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アドクリ Research Memo(6):2019年9月期は期初計画を据え置き、過去最高業績の更新を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年9月期の業績見通し
アドバンスクリエイト<8798>の2019年9月期の業績は、売上高が前期比15.1%増の10,900百万円、営業利益が同30.9%増の1,530百万円、経常利益が同32.1%増の1,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同24.8%増の980百万円と期初計画を据え置いた。売上高と親会社株主に帰属する当期純利益に加えて、2019年9月期は営業利益と経常利益についても、2013年9月期(営業利益1,295百万円、経常利益1,258百万円)以来の最高益を更新する見通しだ。第2四半期までの進捗率は売上高で47.4%、営業利益で45.1%と過去3年間の平均(売上高49.7%、営業利益54.5%)をやや下回る進捗となっているが、下期もメディア事業の好調が見込まれているほか、保険代理店事業や再保険事業の収益回復により計画達成を目指す。

市場環境については、国内景気の緩やかな回復基調が続くなかで、米中貿易摩擦の激化による世界経済への影響が懸念されるなど、景気の先行きに対しては楽観視できない状況にあると考えている。こうした環境下で、同社は以下の5点を主要施策として下期以降も取り組んでいく方針となっている。

(1) 保険業界のイノベーターとして常に進化し続けるべく、人材の育成・強化を図る。

(2) Webマーケティングの更なる強化とともに各種端末への対応も強化し、「保険市場」のユーザビリティ向上により集客力を向上し、資料請求・アポイント件数の増加を目指す。

(3) 提携代理店とのシステム連携強化により、顧客ニーズに効率的かつ効果的に対応できる体制を構築する。

(4) 保険代理店事業を主軸にメディア事業、再保険事業とのシナジーを最大限に追求し、保険にかかるあらゆる収益機会にアプローチする「金融情報サービス業」として確固たる営業基盤を構築する。

(5) 顧客本位の業務運営推進のため、コンプライアンス体制の充実やシステム化、情報セキュリティ体制の構築、研究制度の強化等により、保険募集管理態勢の強化を図る。

なお、人材採用については2019年4月に新卒17名(前年は20名)が入社しており、2020年春は50名の採用を予定している。人材育成の投資に関しては、海外の最新情報の収集とビジネス開発を目的にシンガポールに1名派遣したほか、若手社員への自己投資支援手当の支給、ライン管理職登用制度の整備などを進めている。

「保険市場」のユーザビリティ向上の取組みとしては、モバイルサイトの読み込み速度を大幅に高速化する技術Accelerated Mobile Pages (以下、AMP)※を導入した。「保険市場」へのアクセス経路はスマートフォンがほとんどを占めるようになり、モバイルページの読み込み速度を向上させることが資料請求・問い合わせ件数を増やすために有効と考えAMPを導入した。その結果、ページの読み込み速度が従来と比較して平均61.2%短縮し、コンバージョンレート(資料請求・問い合わせ件数/サイト訪問者数)も28.9%上昇するなど導入効果が顕著に表れている。こうした取組みが申込みANPの増加にもつながっていると見ており、今後も更なるユーザビリティの向上を取組んでいく方針となっている。

※AMP…モバイル端末でWebサイト閲覧を高速化することを目的として、Googleが中心となって立ち上げたオープンソースプロジェクトで、その成果物である一連の仕様やライブラリもAMPと呼ぶ。


2. 事業セグメント別見通し
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業は売上高で前期比10%台の増収増益を見込んでいる。SNSやチャットボット等の活用、「保険市場」のユーザビリティ向上による資料請求・アポイント件数の増加により、通期の申込ANPで前期比15%増を見込んでいる。ただ、直近の月次動向を見ると3月が前年同月比で2%減、4月が横ばい水準にとどまっており、計画を下回るペースとなっている。2019年4月については大型連休の影響で直営の対面型販売が落ち込んだことが影響したものと考えられ、2019年5月以降の状況を見る必要があるが、マイナス傾向が続いている通信販売も含めて、景気の先行き不透明感が強まっていることが販売に影響している可能性もあり、計画をやや下振れするリスクがあると弊社では見ている。

(2) メディア事業
メディア事業については、売上高で前期比90%増の16億円程度、営業利益も大幅増益を見込んでいる。前述したように保険会社からの広告運用の引き合いが増えてきていることが要因だ。上期売上は899百万円となっており、好調な引き合いが下期も続けば通期計画は上振れし、保険代理店事業の下振れ分をある程度カバーできると見られる。

(3) 再保険事業
再保険事業については売上高で10%以上の増収、営業利益も2ケタ増益を見込んでいる。既存顧客からの再保険契約の積み上げに加えて、新たに生命保険会社1社と2019年4月に契約を締結しており増収要因となる。今回の契約により、同社が販売する生命保険商品の再保険カバー率は9割近くに達することになる。なお、営業利益については保険支払い損害率の動向次第となるため流動的ではあるものの、販管費の抑制などに取り組むことで増益を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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