ADワークス Research Memo(3):2019年3月期は特損を計上も海外市場の成長と高収益物件の販売で増収増益
[19/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年3月期の業績概要
エー・ディー・ワークス<3250>の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の24,861百万円、EBITDA(償却等前営業利益)が同72.4%増の2,324百万円、営業利益が同74.7%増の2,116百万円、経常利益が同94.5%増の1,802百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.6%増の663百万円と増収増益決算となり、第5次中期経営計画の最終年度の売上高、利益目標をいずれも達成した。
売上高は海外事業が前期比41.3%増の5,985百万円と高成長が続き、全体の構成比で24.1%を占めるまでに成長したほか、国内事業も新たな取り組みとなる不動産小口化商品「ARISTO京都」(募集総額12.2億円)が完売したことにより、同4.5%増の18,875百万円と堅調に推移した。また、過年度消費税相当額等の引当に伴う特別損失の計上757百万円※を補うため、利益率の高い物件の販売を前倒しで進めたことにより、EBITDAや経常利益は会社計画を上回る大幅増益となった。一方、期末の収益不動産残高は前期末比5.1%減の21,229百万円となり、中期経営計画の目標値を下回った。未達の要因は、首都圏における不動産市況の過熱感が続いたことで、期を通して仕入活動を慎重に進めたこと、また、2019年3月期は業績計画の達成を最優先課題とし、仕入よりも販売に軸足を置いたことによる。
※同社は、2018年7月末に東京国税局から過年度分の消費税に関する更正通知書を受領したことに伴い、過年度分の消費税相当額等757百万円を特別損失として計上した。具体的には、投資用マンション等の居住用収益不動産の仕入時点で発生する、建物部分にかかる仮払消費税の税務申告時の取扱いに関して、税務処理方法の変更を求められたことに起因している。ただ、過去の税務調査では税務処理方法について当局から何の指摘もなかったため、同社は税務処理が適切に行われていたとの認識であり、同年12月に更正処分の取消しを求める訴訟を東京地裁に提起している(審理中)。
2. 事業セグメント別動向
(1) 収益不動産販売事業
収益不動産販売事業の売上高は前期比10.3%増の21,879百万円、EBITDAは同69.7%増の2,558百万円、営業利益は同70.9%増の2,548百万円となった。前述したように利益率の高い物件を前倒しで販売したことにより利益率が大きく上昇し、大幅増益につながった。
地域別の販売棟数を見ると、国内は41棟(前期は35棟)、米国は20棟(同17棟)といずれも増加した。一方、仕入については国内で35棟(同44棟)、米国で19棟(同19棟)となり、仕入高は前期比14.8%減の14,389百万円と減少した。この結果、2019年3月期末の収益不動産残高も前期末比5.1%減の21,229百万円と減少に転じている。なお、期末の収益不動産残高の内訳を見ると、国内は同11.5%減の16,701百万円、海外は同29.3%増の4,527百万円となっている。
(2) ストック型フィービジネス事業
ストック型フィービジネス事業の売上高は前期比20.6%増の3,413百万円、EBITDAは同4.5%増の1,015百万円、営業利益は同0.3%減の881百万円となった。
収益不動産の期中平均残高が前期比16.7%増の22,618百万円となったことで、賃料収入が同18.6%増の1,319百万円と増加し、EBITDAベースの賃料収益も同11.3%増の797百万円となった。EBITDAマージンは前期の34.3%から29.7%に低下したが、これは修繕費用の増加や好採算物件の売却、海外事業での入居者入替えの増加などが要因となっている。その他では、国内収益不動産のプロパティ・マネジメント受託戸数が、前期末比6.3%増の4,746戸と増加し、不動産管理収入の増加につながっている。なお、営業利益が減益となっているが、これはリノベーション工事等を行う子会社の費用増加が主な要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
1. 2019年3月期の業績概要
エー・ディー・ワークス<3250>の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の24,861百万円、EBITDA(償却等前営業利益)が同72.4%増の2,324百万円、営業利益が同74.7%増の2,116百万円、経常利益が同94.5%増の1,802百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.6%増の663百万円と増収増益決算となり、第5次中期経営計画の最終年度の売上高、利益目標をいずれも達成した。
売上高は海外事業が前期比41.3%増の5,985百万円と高成長が続き、全体の構成比で24.1%を占めるまでに成長したほか、国内事業も新たな取り組みとなる不動産小口化商品「ARISTO京都」(募集総額12.2億円)が完売したことにより、同4.5%増の18,875百万円と堅調に推移した。また、過年度消費税相当額等の引当に伴う特別損失の計上757百万円※を補うため、利益率の高い物件の販売を前倒しで進めたことにより、EBITDAや経常利益は会社計画を上回る大幅増益となった。一方、期末の収益不動産残高は前期末比5.1%減の21,229百万円となり、中期経営計画の目標値を下回った。未達の要因は、首都圏における不動産市況の過熱感が続いたことで、期を通して仕入活動を慎重に進めたこと、また、2019年3月期は業績計画の達成を最優先課題とし、仕入よりも販売に軸足を置いたことによる。
※同社は、2018年7月末に東京国税局から過年度分の消費税に関する更正通知書を受領したことに伴い、過年度分の消費税相当額等757百万円を特別損失として計上した。具体的には、投資用マンション等の居住用収益不動産の仕入時点で発生する、建物部分にかかる仮払消費税の税務申告時の取扱いに関して、税務処理方法の変更を求められたことに起因している。ただ、過去の税務調査では税務処理方法について当局から何の指摘もなかったため、同社は税務処理が適切に行われていたとの認識であり、同年12月に更正処分の取消しを求める訴訟を東京地裁に提起している(審理中)。
2. 事業セグメント別動向
(1) 収益不動産販売事業
収益不動産販売事業の売上高は前期比10.3%増の21,879百万円、EBITDAは同69.7%増の2,558百万円、営業利益は同70.9%増の2,548百万円となった。前述したように利益率の高い物件を前倒しで販売したことにより利益率が大きく上昇し、大幅増益につながった。
地域別の販売棟数を見ると、国内は41棟(前期は35棟)、米国は20棟(同17棟)といずれも増加した。一方、仕入については国内で35棟(同44棟)、米国で19棟(同19棟)となり、仕入高は前期比14.8%減の14,389百万円と減少した。この結果、2019年3月期末の収益不動産残高も前期末比5.1%減の21,229百万円と減少に転じている。なお、期末の収益不動産残高の内訳を見ると、国内は同11.5%減の16,701百万円、海外は同29.3%増の4,527百万円となっている。
(2) ストック型フィービジネス事業
ストック型フィービジネス事業の売上高は前期比20.6%増の3,413百万円、EBITDAは同4.5%増の1,015百万円、営業利益は同0.3%減の881百万円となった。
収益不動産の期中平均残高が前期比16.7%増の22,618百万円となったことで、賃料収入が同18.6%増の1,319百万円と増加し、EBITDAベースの賃料収益も同11.3%増の797百万円となった。EBITDAマージンは前期の34.3%から29.7%に低下したが、これは修繕費用の増加や好採算物件の売却、海外事業での入居者入替えの増加などが要因となっている。その他では、国内収益不動産のプロパティ・マネジメント受託戸数が、前期末比6.3%増の4,746戸と増加し、不動産管理収入の増加につながっている。なお、営業利益が減益となっているが、これはリノベーション工事等を行う子会社の費用増加が主な要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>