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日本ライフL Research Memo(1):中期高成長を継続

注目トピックス 日本株
■要約

日本ライフライン<7575>は、循環器系医療機器の輸入商社であり、メーカーである。設立以来、海外の先端医療機器を国内へ導入して販売拠点を全国に広げる一方、医療現場のニーズにきめ細かく対応した自社製品を開発してきた。こうした販売体制、製造体制に、医療機器導入に必要な薬事承認を取得する薬事体制も備えている。加えて独立系ということもあり、日本に販路を持たない海外メーカーにとって、同社は日本におけるベストパートナーということができる。このため、独占販売契約になることが多い仕入商品は、同業商社に比べて売上総利益率が相当に高い。このように販売体制や製造体制、薬事体制など付加価値の高い機能を有していることから、同社の収益性は、メーカーを含めた医療機器業界の中でも特に高位に位置する。

同社の品目領域は、リズムディバイス、EP/アブレーション、外科関連、インターベンションの4つである。リズムディバイスでは、不整脈治療用の機器などを扱っているが、現在、メインの供給元をMicroPortから世界的な医療機器メーカーのBoston Scientific Corporationへとスイッチするため過渡期となっている。EP/アブレーションでは、不整脈検査・治療用のディスポーザブル式の電極付きカテーテルなどを取り扱っている。2019年3月期の心房細動(AF:Atrial Fibrillation)のアブレーション治療の症例数(以下、「AF症例数」)は前期比17%増になるなど、近年、急速に伸びている。外科関連では、機能を喪失した血管を置き換える治療に用いられる人工血管等を扱っている。インターベンションでは、主に心筋梗塞や狭心症などを治療するための医療機器を扱っている。また、最近では、消化器等、循環器系以外の領域へも進出しつつある。

2019年3月期の業績は、売上高45,525百万円(前期比7.6%増)、営業利益10,526百万円(同1.4%減)となった。増収減益となったが、これは2018年3月期に子会社合併に伴って未実現利益の調整1,170百万円が発生し、売上総利益を一時的に押し上げる要素があったことが要因である。未実現利益の影響を控除した実質的な営業利益は前期比10.8%増と好調だった。とはいえ、「Orsiro」など期待された大型の新商品が苦戦し、期中で業績を下方修正した。2020年3月期の業績見通しについて、同社は売上高54,059百万円(同18.7%増)、営業利益10,465百万円(同0.6%減)を見込んでいる。業績見通し上のキーファクターはリズムディバイスでの仕入先変更である。2019年9月より従来のMicroPort社製品からBoston Scientific社製品へ切り替え、本格的な販売開始を予定している。2019年8月末までは医療機関の買い控え等の影響から、上期の収益成長は限定的だが、9月以降については前年比大幅増となる計画である。

2018年から2019年にかけて、従来からの重要な契約の変更が複数発生しており、中長期的な成長戦略において修正が見られた。自社製品を強化することで高収益体質を狙うことには変わりはないが、大型の新商品の上市やBoston Scientificとの独占販売契約により仕入商品の売上高が増加することで自社製品比率が下がり、売上総利益率の低下が見込まれている。しかし一方で、Boston Scientific社製品を同社の国内全域に張り巡らされた販売ネットワークに乗せることで、1人あたり売上高等の販売効率は大きく上昇する見込みであり、結果として販管費率の改善が期待される。したがって、同社はローリング後の中期経営計画で売上総利益率は引き下げたが、売上高の拡大と販管費率の低下を織り込み、2024年3月期売上高894億円、営業利益率23%(営業利益205億円)を目標値とした。シナリオは変わっても、同社の成長性は変わっていないとみられる。

■Key Points
・循環器系医療機器のメーカー兼商社。近年循環器系以外へも進出
・独占販売契約に基づく販売形態により、輸入商品も高採算
・Boston Scientificとの長期独占販売契約を機に、踊り場の後は再成長期へ

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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