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ステップ Research Memo(4):「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」を達成、業績は計画通りに進捗

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2019年9月期第2四半期累計の業績動向
ステップ<9795>の2019年9月期第2四半期累計業績は、売上高で前年同期比3.9%増の5,694百万円、営業利益で同15.3%減の1,196百万円、経常利益で同15.9%減の1,227百万円、四半期純利益で同13.6%減の842百万円と増収減益となった。売上高については会社計画の5,649百万円を若干上回り、利益については「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」の目標達成に伴う特別賞与184百万円の支給並びに、プロジェクト推進のための学習環境の整備を目的としたプロジェクターやパソコンの導入等による備品費及び修繕費の増加(前年同期比101百万円増)が減益要因となっている。ただ、これらは中長期的な収益基盤を強化するための戦略的な投資費用増であり、前向きに評価される。ちなみに、これらの戦略的投資費用を除いたベースで見ると営業利益は約5%の増益であった。

(1) 横浜プロジェクト、翠嵐プロジェクトについて
同社は、中長期的な成長を続けていくためには、今後も就学生人口の増加が続くと予想されている川崎市や横浜東部・北部地域での教室展開を進め、同エリアで生徒数を増やしていくことが重要と考え、ブランド力向上を図る取り組みとして、期初に「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」の2つのプロジェクトを打ち出した。「横浜プロジェクト」については1年目、「翠嵐プロジェクト」については2年目でそれぞれ達成する目標を立てていたが、両プロジェクトとも1年目で達成することができた。「横浜プロジェクト」は、横浜市内トップ校9校の合計合格者数で業界トップを獲るプロジェクトで、2018年は湘南ゼミナールと僅差で2番手だったが、2019年春の合格者数は湘南ゼミナールが673名と前年から減少したのに対して、同社は899名(前年比168名増)と大幅に躍進、大差を付けてのトップに躍り出た。また、県内最難関公立校である横浜翠嵐高校の合格者数でも、従来は湘南ゼミナール、臨海セミナーに次ぐ3番手であったが、2019年は123名(前年比46名増)と大きく伸ばし、僅差ながらトップを獲得した。

競合塾の合格者数が減少した要因としては、成長機会を県外や個別指導塾などに求めたことで、横浜市内の学習塾に対するリソースが手薄となったことが一因と考えられる。同社はこうした間隙を突いた格好となったわけだが、重要なのは2年目、3年目と考えている。当然ながら、競合塾が巻き返しを図るため、今まで以上に生徒の獲得競争も激しくなると予想されるためだ。実際、同社が地盤とする湘南エリアでは授業料を半額にして生徒募集する競合塾も出てきている。ただ、こうした価格競争によって同社の生徒募集に影響は出ておらず、高い合格実績と学習指導力が同エリアでは圧倒的なブランド力として形成されていることがうかがわれる。同社は横浜北部や東部、川崎市内など強化エリアでもトップの合格実績を続けていくことでブランド力を向上させ、シェアを拡大していく戦略をとっている。

(2) 新規開校、生徒数の動向について
当事業年度中における新規開校は小中学生部門で2スクール、高校生部門で1スクールとなり、いずれも3月に開校した。小中学生部門では、藤沢駅南口スクール(藤沢市)と重点エリアである川崎エリアで犬蔵スクール(川崎市宮前区)を開校し、このうち地盤である藤沢駅南口スクールについては既に100名超の生徒が集まるなど好調な滑り出しとなっている(通常は開校3年目で100名を超える)。また、犬蔵スクールについては通常のペースでの立ち上がりとなっている。一方、高校生部門では4年ぶりに新校舎となる横須賀校(横須賀市)を開校し、こちらも好調な滑り出しとなっている。

期中平均生徒数は、小中学生部門で前年同期比2.5%増、高校生部門で同2.2%増、全体で同2.4%増と増加傾向が続いた。売上高の内訳を見ると、小中学生部門で同4.5%増の4,619百万円、高校生部門で同1.4%増の1,075百万円となり、小中学生部門で生徒当たり単価の上昇が目立った。これは主に中学2〜3年生向けの特色検査対策講座等特別講座の受講者数増加が要因と見られる。

(3) 営業利益の増減要因
営業利益の増減要因を見ると、売上原価率が前年同期の66.9%から71.7%に上昇したことが減益要因となっている。内訳を見ると教師の増員や前述した2つのプロジェクトの目標を達成したことによる特別賞与の支給により、人件費が前年同期比で11.3%増、295百万円増加したほか、備品費が同203.0%増、87百万円増加したことが原価率の上昇要因となっている。備品については、最新型プロジェクターを全スクールに完備したほか、全校舎のパソコンの大量入れ替えや、加湿器の全教室及び自習室への設置を行った。

一方、販管費率は前年同期の7.4%から7.3%へと若干低下した。人件費が特別賞与の支給等により前年同期比12.0%増、16百万円の増加となったほか、求人費が同27.0%増、4百万円の増加となったが、広告宣伝費が折り込みチラシの効率化により同8.7%減、12百万円の減少となった。新規開校スクールが前年同期の5校から3校に減少したことや、新規生徒募集活動が順調に進んだことが広告宣伝費の減少につながった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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