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Kudan Research Memo(13):広範な可能性からスケールの大きいシナリオが描ける(1)

注目トピックス 日本株
■中長期成長性

1. AP技術と同社の可能性
Kudan<4425>のAP技術は、商用として競合と言える技術がないことから、AP技術そのものの進化と「深層技術」化、近接するAIやIoTといった技術との統合、「深層技術」におけるハブ化など広範な可能性が見込まれる。このため、非常に明るくスケールの大きいシナリオを描くことができる。

(1) 技術応用の広がり
既にAR、VR、MRはもちろん、運転支援やナビゲーション、ダイナミックマップ、ドローンやスマートロボットなど、AP技術は様々な場面で活用されており、現在年間30%増している顧客基盤は今後も継続して拡大が見込まめる。今後は自律走行や自律モバイルロボット、IoTプラットフォーム、ヒューマンオーグメンテーション(人間とテクノロジー・AIの一体化)などへの技術応用や技術統合による、より高度な活用が見込まれている。また競争の激しい半導体関連技術、AI技術、IoTなどによって、大きな差別化要因として注目されている。このようにAP技術は、既に応用開発が進んでいるアプリケーションに加え、多様な先進テクノロジーと連携することで、グローバルの先端技術企業を対象として、数百社レベルへの顧客基盤の拡大と製品化が期待されている。

(2) 技術のロードマップとマイルストーンの収益化
同社のAP技術は、近接するAIやIoTと相性がよさそうだ。既に同社は、同社のAP技術を起点としてAIやIoTとの技術統合を進めており、応用領域を多段階的に開拓していく考えである。センサで知覚しライブラリと照合することでAP(眼)は、組込み用の要素技術として高度な視覚能力を機械に与えることができる。AP(眼)とAI(脳)の統合技術は、知覚した対象を認識・学習することで、アプリケーションなど製品に高度な自律機能を提供することができる。だが、ここまでの技術では「自我」を持つことはできるかもしれないが、人間を超えることはできない。AP(眼)+AI(脳)+IoT(神経網)は、判断した上で行動を起こしたり他のAP+AIと共通認識や意見を持ったり、「自己(人格)」に近い独自のキャラクターが形成されるかもしれない。さらに、人間の神経と違ってIoTは世界中のあらゆるAP+AIと一瞬でつながるため、機械(コンピュータやロボット)はついに人間を超えることになる。ほかにないAP技術を有することで、同社はそうした可能性を持つAP+AI+IoTの統合技術のトップランナーと言うことができる。

同社はこうした大きな流れの中でマイルストーンを着実に達成し、技術研究開発を段階的に収益化している。これまでもAP技術の研究開発において、例えば、LiDAR fusionでは、2018年12月にVisual SLAMとLiDARの統合を実用レベルに引き上げたことで、自動運転や3次元デジタル地図への実装が可能となり、マイルストーンを達成している。また、Giga Point Mapでは、2019年1月に10億点以上からなるギガポイントマップの生成を可能にする、独自のSLAM Map(3次元点群)技術の開発を完了したことにより、マイルストーンを達成している。この技術は、自動運転だけでなくスマートシティやデジタルツインなどにも有効な技術と言われている。このようなマイルストーンは今後も続き、AP+AIやAP+AI+IoTにおける技術開発が実用化されるたびに累積的に増える見通しである。

(3) インベストメントプログラム
同社のAP技術は、その応用範囲を応用技術や製品、さらにはソリューションへと広げ、非常に幅広い領域において活用される要素技術となりつつある。一方、同社のAP技術が、量子コンピュータや次世代メモリ/画像センサなどあらゆる産業の土台となる「深層技術」の面でも広がりを持つことが可能と考えられる。まずはAP技術をAP+AIやAP+AI+IoTなど近接した「深層技術」との技術統合を図っており、並行して取り組むべき応用範囲の拡大や他の「深層技術」に向けてM&Aを検討している。これらによりAP技術が「深層技術」においてハブ化していけば、応用技術をより広範にしっかりと下支えることができるようになると考えられる。

(4) 市場拡大の予測
以上のようにAP技術は、将来技術を含む多様な技術を下支え、幅広い分野で応用できる技術である。AP技術の応用が進むと、関連するアプリケーションの市場は2023年に161兆円になると予測されている。同社はこのうち15%程度が同社の対象市場と考えている。また、今まさに技術統合を進めているAIとIoTの市場は2028年には合計1,140兆円になると言われており、同社はそのうち10%以上が対象市場と推測している。いずれにしろ非常に巨大なマーケットであり、同社はそこで、現在の通信や半導体、宇宙・航空工学のように「深層技術」として、産業や社会の土台となっていくと思われる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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