クオールHD Research Memo(10):主力のCSO事業ではCSO活用企業数が右肩上がり、CMRシェアが上昇
[19/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■クオールホールディングス<3034>の中長期の成長戦略と進捗状況
3. BPO事業の成長戦略と進捗状況
BPO事業は子会社のアポプラスステーションとメディカルクオールの2社が事業主体となっている。会社概要の項で述べたように、中核のアポプラスステーションはCSO事業、派遣紹介事業、CRO事業の3つを展開しており、メディカルクオールの出版関連事業と合わせて4つのサブセグメントに分けられる。
このBPO事業の成長戦略については2018年12月17日付レポートに述べたところから変わってはいない。以下では、BPO事業全体の売上高の3分の2近くを占めるCSO事業と、2番目に規模が大きい派遣紹介事業について状況をアップデートする。
(1) CSO事業の進捗状況
CSO事業は、CMR(コントラクトMRの略。派遣で働くMRのこと)を製薬メーカーに派遣する事業だ。製薬業界では正社員MRを削減し、外部にアウトソースする流れにある。同社のようなCMR事業者にとってはこれが成長シナリオのベースとなる。
製薬業界のMRの数はピークの2013年に65,752人を数えたが、2014年以降は減少基調が続いている。こうしたなかで同社は業界トップの取引企業(製薬会社)数を生かしてCMRシェア(CMR総数に占める自社のCMR数の割合)を引き上げることで、収益の成長を実現する戦略で臨んでいる。具体的には2022年3月期において20%というのがターゲットとなっている。これは、その時点でのCMR総数を4,500人〜5,000人と想定し、その20%に相当する900人〜1,000人体制を構築するというのが計算根拠となっている。2019年3月期における同社のCMR数は530人でCMRシェアは15.2%となった。2018年3月期の14.2%から1ポイント上昇しており、順調な進捗とも言えるが、2022年3月期まで残り3年であり、現状の成長プランの達成のためには、今後の拡大ペースの加速が望まれるところだ。
(2) 医療系人材の派遣紹介事業の進捗状況
同社の派遣紹介事業は医療従事者を対象としている。特長としては幅広い職種を対象としている点にあるが、収益構造としては、売上高の約3分の2を薬剤師が占めており、看護師と登録販売者が残りを2分しているイメージとみられる。これら3職種の他にも助産師、保健師、管理栄養士、医療事務などの派遣・紹介を行っている。
主力の薬剤師の派遣・紹介については、調剤薬局事業者が営む中では第2位の規模(第1位は日本調剤系のファルマスタッフ)にあり、薬剤師派遣・紹介事業者全体でもトップ10に入る規模とみられる。
2019年3月期は薬剤師派遣者数が順調に拡大し、増収を確保した。調剤薬局業界では薬局の高機能化の流れのなか、店舗当たりの薬剤師の数が増加する方向にあるとみられ、それが薬剤師派遣市場の成長のベースとなっていると考えられる。これは言わば構造的な動きであるため、薬剤師派遣事業の成長トレンドは今後も継続すると弊社ではみている。
多少注意を要するのは紹介事業だろう。紹介事業は1回当たりの受取収入が大きく、短期的な収益には派遣事業よりも大きなインパクトがある。しかし紹介事業をベースに成長戦略を描くことにはリスクがあると考えている。派遣事業がいわゆるストック型モデルであるのに対し、紹介事業はフロー型モデルであり、収益変動が大きいためだ。薬剤師資格保持者はその資格を生かして自由度の高い働き方を志向する傾向があると言われており、必ずしも正社員志向が高いわけではないことが収益変動性に拍車をかける可能性があるとみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<SF>
3. BPO事業の成長戦略と進捗状況
BPO事業は子会社のアポプラスステーションとメディカルクオールの2社が事業主体となっている。会社概要の項で述べたように、中核のアポプラスステーションはCSO事業、派遣紹介事業、CRO事業の3つを展開しており、メディカルクオールの出版関連事業と合わせて4つのサブセグメントに分けられる。
このBPO事業の成長戦略については2018年12月17日付レポートに述べたところから変わってはいない。以下では、BPO事業全体の売上高の3分の2近くを占めるCSO事業と、2番目に規模が大きい派遣紹介事業について状況をアップデートする。
(1) CSO事業の進捗状況
CSO事業は、CMR(コントラクトMRの略。派遣で働くMRのこと)を製薬メーカーに派遣する事業だ。製薬業界では正社員MRを削減し、外部にアウトソースする流れにある。同社のようなCMR事業者にとってはこれが成長シナリオのベースとなる。
製薬業界のMRの数はピークの2013年に65,752人を数えたが、2014年以降は減少基調が続いている。こうしたなかで同社は業界トップの取引企業(製薬会社)数を生かしてCMRシェア(CMR総数に占める自社のCMR数の割合)を引き上げることで、収益の成長を実現する戦略で臨んでいる。具体的には2022年3月期において20%というのがターゲットとなっている。これは、その時点でのCMR総数を4,500人〜5,000人と想定し、その20%に相当する900人〜1,000人体制を構築するというのが計算根拠となっている。2019年3月期における同社のCMR数は530人でCMRシェアは15.2%となった。2018年3月期の14.2%から1ポイント上昇しており、順調な進捗とも言えるが、2022年3月期まで残り3年であり、現状の成長プランの達成のためには、今後の拡大ペースの加速が望まれるところだ。
(2) 医療系人材の派遣紹介事業の進捗状況
同社の派遣紹介事業は医療従事者を対象としている。特長としては幅広い職種を対象としている点にあるが、収益構造としては、売上高の約3分の2を薬剤師が占めており、看護師と登録販売者が残りを2分しているイメージとみられる。これら3職種の他にも助産師、保健師、管理栄養士、医療事務などの派遣・紹介を行っている。
主力の薬剤師の派遣・紹介については、調剤薬局事業者が営む中では第2位の規模(第1位は日本調剤系のファルマスタッフ)にあり、薬剤師派遣・紹介事業者全体でもトップ10に入る規模とみられる。
2019年3月期は薬剤師派遣者数が順調に拡大し、増収を確保した。調剤薬局業界では薬局の高機能化の流れのなか、店舗当たりの薬剤師の数が増加する方向にあるとみられ、それが薬剤師派遣市場の成長のベースとなっていると考えられる。これは言わば構造的な動きであるため、薬剤師派遣事業の成長トレンドは今後も継続すると弊社ではみている。
多少注意を要するのは紹介事業だろう。紹介事業は1回当たりの受取収入が大きく、短期的な収益には派遣事業よりも大きなインパクトがある。しかし紹介事業をベースに成長戦略を描くことにはリスクがあると考えている。派遣事業がいわゆるストック型モデルであるのに対し、紹介事業はフロー型モデルであり、収益変動が大きいためだ。薬剤師資格保持者はその資格を生かして自由度の高い働き方を志向する傾向があると言われており、必ずしも正社員志向が高いわけではないことが収益変動性に拍車をかける可能性があるとみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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