クイック Research Memo(4):2019年3月期業績は9期連続増収増益でピーク利益更新
[19/06/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年3月期の業績動向
クイック<4318>の2019年3月期の業績は、売上高19,173百万円(前期比14.3%増)、営業利益2,581百万円(同17.4%増)、経常利益2,818百万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,966百万円(同20.8%増)となり、9期連続の増収増益を達成するとともに、売上高・利益とも過去最高を更新した。国内の雇用情勢については、2019年3月の有効求人倍率(季節調整値)が1.63倍、正社員有効求人倍率(季節調整値)が1.16倍、完全失業率(季節調整値)が2.5%となるなど、専門職を中心に幅広い分野で人手不足が深刻化している。このような事業環境のなか、人材の不足感が強く採用も難しい専門職の人材紹介・人材派遣サービスを積極展開するとともに、「indeed」や「ココカラ。」などサポートサービスの充実・強化を図り、企業の人材ニーズに沿った多様なサービスを提供した。加えて、積極的な採用を行うなど将来の成長を見込んだ事業基盤の強化も進めた。利益面では、営業関連経費は増勢だったが、売上高の好調と高採算の人材サービスの伸びでカバー、営業利益率は向上した。なお、2018年10月に子会社(株)ワークプロジェクトが保育園を開園したことに伴う助成金収入198百万円が営業外収益として計上されたため、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが一時的に大きくなっている。
事業別の業績は、人材サービス事業が売上高11,499百万円(前期比16.0%増)、営業利益1,984百万円(同14.3%増)、リクルーティング事業が売上高3,960百万円(同7.2%増)、営業利益は1,003百万円(同13.8%増)、情報出版事業が売上高1,980百万円(同12.4%増)、営業利益178百万円(同5136.3%増)、その他が売上高1,732百万円(同23.4%増)、営業利益は219百万円(同10.8%増)となった。
人材紹介では、建設・土木や製造分野のエンジニアや医療施設での看護師など専門職の採用ニーズが旺盛で、売上高は順調に拡大した。一方、競合他社との登録者獲得競争や求人検索エンジンの台頭など競争環境は厳しく、差別化対策のため効果的なプロモーションやサイト運営、サービス拡充、きめ細かな登録者対応など運営費用はやや重くなった。人材派遣等では、人手不足によりフルタイムで勤務できる人材の採用が依然厳しいなか、医療・福祉分野のスタッフ派遣や保育士派遣が引き続き好調、オフィスワークやIT・Web関連職種を中心にパートタイム派遣も堅調だった。リクルーティング事業では、リクルートトップパートナーとしてのノウハウを生かし、中途採用領域で派遣登録スタッフの求人広告が好調、正社員やアルバイト・パートも堅調に推移した。なかでもコンサルティングのノウハウも活用したことで、新しいタイプの求人サイト「indeed」をうまく収益に取り込むことができた。また、学生の売り手市場が続く新卒採用の領域では、2019年3月に販売を開始した2020年3月卒業予定大学生向けの新卒採用広告や合同説明会などが拡大、顧客企業の採用成功のためのコンサルティング営業も強化した。
情報出版事業では、売上構造の変革を通して生産性や利益率が向上、全般的に収益が大きく改善した。同社の生活情報誌や住宅情報誌が好調に推移、結婚情報誌では並行して課金型Webメディアをスタートさせた。メディア以外では、新聞の世帯カバー率が下がるなか、高いカバー率を誇る同社のポスティングサービスが順調に推移、「ココカラ。」ブランドのコンシェルジュサービスも転職や家づくり、ブライダルとすべての領域で業績が拡大した。ネット関連事業では、人手不足や働き方改革を背景に人材採用や育成、定着、福利厚生の充実、生産性の改善など、人事戦略をサポートするHRソリューションビジネスへの関心が一般企業の間で高まりつつある。このため、人事サービス業界各社のプロモーションニーズが活発化、同社の人事・労務に関する情報ポータルサイト「日本の人事部」の広告収入などが順調に拡大した。海外事業では、中国の景気停滞や英国のブレクジットはあるものの、進出地域に合わせたきめ細かな対応が奏功、(株)クイック・グローバルによる統括支援もスタートし、QUICK USA,Inc.や前期連結のCentre People Appointments Ltd(英)、QUICK VIETNAM CO.,LTD.など売上高は順調に拡大した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2019年3月期の業績動向
クイック<4318>の2019年3月期の業績は、売上高19,173百万円(前期比14.3%増)、営業利益2,581百万円(同17.4%増)、経常利益2,818百万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,966百万円(同20.8%増)となり、9期連続の増収増益を達成するとともに、売上高・利益とも過去最高を更新した。国内の雇用情勢については、2019年3月の有効求人倍率(季節調整値)が1.63倍、正社員有効求人倍率(季節調整値)が1.16倍、完全失業率(季節調整値)が2.5%となるなど、専門職を中心に幅広い分野で人手不足が深刻化している。このような事業環境のなか、人材の不足感が強く採用も難しい専門職の人材紹介・人材派遣サービスを積極展開するとともに、「indeed」や「ココカラ。」などサポートサービスの充実・強化を図り、企業の人材ニーズに沿った多様なサービスを提供した。加えて、積極的な採用を行うなど将来の成長を見込んだ事業基盤の強化も進めた。利益面では、営業関連経費は増勢だったが、売上高の好調と高採算の人材サービスの伸びでカバー、営業利益率は向上した。なお、2018年10月に子会社(株)ワークプロジェクトが保育園を開園したことに伴う助成金収入198百万円が営業外収益として計上されたため、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが一時的に大きくなっている。
事業別の業績は、人材サービス事業が売上高11,499百万円(前期比16.0%増)、営業利益1,984百万円(同14.3%増)、リクルーティング事業が売上高3,960百万円(同7.2%増)、営業利益は1,003百万円(同13.8%増)、情報出版事業が売上高1,980百万円(同12.4%増)、営業利益178百万円(同5136.3%増)、その他が売上高1,732百万円(同23.4%増)、営業利益は219百万円(同10.8%増)となった。
人材紹介では、建設・土木や製造分野のエンジニアや医療施設での看護師など専門職の採用ニーズが旺盛で、売上高は順調に拡大した。一方、競合他社との登録者獲得競争や求人検索エンジンの台頭など競争環境は厳しく、差別化対策のため効果的なプロモーションやサイト運営、サービス拡充、きめ細かな登録者対応など運営費用はやや重くなった。人材派遣等では、人手不足によりフルタイムで勤務できる人材の採用が依然厳しいなか、医療・福祉分野のスタッフ派遣や保育士派遣が引き続き好調、オフィスワークやIT・Web関連職種を中心にパートタイム派遣も堅調だった。リクルーティング事業では、リクルートトップパートナーとしてのノウハウを生かし、中途採用領域で派遣登録スタッフの求人広告が好調、正社員やアルバイト・パートも堅調に推移した。なかでもコンサルティングのノウハウも活用したことで、新しいタイプの求人サイト「indeed」をうまく収益に取り込むことができた。また、学生の売り手市場が続く新卒採用の領域では、2019年3月に販売を開始した2020年3月卒業予定大学生向けの新卒採用広告や合同説明会などが拡大、顧客企業の採用成功のためのコンサルティング営業も強化した。
情報出版事業では、売上構造の変革を通して生産性や利益率が向上、全般的に収益が大きく改善した。同社の生活情報誌や住宅情報誌が好調に推移、結婚情報誌では並行して課金型Webメディアをスタートさせた。メディア以外では、新聞の世帯カバー率が下がるなか、高いカバー率を誇る同社のポスティングサービスが順調に推移、「ココカラ。」ブランドのコンシェルジュサービスも転職や家づくり、ブライダルとすべての領域で業績が拡大した。ネット関連事業では、人手不足や働き方改革を背景に人材採用や育成、定着、福利厚生の充実、生産性の改善など、人事戦略をサポートするHRソリューションビジネスへの関心が一般企業の間で高まりつつある。このため、人事サービス業界各社のプロモーションニーズが活発化、同社の人事・労務に関する情報ポータルサイト「日本の人事部」の広告収入などが順調に拡大した。海外事業では、中国の景気停滞や英国のブレクジットはあるものの、進出地域に合わせたきめ細かな対応が奏功、(株)クイック・グローバルによる統括支援もスタートし、QUICK USA,Inc.や前期連結のCentre People Appointments Ltd(英)、QUICK VIETNAM CO.,LTD.など売上高は順調に拡大した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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