなわち、1)国内及び海外でのM&A戦略の推進、2)ブランド創出力の一層の強化、3)グループ連邦経営の更なる進化により、サスティナブル(持続可能)な力強い成長へと舵を切る方針である。また、それに伴って、新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。年間50〜60店舗の新規出店に加え、M&Aによる店舗数の増加(3年間で200店舗程度)により、最終年度(2022年2月期)の売上収益152,000百万円、調整後EBITDA16,100百万円を目指す計画となっている。
■Key Points
・2019年2月期決算は増収ながら減益となり、期初予想を下回る着地
・IFRS適用による減損損失の一時的な増加も利益を圧迫
・2020年2月期は増収及び大幅な損益改善を見込む
・国内外でのM&A戦略の推進やグループ連邦経営の更なる進化により、成長加速を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<ST>