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ダイナムジャパンHD Research Memo(8):短期的には消費増税、受動喫煙防止対策が経営上の課題

注目トピックス 日本株
■中長期成長戦略と進捗動向

4. その他のパチンコホールを取り巻く環境変化
(1) 消費増税について
2019年10月に予定されている消費税の引き上げについての影響は限定的とダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>は考えている。同社は過去の5%から8%の増税のときにも様々な施策を実施し、増税の影響を吸収した実績があり、客数確保の施策とコストコントロールの強化によって、今回の増税についても、特に利益面では吸収できると期待される。

(2) 受動喫煙への対応
2018年7月に健康増進法の一部改正が成立し、2020年4月からの施行されることとなった。これと合わせて、東京都を始め、各地の地方自治体においても受動喫煙防止条例を制定する動きが広がっている。これに関して飲食店での喫煙規制が話題となっているが、パチンコホールも同様に制約を受けることになる。現東京都条例を例に取ると、条例施行後は遊技スペースでの喫煙は禁止され、喫煙専用室での喫煙に限定される。ホール側は新たに喫煙専用スペースを設置する必要が出てくる。喫煙専用スペースを設置するスペースがない場合には営業スペースを転用する必要が出てくる上、工事費も必要となる。

この点について同社は、受動喫煙防止の動きは全国共通の事案として、グループの全店において受動喫煙対策を他社に先駆けて進める方針だ。同社は喫煙問題については非常に早い時期から経営の課題と認識して対応を進めてきた実績がある。具体的には、基幹会社のダイナムにおいて完全分煙店「信頼の森」を24店舗展開しているほか、ある時期からは新規出店(自社出店)に際しては完全分煙を視野に入れた店舗開発を行ってきている。これらの店舗については、ゼロコストで受動喫煙防止対策が可能だ。

一方、比較的古い店舗では喫煙専用室の設置工事などが必要となるが、その店舗数はグループ全体で243店舗(うち、ダイナム200店舗、キャビンプラザ8店舗、夢コーポレーション35店舗)とされている。基幹会社ダイナムの約半数の店舗と、グループ会社の店舗が対象ということになる。これに要する費用は総額で数億円と同社では試算している。この規模は同社の年間店舗改修費用の枠内に問題なく収まる規模であり、業績の圧迫要因にはならないと弊社ではみている。


2018年規則の施行は店舗網拡大へアクセルを踏み込むタイミング。手法についてはM&Aよりも自社出店が中心となる可能性
5. 店舗網拡大への取り組み
店舗網拡大に向けた取り組みについては、現時点で明らかにされていることは多くはない。2018年規則の完全施行(2021年2月1日)を契機とする大再編時代の到来が、同社にとっては店舗網拡大のアクセルを踏み込む契機となると弊社では考えている。同社は既にそれを意識して店舗網拡大に向けた調査や土地の確保などを進めつつあるもようだ。

“業界再編”聞くと大型M&Aの実施をイメージする向きも多いと考えられるが、同社の場合、M&Aが必ずしも最適解とは限らないと弊社では考えている。チェーンストア理論に基づく店舗の開発・運営が同社の競争力の源泉であるのは会社概要の項で説明したとおりだ。その同社にとって、経営効率で劣る他社店舗をM&Aで取得してもあまり意味はないだろう。同社がそうした考え方に立って自社出店で拡大を進める場合には、当初の数年は比較的穏やかな拡大ペースとなる可能性があると弊社ではみている。仮にM&Aを行うとすれば、同社と同じくチェーンストア理論を導入して経営している事業者や、同社が有しない商圏を確保しているなどの、明確な特長を有するケースに限定されるものと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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