日本ライフL Research Memo(6):2019年3月期は実質2ケタ営業増益と順調に業容拡大
[19/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年3月期の業績動向
日本ライフライン<7575>の2019年3月期の業績は、売上高45,525百万円(前期比7.6%増)、営業利益10,526百万円(同1.4%減)、経常利益10,808百万円(同0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,723百万円(同3.3%増)となった。高齢化が急速に進むなか、患者の身体的負担を低減し医療費削減の期待もできる低侵襲な医療機器が求められている。一方、国は保険償還価格の引き下げを継続して行っており、旧来からある医療機器を中心に販売価格は低下傾向にある。こうした環境下、医療機器メーカー・卸各社の競争は激しくなるが、同社は引き続き海外の先端的な医療機器メーカーの製品を日本国内へ導入する一方、医療現場のニーズを反映した自社製品を開発・製造し、競争力を高めている。
リズムディバイスで、2018年4月の公定価格引き下げによる影響及び2018年8月に仕入先変更の公表に伴い、既存品の販売が減少した。EP/アブレーションでは、心房細動のアブレーション治療の症例数の増加を受けて、同社のオンリーワン製品である心腔内除細動カテーテルを始めとする心房細動治療の関連商品が伸長したほか、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル「HeartLight」も売上に貢献した。ほかに、外科関連では人工血管関連商品の販売が好調、公定価格引き下げなどの影響を受けたインターベンションでは、薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro」の発売が寄与した。
利益面では、売上総利益率は、自社製品の売上構成比は横ばいだったものの、収益性の高い自社製品が伸びたため単体ベースでは改善した。しかしながら、2018年3月期に子会社合併に伴う未実現利益の調整として計上した1,170百万円(売上総利益増加のインパクト)が2019年3月期にはないことから、連結ベースでは前期に比べ1.7ポイント低下した。販管費は、事業体制の強化に伴う人件費、新商品の拡販に伴う広告宣伝費や旅費交通費が増加した。以上により営業減益となったが、1,170百万円の未実現利益の調整を考慮すると、営業利益は実質的には前期比10.8%増となる。
2018年11月にリズムディバイスにおいて、世界的に高い競争力を有するボストン・サイエンティフィックジャパンとCRM関連製品に関する独占販売契約を締結した。同社の課題だった頻脈治療領域を補完することができ、強みのあるEP/アブレーションと合わせ、長期的な成長に向けた事業基盤を確保したといえよう。メーカー機能においては、自社製品の供給力の確保へ向けてマレーシア工場の建設を進める一方、カテーテル関連技術の拡充を図るため国内の小山ファクトリーの2期棟の建設に着手した。さらに、培った技術やノウハウの応用することで、大腸ステントや肝癌治療デバイスなど他の領域への進出も計画している。
大型新商品の立ち上がりの遅れや一部販売終了品の影響をカバー
2. 2019年3月期の品目別動向
リズムディバイスの売上高は5,862百万円(前期比19.1%減)となった。2018年4月の公定価格引き下げの影響もさることながら、2018年8月に仕入先変更に関する公表を行ったことを受け、心臓ペースメーカやICD関連の現行商品の買い控えが起きたことが主な要因である。このため現在、リズムディバイス商品の新たな供給元となるボストン・サイエンティフィック ジャパンと、2019年9月からの同社製品の本格販売開始に向けた準備を進めている。なお、Boston Scientific供給の頻脈治療領域におけるオンリーワン商品である、完全皮下植込み型除細動器システム(S-ICDシステム)「EMBLEM MRI S-ICD(エンブレムMRI S-ICD)システム」について、2019年4月より先行的に全認定施設で販売を開始することになった。同社が重要視する頻脈治療領域の商品の販売を始めることで、Boston ScientificのCRM関連製品の全面的な販売開始に向けた体制整備を進め、CRM事業を早期に拡大していくことを計画している。
EP/アブレーションの売上高は23,060百万円(前期比13.2%増)となった。EPカテーテルでは、心房細動のアブレーション治療の症例数増加を背景に、オンリーワン製品である心腔内除細動カテーテル「BeeAT(ビート)」など自社製品、オンリーワン商品の高周波心房中隔穿刺針「RFニードル」が売上を伸ばした。アブレーションカテーテルでは、従来品の高周波を用いるアブレーションカテーテルの販売数量は減少した。2018年7月に上市した内視鏡レーザーアブレーションカテーテル「HeartLight」については、やや物足りない進捗とはいえ徐々に医療機関への導入が進んでいる。バルーンテクノロジーを用いた心房細動のアブレーション治療は、手技の簡便化から今後も一層の普及が見込まれるうえ、内視鏡とレーザーを組み合わせることで症例に合わせたきめ細かな治療が可能という特長から医療現場への浸透が進みつつある。
外科関連の売上高は11,730百万円(前期比2.3%増)となった。人工血管関連においては、大動脈疾患を経皮的に治療するステントグラフトで、腹部領域を対象とした商品である「AFX2ステントグラフトシステム」が伸長した。一方、胸部領域の商品については、2019年3月に独占販売契約が終了することを受け販売数量が減少した。自社製品では、胸部大動脈疾患の開胸手術の低侵襲化に寄与する、オンリーワン製品のオープンステントグラフト「J-Graft FROZENIX」の販売が堅調に推移、人工血管も増収とすることができた。人工心臓弁関連商品では、カテーテルを用いた低侵襲治療の普及が進んだことから売上高が減少、現行の独占販売契約が満了する2019年5月末をもって取り扱いを終了した。
インターベンションの売上高は4,872百万円(前期比51.2%増)となった。バルーンカテーテルは公定価格引き下げの影響などにより売上高が減少、ガイドワイヤーは2018年10月より本格販売した「Amati」の寄与により売上高は増加した。その他の品目では、心房中隔欠損閉鎖器具「Figulla Flex II」と貫通用カテーテル「Guideliner」は、競合製品の影響により売上高が減少した。一方、2018年3月に導入した薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro」は、立ち上がりが想定以上に厳しく当初見込みに達しなかったが、下期にサイズラインナップを拡充したことで徐々に販売数量が増加している。虚血性心疾患治療領域では、独占販売ではないが、PCI(経皮的冠動脈形成術)治療の適切な実施をサポートする血管内圧測定用センサ付ガイドワイヤ「OptoWire」を2018年10月に発売した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2019年3月期の業績動向
日本ライフライン<7575>の2019年3月期の業績は、売上高45,525百万円(前期比7.6%増)、営業利益10,526百万円(同1.4%減)、経常利益10,808百万円(同0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,723百万円(同3.3%増)となった。高齢化が急速に進むなか、患者の身体的負担を低減し医療費削減の期待もできる低侵襲な医療機器が求められている。一方、国は保険償還価格の引き下げを継続して行っており、旧来からある医療機器を中心に販売価格は低下傾向にある。こうした環境下、医療機器メーカー・卸各社の競争は激しくなるが、同社は引き続き海外の先端的な医療機器メーカーの製品を日本国内へ導入する一方、医療現場のニーズを反映した自社製品を開発・製造し、競争力を高めている。
リズムディバイスで、2018年4月の公定価格引き下げによる影響及び2018年8月に仕入先変更の公表に伴い、既存品の販売が減少した。EP/アブレーションでは、心房細動のアブレーション治療の症例数の増加を受けて、同社のオンリーワン製品である心腔内除細動カテーテルを始めとする心房細動治療の関連商品が伸長したほか、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル「HeartLight」も売上に貢献した。ほかに、外科関連では人工血管関連商品の販売が好調、公定価格引き下げなどの影響を受けたインターベンションでは、薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro」の発売が寄与した。
利益面では、売上総利益率は、自社製品の売上構成比は横ばいだったものの、収益性の高い自社製品が伸びたため単体ベースでは改善した。しかしながら、2018年3月期に子会社合併に伴う未実現利益の調整として計上した1,170百万円(売上総利益増加のインパクト)が2019年3月期にはないことから、連結ベースでは前期に比べ1.7ポイント低下した。販管費は、事業体制の強化に伴う人件費、新商品の拡販に伴う広告宣伝費や旅費交通費が増加した。以上により営業減益となったが、1,170百万円の未実現利益の調整を考慮すると、営業利益は実質的には前期比10.8%増となる。
2018年11月にリズムディバイスにおいて、世界的に高い競争力を有するボストン・サイエンティフィックジャパンとCRM関連製品に関する独占販売契約を締結した。同社の課題だった頻脈治療領域を補完することができ、強みのあるEP/アブレーションと合わせ、長期的な成長に向けた事業基盤を確保したといえよう。メーカー機能においては、自社製品の供給力の確保へ向けてマレーシア工場の建設を進める一方、カテーテル関連技術の拡充を図るため国内の小山ファクトリーの2期棟の建設に着手した。さらに、培った技術やノウハウの応用することで、大腸ステントや肝癌治療デバイスなど他の領域への進出も計画している。
大型新商品の立ち上がりの遅れや一部販売終了品の影響をカバー
2. 2019年3月期の品目別動向
リズムディバイスの売上高は5,862百万円(前期比19.1%減)となった。2018年4月の公定価格引き下げの影響もさることながら、2018年8月に仕入先変更に関する公表を行ったことを受け、心臓ペースメーカやICD関連の現行商品の買い控えが起きたことが主な要因である。このため現在、リズムディバイス商品の新たな供給元となるボストン・サイエンティフィック ジャパンと、2019年9月からの同社製品の本格販売開始に向けた準備を進めている。なお、Boston Scientific供給の頻脈治療領域におけるオンリーワン商品である、完全皮下植込み型除細動器システム(S-ICDシステム)「EMBLEM MRI S-ICD(エンブレムMRI S-ICD)システム」について、2019年4月より先行的に全認定施設で販売を開始することになった。同社が重要視する頻脈治療領域の商品の販売を始めることで、Boston ScientificのCRM関連製品の全面的な販売開始に向けた体制整備を進め、CRM事業を早期に拡大していくことを計画している。
EP/アブレーションの売上高は23,060百万円(前期比13.2%増)となった。EPカテーテルでは、心房細動のアブレーション治療の症例数増加を背景に、オンリーワン製品である心腔内除細動カテーテル「BeeAT(ビート)」など自社製品、オンリーワン商品の高周波心房中隔穿刺針「RFニードル」が売上を伸ばした。アブレーションカテーテルでは、従来品の高周波を用いるアブレーションカテーテルの販売数量は減少した。2018年7月に上市した内視鏡レーザーアブレーションカテーテル「HeartLight」については、やや物足りない進捗とはいえ徐々に医療機関への導入が進んでいる。バルーンテクノロジーを用いた心房細動のアブレーション治療は、手技の簡便化から今後も一層の普及が見込まれるうえ、内視鏡とレーザーを組み合わせることで症例に合わせたきめ細かな治療が可能という特長から医療現場への浸透が進みつつある。
外科関連の売上高は11,730百万円(前期比2.3%増)となった。人工血管関連においては、大動脈疾患を経皮的に治療するステントグラフトで、腹部領域を対象とした商品である「AFX2ステントグラフトシステム」が伸長した。一方、胸部領域の商品については、2019年3月に独占販売契約が終了することを受け販売数量が減少した。自社製品では、胸部大動脈疾患の開胸手術の低侵襲化に寄与する、オンリーワン製品のオープンステントグラフト「J-Graft FROZENIX」の販売が堅調に推移、人工血管も増収とすることができた。人工心臓弁関連商品では、カテーテルを用いた低侵襲治療の普及が進んだことから売上高が減少、現行の独占販売契約が満了する2019年5月末をもって取り扱いを終了した。
インターベンションの売上高は4,872百万円(前期比51.2%増)となった。バルーンカテーテルは公定価格引き下げの影響などにより売上高が減少、ガイドワイヤーは2018年10月より本格販売した「Amati」の寄与により売上高は増加した。その他の品目では、心房中隔欠損閉鎖器具「Figulla Flex II」と貫通用カテーテル「Guideliner」は、競合製品の影響により売上高が減少した。一方、2018年3月に導入した薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro」は、立ち上がりが想定以上に厳しく当初見込みに達しなかったが、下期にサイズラインナップを拡充したことで徐々に販売数量が増加している。虚血性心疾患治療領域では、独占販売ではないが、PCI(経皮的冠動脈形成術)治療の適切な実施をサポートする血管内圧測定用センサ付ガイドワイヤ「OptoWire」を2018年10月に発売した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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