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クオールHD Research Memo(1):医薬品受託製造への進出を発表。総合ヘルスケアカンパニーを目指す

注目トピックス 日本株
■要約

クオールホールディングス<3034>は大手調剤薬局チェーンの1社で、調剤薬局店舗数で第2位、売上高で第3位(上場企業ベース)の位置にある。マンツーマン薬局と、異業種連携による新業態薬局との2本柱体制に特徴がある。ほかに、BPO事業においてCSO事業やCRO事業、派遣・紹介事業などを行っている。

1. 2019年3月期は保険薬局事業の厳しい事業環境により、減収減益で着地
同社の2019年3月期決算は、売上高144,783百万円(前期比0.5%減)、営業利益7,050百万円(同22.4%減)と減収減益で着地した。主力の保険薬局事業において、2018年4月に調剤報酬・薬価の改定が行われた影響で処方箋単価が下落したほか、M&Aのずれ込みによる新規出店数の未達も重なり、前期比減収減益、計画比未達となったことが全社の収益を押し下げた。BPO事業は4つのサブセグメントすべてが前期比増収を確保し、前期比増収増益を達成したが保険薬局事業の苦戦を補うには至らなかった。

2. M&Aと新業態による規模拡大と、マンツーマン薬局の特長による店舗収益拡大が成長戦略の軸
保険薬局事業の中長期の成長戦略は、規模(店舗数)拡大と既存店の成長という2つの軸から成っており、これは従来から一貫している。2019年3月期はM&Aで50店舗を獲得したが、地域的にも比較的手薄だった中部・近畿地域に地盤を持つ薬局チェーンを傘下に収めることができた。これら店舗は今後、それぞれの商圏において処方元医療機関との連携を深め、マンツーマン薬局として機能充実を図る方針だ。自力出店では異業種連携による新業態薬局の展開に注力しており、今後はローソンとの提携店舗の拡大を急ぐ方針だ。既存店の拡大戦略では、マンツーマン薬局の特長である医療機関との連携やかかりつけ薬剤師・薬局などの機能強化を通じて店舗単位での収益拡大につなげる方針だ。

3. 新規事業として医薬品の受託製造への進出計画を発表
同社はかねてより、BPO事業に並ぶ新規事業を立ち上げ、保険薬局事業を主軸に3つのエンジンで成長を目指す体制構築を想定してきた。今般、新規事業の具体的施策として、医薬品製造事業への進出を公表した。詳細はこれからとなるが、医薬品の受託製造に絞って進出する計画とみられる。具体的アプローチとしては工場買収やM&A、資本参加などの方法が有力と推測される。弊社では、受託製造に特化することや既存工場・企業の取得というアプローチから、事業リスクが低いという第一印象を抱いている。同社は早期の事業開始を目指していると考えらえることから、今期中にも具体的な進捗が見られる可能性があり、今後の推移を注意深く見守りたいと考えている。

■Key Points
・保険薬局事業では規模拡大と既存店の価値創出の2つの軸で成長を目指す戦略は不変
・薬機法改正には、マンツーマン薬局と新業態薬局を核にした店舗戦略で対応していく方針
・新規事業として、医薬品の受託製造事業への進出計画を発表

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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