DEAR・L Research Memo(3):都市型マンション1棟売り事業とADRで効率的ビジネスモデルを構築(1)
[19/06/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. リアルエステート事業
(1) 東京圏で都市型マンション開発とADR事業を行う
a) 堅調な需要が見込める東京圏
ディア・ライフ<3245>は創業以来、東京圏の単身者〜DINKS向け都市型マンションを中心に不動産開発事業を展開している。人口減少期に入った日本においても、東京圏への人口流入の傾向は続いており、さらには働き方やライフスタイルの変遷もあり、好立地の都心マンションへの需要はますます強まっている。首都圏での用地の確保の難易度は上昇し、新築マンション供給戸数は減少を続けており、一方でマンション価格は上昇を続けている。一部で過熱感を指摘する声もあるが、新築マンションの需給のバランスは崩れておらず、当面は大きな調整はないと見てよいだろう。首都圏の投資用マンションの供給戸数は2013年から2017年までの5年間堅調に推移しており、平均価格も緩やかな上昇基調である。2018年上期(1月〜6月)は前年通期の76%の供給戸数に達しており、市場の順調な成長が予想される。
b) 用地取得と建築発注にエリア特化の強み
このような環境下、需要の堅調な東京圏に事業エリアを特化することは、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位に働いている。情報の非対称性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。
c) 専門性の高い内部人材がもう1つの強み
エリア限定の強みに加え、社内に一級建築士を始め専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力ある価格提示を迅速に行える能力が不可欠である。また建築技術等のわかる人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。
d) 分譲事業には参入せず資産効率、生産性を重視
同社は分譲事業には参入しておらず、1棟売りすることで資金回収を早め、資産効率を高めている。売却先は寮・社宅などのニーズを持つ事業会社、分譲や賃貸運営目的の不動産会社、不動産投資ファンド、個人富裕層などの投資家など幅広い。開発面では東京圏特化で効率性と競争力を高めている反面、販売面では自前の販売人員を抱えることなく1棟売りにより早期売却を狙う。リアルエステート事業で、1人当たりの経常利益約1億円の達成と維持を目指す同社の生産性の高さは注目に値する。
e) ADRがもう1つの強み
同社は、都市型マンションの開発とともに、ADRを強みとしている。ADRは開発適地として土地を商品化することであり、アセットデザイン&リセールを略した言葉だ。ADRと都市型マンション開発は前工程が共通である。前工程とは、土地を仕入れた後、1)開発プラン企画、2)建物解体・隣地調整、3)建築確認取得、4)工事会社選定・調整など。この時点で売却先との交渉がまとまればADRプロジェクトとなる。都心で特に人気の高いエリアはADRとなる場合が多い。開発利益の獲得機会を逸するものの、回転率が高いビジネスである。
(2) 収益不動産の購入・売却を強化
a) 高い目利き力が生かせる収益不動産投資
同社は都市型マンションを開発から手掛けることを中心に業容を拡大してきたが、さらに事業基盤を拡大し収益の多様化を図るため、既に稼働している優良な中小型収益不動産への投資も積極化している。収益不動産は、保有期間中に家賃収入を得た上で不動産サイクルを見極め、より良いイグジットのタイミングを図ることで収益の最大化を目指す。また築古物件や空室率が一時的に高くなっている物件を安く仕入れ、保有期間中にリノベーションやテナント付けを行うことによって資産価値の向上を図った上で売却するなどのノウハウや不動産運営能力を持つ同社にとって、創意工夫の余地が大きい。
b) リスク回避と資産効率の向上
都市型マンション開発で良好な実績を上げ続け、高成長を遂げた同社の信用力は高い。2015年に東証1部に昇格し、財務の健全性も高いことから、金融機関とのリレーションも良好で借入余力も大きい。一般的に、新規に物件を建築するマンション開発事業に比べて既築の収益不動産事業は付加価値の創造余力が低いが、収益化のタイミングは早く、賃料収入と売却を選択できる流動性を持つといった事業特性の違いがある。収益不動産に取り組むことで、安定的な収益性とリスク回避を両立させ、資産効率の更なる向上を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. リアルエステート事業
(1) 東京圏で都市型マンション開発とADR事業を行う
a) 堅調な需要が見込める東京圏
ディア・ライフ<3245>は創業以来、東京圏の単身者〜DINKS向け都市型マンションを中心に不動産開発事業を展開している。人口減少期に入った日本においても、東京圏への人口流入の傾向は続いており、さらには働き方やライフスタイルの変遷もあり、好立地の都心マンションへの需要はますます強まっている。首都圏での用地の確保の難易度は上昇し、新築マンション供給戸数は減少を続けており、一方でマンション価格は上昇を続けている。一部で過熱感を指摘する声もあるが、新築マンションの需給のバランスは崩れておらず、当面は大きな調整はないと見てよいだろう。首都圏の投資用マンションの供給戸数は2013年から2017年までの5年間堅調に推移しており、平均価格も緩やかな上昇基調である。2018年上期(1月〜6月)は前年通期の76%の供給戸数に達しており、市場の順調な成長が予想される。
b) 用地取得と建築発注にエリア特化の強み
このような環境下、需要の堅調な東京圏に事業エリアを特化することは、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位に働いている。情報の非対称性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。
c) 専門性の高い内部人材がもう1つの強み
エリア限定の強みに加え、社内に一級建築士を始め専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力ある価格提示を迅速に行える能力が不可欠である。また建築技術等のわかる人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。
d) 分譲事業には参入せず資産効率、生産性を重視
同社は分譲事業には参入しておらず、1棟売りすることで資金回収を早め、資産効率を高めている。売却先は寮・社宅などのニーズを持つ事業会社、分譲や賃貸運営目的の不動産会社、不動産投資ファンド、個人富裕層などの投資家など幅広い。開発面では東京圏特化で効率性と競争力を高めている反面、販売面では自前の販売人員を抱えることなく1棟売りにより早期売却を狙う。リアルエステート事業で、1人当たりの経常利益約1億円の達成と維持を目指す同社の生産性の高さは注目に値する。
e) ADRがもう1つの強み
同社は、都市型マンションの開発とともに、ADRを強みとしている。ADRは開発適地として土地を商品化することであり、アセットデザイン&リセールを略した言葉だ。ADRと都市型マンション開発は前工程が共通である。前工程とは、土地を仕入れた後、1)開発プラン企画、2)建物解体・隣地調整、3)建築確認取得、4)工事会社選定・調整など。この時点で売却先との交渉がまとまればADRプロジェクトとなる。都心で特に人気の高いエリアはADRとなる場合が多い。開発利益の獲得機会を逸するものの、回転率が高いビジネスである。
(2) 収益不動産の購入・売却を強化
a) 高い目利き力が生かせる収益不動産投資
同社は都市型マンションを開発から手掛けることを中心に業容を拡大してきたが、さらに事業基盤を拡大し収益の多様化を図るため、既に稼働している優良な中小型収益不動産への投資も積極化している。収益不動産は、保有期間中に家賃収入を得た上で不動産サイクルを見極め、より良いイグジットのタイミングを図ることで収益の最大化を目指す。また築古物件や空室率が一時的に高くなっている物件を安く仕入れ、保有期間中にリノベーションやテナント付けを行うことによって資産価値の向上を図った上で売却するなどのノウハウや不動産運営能力を持つ同社にとって、創意工夫の余地が大きい。
b) リスク回避と資産効率の向上
都市型マンション開発で良好な実績を上げ続け、高成長を遂げた同社の信用力は高い。2015年に東証1部に昇格し、財務の健全性も高いことから、金融機関とのリレーションも良好で借入余力も大きい。一般的に、新規に物件を建築するマンション開発事業に比べて既築の収益不動産事業は付加価値の創造余力が低いが、収益化のタイミングは早く、賃料収入と売却を選択できる流動性を持つといった事業特性の違いがある。収益不動産に取り組むことで、安定的な収益性とリスク回避を両立させ、資産効率の更なる向上を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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