ベネ・ワン Research Memo(4):働き方改革により、福利厚生会員は2020年4月に急増の見込み(2)
[19/06/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
5. 各事業の内容
(1) 福利厚生事業
主力の福利厚生事業は、2019年4月時点で9,937社・508万人が導入している。少人数から利用できるため、中小企業の利用も多い。ベネフィット・ワン<2412>のサービスは、企業と従業員の双方にメリットがある。会員企業は、多種多様な福利厚生制度の構築や運用にかかる面倒な事務作業の手間を軽減することができる。複数拠点で事業を運営する企業の地域間格差や世代間格差を縮小できる。従業員が人生のあらゆるシーンで利用できる、豊富なサービスメニューをそろえている。新社会人、婚活、結婚、出産、家族サービス、健康チェック、介護・就活と人生の様々なシーンをカバーするカテゴリーから140万件以上の施設・サービスを割安な会員価格で提供する。例えば、新社会人であれば、スーツ購入割引、飲食店割引、カラオケ割引、英会話学校割引等の利用も考えられよう。ユーザー課金型サービスのため、常にユーザー側に立った、ユーザーの課題を解決するサービスを提供するようにしている。
(2) パーソナル事業
パーソナル事業は、主に協業企業の顧客向けに「ベネフィット・ステーション」を提供しており、協業先とのレベニューシェアになる。BtoCを実現するためには、月額固定の会費を徴収する機能が必要であるため、そのような機能を有する企業とアライアンスしている。協業先は、携帯キャリアやフィットネスクラブ、不動産仲介会社等になる。パーソナル事業の会員数は、2016年4月に227万人と3年間で3.3倍に増加した。ただし、大口協業先が営業方針を変更したこと等により会員数の減少が継続し、2019年4月の会員数は136万人となった。シニア層、子育て層、若年層を重点ターゲットとした既存協業先との施策テコ入れや新規協業開始により、上昇トレンドへの復帰を計画している。
(3) インセンティブ事業
インセンティブ事業は、企業のロイヤリティ・モチベーション向上施策を支援する。付与されるインセンティブ・ポイントは、多様なニーズに応える約20,000メニューのアイテムと交換できる。スケールメリットを生かした、お得なアウトレット価格や特典が利用できる。最近では販促インセンティブ目的のみならず、採用強化や離職率低下及び定着率の向上による採用コストの削減、優秀な人材の確保、評価機会の拡大、従業員のモチベーションアップ、営業力の底上げ、キャンペーン効果の引上げなど活用の範囲が広がっている。パート・アルバイト向けの導入メリットは、時給に代わる効果的なモチベーション向上策として、雇用期間の長期化、職場のコミュニケーションの向上などがある。代表的な顧客は、携帯電話通信事業者や生損保、自動車販売関係、医薬品会社、外食企業などである。
(4) ヘルスケア事業
ヘルスケア事業は、2008年の特定健康診査及び特定保健指導の義務化から始まり、2015年度からデータヘルス計画の義務化、2015年12月からストレスチェックの義務化と続く国策が追い風となっている。ヘルスケア事業は、健診サービスから特定保健指導、健康ポイント、データヘルス計画支援等、健康関連のサービスをワンストップで提供している。2018年度から、日本健康会議、厚生労働省、経済産業省が協働して「健康スコアリングレポート」を作成し、約1,400の健保組合と20の国家公務員共済組合に通知する。全健保組合平均や業態平均と比較したデータを見える化し、経営者に対し従業員等の健康状況について現状認識をしてもらう。破たん寸前の健保財政が企業の収益を直撃するおそれがあり、予防医療や生活習慣改善努力の重要性が増している。特定健康診査は、メタボリックシンドロームに着目した健診である。近年、生活習慣病が死因の約3分の1を占めると推計されている。特定保健指導は、その診査の結果から発症リスクが高く、生活習慣の改善による予防効果が期待できる人をサポートする。
ヘルスケア事業は、2019年3月期は、売上高が前期比31.8%増、営業利益が同46.8%増と高成長を実現した。大型の複数年契約を受注しており、健診・保健指導ともに業界のリーディングカンパニーの位置付けとなっている。健診のWeb予約化や保健指導のICT面談などを導入し、オペレーションの効率化を継続する。
(5) HRマネジメントを中核とする他の事業
法人向けでは、福利厚生に加えて、HRマネジメントにおける重点要素を中核に据えた事業展開を行っている。人事データを核として、HRマネジメントの土台となるサービスを、単独ではなく複数を統合的に提供するところに同社の特長と強みがある。重点要素となる福利厚生、健康、教育研修、インセンティブだけでなく、購買生産、給与、金融、CRMを顧客の要望に合わせて組み合わせることができる。
a) 購買・精算代行事業
出張費の精算代行事業は、利用企業にとって出張にかかる直接経費の削減だけでなく、間接経費の削減やコンプライアンス強化につながる。キャッシュレスで一括管理を可能とする「出張ステーション」は、3つの導入メリットがある。法人契約の特別割引料金を利用して旅費・宿泊費を削減できる「直接経費の削減」、Web手配・個人の立替不要・会社一括精算により業務を大幅に削減する「間接経費の削減」、出張データを一元管理・可視化できるため、カラ出張などの不正を防止する「コンプライアンス強化」である。大手金融機関の導入決定により、大企業に急速に浸透する機運が熟してきた。また、通信回線等の精算代行といった管理部門系業務のアウトソーシングも行っており、2018年度には大口の支店小口精算受託が開始となった。
b) ペイロール事業
BPO事業強化の一環として、2015年8月に給与計算業務のアウトソーシングサービスを行う新会社(株)ベネフィットワン・ペイロールを設立した。同社は、パソナグループ<2168>各社と同社グループ各社の給与計算と勤怠管理業務を担うシェアードサービス機能を持ち、このペイロール機能を外販している。
(6) 海外事業
海外での事業展開は、2012年に中国と米国に独資の子会社を設立したことから始まった。主に、インセンティブ事業を行っている。2013年には、東南アジア地域に進出し、シンガポール、タイ、インドネシアに拠点を有する。また、2015年には、欧州初となる100%子会社をドイツに設立した。海外事業は2015年3月期から連結決算に組み入れられ始めた。
2017年3月期に、株式を追加取得したシンガポールのREWARDZ PRIVATE LIMITED(以下、REWARDZ)を連結対象に含めた。同子会社は、福利厚生、ポイント、ヘルスケアを一体化して提供する先進性を有している。なお、ベネフィット・ワンでは、国内事業でも同方式を展開していく考えから、2018年11月に新たな基幹商品となる「ベネフィット・ステーションNEXT」を立ち上げた。海外事業は先行投資フェーズに当たり2019年3月期は売上高が344百万円、前期比72.5%増、営業損失△298百万円(前期△319百万円)を計上した。2020年3月期は、損失額が163百万円に減少することを計画している。ストック型のビジネスであるため、一度損益分岐を越えれば安定した収益貢献が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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5. 各事業の内容
(1) 福利厚生事業
主力の福利厚生事業は、2019年4月時点で9,937社・508万人が導入している。少人数から利用できるため、中小企業の利用も多い。ベネフィット・ワン<2412>のサービスは、企業と従業員の双方にメリットがある。会員企業は、多種多様な福利厚生制度の構築や運用にかかる面倒な事務作業の手間を軽減することができる。複数拠点で事業を運営する企業の地域間格差や世代間格差を縮小できる。従業員が人生のあらゆるシーンで利用できる、豊富なサービスメニューをそろえている。新社会人、婚活、結婚、出産、家族サービス、健康チェック、介護・就活と人生の様々なシーンをカバーするカテゴリーから140万件以上の施設・サービスを割安な会員価格で提供する。例えば、新社会人であれば、スーツ購入割引、飲食店割引、カラオケ割引、英会話学校割引等の利用も考えられよう。ユーザー課金型サービスのため、常にユーザー側に立った、ユーザーの課題を解決するサービスを提供するようにしている。
(2) パーソナル事業
パーソナル事業は、主に協業企業の顧客向けに「ベネフィット・ステーション」を提供しており、協業先とのレベニューシェアになる。BtoCを実現するためには、月額固定の会費を徴収する機能が必要であるため、そのような機能を有する企業とアライアンスしている。協業先は、携帯キャリアやフィットネスクラブ、不動産仲介会社等になる。パーソナル事業の会員数は、2016年4月に227万人と3年間で3.3倍に増加した。ただし、大口協業先が営業方針を変更したこと等により会員数の減少が継続し、2019年4月の会員数は136万人となった。シニア層、子育て層、若年層を重点ターゲットとした既存協業先との施策テコ入れや新規協業開始により、上昇トレンドへの復帰を計画している。
(3) インセンティブ事業
インセンティブ事業は、企業のロイヤリティ・モチベーション向上施策を支援する。付与されるインセンティブ・ポイントは、多様なニーズに応える約20,000メニューのアイテムと交換できる。スケールメリットを生かした、お得なアウトレット価格や特典が利用できる。最近では販促インセンティブ目的のみならず、採用強化や離職率低下及び定着率の向上による採用コストの削減、優秀な人材の確保、評価機会の拡大、従業員のモチベーションアップ、営業力の底上げ、キャンペーン効果の引上げなど活用の範囲が広がっている。パート・アルバイト向けの導入メリットは、時給に代わる効果的なモチベーション向上策として、雇用期間の長期化、職場のコミュニケーションの向上などがある。代表的な顧客は、携帯電話通信事業者や生損保、自動車販売関係、医薬品会社、外食企業などである。
(4) ヘルスケア事業
ヘルスケア事業は、2008年の特定健康診査及び特定保健指導の義務化から始まり、2015年度からデータヘルス計画の義務化、2015年12月からストレスチェックの義務化と続く国策が追い風となっている。ヘルスケア事業は、健診サービスから特定保健指導、健康ポイント、データヘルス計画支援等、健康関連のサービスをワンストップで提供している。2018年度から、日本健康会議、厚生労働省、経済産業省が協働して「健康スコアリングレポート」を作成し、約1,400の健保組合と20の国家公務員共済組合に通知する。全健保組合平均や業態平均と比較したデータを見える化し、経営者に対し従業員等の健康状況について現状認識をしてもらう。破たん寸前の健保財政が企業の収益を直撃するおそれがあり、予防医療や生活習慣改善努力の重要性が増している。特定健康診査は、メタボリックシンドロームに着目した健診である。近年、生活習慣病が死因の約3分の1を占めると推計されている。特定保健指導は、その診査の結果から発症リスクが高く、生活習慣の改善による予防効果が期待できる人をサポートする。
ヘルスケア事業は、2019年3月期は、売上高が前期比31.8%増、営業利益が同46.8%増と高成長を実現した。大型の複数年契約を受注しており、健診・保健指導ともに業界のリーディングカンパニーの位置付けとなっている。健診のWeb予約化や保健指導のICT面談などを導入し、オペレーションの効率化を継続する。
(5) HRマネジメントを中核とする他の事業
法人向けでは、福利厚生に加えて、HRマネジメントにおける重点要素を中核に据えた事業展開を行っている。人事データを核として、HRマネジメントの土台となるサービスを、単独ではなく複数を統合的に提供するところに同社の特長と強みがある。重点要素となる福利厚生、健康、教育研修、インセンティブだけでなく、購買生産、給与、金融、CRMを顧客の要望に合わせて組み合わせることができる。
a) 購買・精算代行事業
出張費の精算代行事業は、利用企業にとって出張にかかる直接経費の削減だけでなく、間接経費の削減やコンプライアンス強化につながる。キャッシュレスで一括管理を可能とする「出張ステーション」は、3つの導入メリットがある。法人契約の特別割引料金を利用して旅費・宿泊費を削減できる「直接経費の削減」、Web手配・個人の立替不要・会社一括精算により業務を大幅に削減する「間接経費の削減」、出張データを一元管理・可視化できるため、カラ出張などの不正を防止する「コンプライアンス強化」である。大手金融機関の導入決定により、大企業に急速に浸透する機運が熟してきた。また、通信回線等の精算代行といった管理部門系業務のアウトソーシングも行っており、2018年度には大口の支店小口精算受託が開始となった。
b) ペイロール事業
BPO事業強化の一環として、2015年8月に給与計算業務のアウトソーシングサービスを行う新会社(株)ベネフィットワン・ペイロールを設立した。同社は、パソナグループ<2168>各社と同社グループ各社の給与計算と勤怠管理業務を担うシェアードサービス機能を持ち、このペイロール機能を外販している。
(6) 海外事業
海外での事業展開は、2012年に中国と米国に独資の子会社を設立したことから始まった。主に、インセンティブ事業を行っている。2013年には、東南アジア地域に進出し、シンガポール、タイ、インドネシアに拠点を有する。また、2015年には、欧州初となる100%子会社をドイツに設立した。海外事業は2015年3月期から連結決算に組み入れられ始めた。
2017年3月期に、株式を追加取得したシンガポールのREWARDZ PRIVATE LIMITED(以下、REWARDZ)を連結対象に含めた。同子会社は、福利厚生、ポイント、ヘルスケアを一体化して提供する先進性を有している。なお、ベネフィット・ワンでは、国内事業でも同方式を展開していく考えから、2018年11月に新たな基幹商品となる「ベネフィット・ステーションNEXT」を立ち上げた。海外事業は先行投資フェーズに当たり2019年3月期は売上高が344百万円、前期比72.5%増、営業損失△298百万円(前期△319百万円)を計上した。2020年3月期は、損失額が163百万円に減少することを計画している。ストック型のビジネスであるため、一度損益分岐を越えれば安定した収益貢献が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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