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Iスペース Research Memo(4):eコマース、サービス分野を中心にインターネット広告事業が2ケタ増収増益に

注目トピックス 日本株
■インタースペース<2122>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前年同期比11.9%増の15,209百万円、営業利益は同56.8%増の656百万円と好調に推移した。前述したようにeコマース分野で大型案件の受注を当第2四半期(2019年1月-3月)に獲得したことが主因となっている。また、2018年9月期より大手メディアで一部の商材(コスメ、健康食品及び金融商品)の広告規制が実施されており、当期もその影響が続くと見ていたが、健康食品等を中心に総じて受注が堅調に推移したことも収益増につながった。

売上高の内訳を見ると、アフィリエイト広告が前年同期比22%増の13,214百万円と半期ベースで過去最高を更新した一方で、SFAが同34%減の1,420百万円、その他(ネイティブ広告、その他広告商材)が同1%減の573百万円とそれぞれ減収となった。SFAについては、スマートフォン市場が低迷していることに加えて、現在の主力商材であるスマートフォン向けセキュリティ商品「NWノートンストア」の売上計上方法が月額計上方式となっていることも影響している。従来の主力商材は契約時一括売上計上方式であったため、これら商材の販売減が響いた格好となっている。ただ、セキュリティ商品についてはストック型収益として継続的に売上げに寄与するため、今後も安定収益源につながる商品として期待される。

インターネット広告事業のカテゴリー別売上高の前年同期比増減率を見ると、eコマースが34%増、金融・保険が8%増、サービスが16%増と主力カテゴリーがいずれも増収を維持した一方で、エンターテイメントが14%減と縮小傾向が続いた。eコマースに関しては大型受注の獲得効果が大きい。

なお、当期は海外パートナーとの連携強化により、外資系企業のインバウンドプロモーション案件の受注が増えていることも特徴となっている。ミュージックアプリやオンデマンドサービスなどを中心に月商で20百万円と前期比で2倍増の規模にまで拡大している。これは同社がクロスボーダーチームを組織化しており、直接これら顧客企業とコミュニケーションすることで同業他社よりも先行して受注を獲得できていることが要因となっている。

また、海外事業についてはタイで金融、eコマース関連が好調に推移し黒字化しているほか、インドネシアも黒字化まではあと一歩だがeコマース関連を中心に堅調に推移している。ベトナムの持分法適用関連会社についてはeコマース関連が好調で越境EC案件なども取り組みを開始している。海外事業全体では売上規模としては数億円規模と順調に拡大しており、利益に関してはまだ先行投資段階であり影響は軽微となっている。なお、従来アドネットワーク広告を手掛けていたシンガポールや2018年10月に新設したマレーシアについては、当第3四半期以降にアフィリエイトサービスを展開していく予定となっている。

そのほか、「X-lift」によるネイティブ広告の販売については、収益性の観点から提携メディアの配信枠を絞り込んだこともあって減少した。配信枠の仕入原価が高く収益性については依然、厳しい状況であるが、同社では事業精査を行い改善に努めている。

(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前年同期比23.2%増の551百万円、営業利益は同87.0%減の9百万円となった。主な売上高の内訳を見ると、メディア広告については前年同期比61%増の352百万円、コンテンツについては同40%減の134百万円となった。

メディア広告の増収要因は、主力の「ママスタジアム」や「4MEEE」において記事タイアップ広告の受注が好調に推移したこと、また、4MEEEについては前第2四半期からの売上寄与であったことが要因となっている。とはいえ、当第2四半期(2019年1月-3月)だけで見ても、売上高は前年同期比28%増収と順調に増加している。なお、「ママスタジアム」の利用ユーザー数が当第1四半期(2018年10月-12月)以降、1,000万UUから730万UUに減少しているが、これがGoogleの検索アルゴリズムの変更が要因となっており、第3四半期以降は再び増加するものと予想される。UU数が減っても「ママスタジアム」についての媒体価値は落ちておらず、記事タイアップ広告などを中心に売上は順調に伸びているようだ。

一方、ネイティブアプリ等を提供するコンテンツ事業は、前第4四半期にアップストアの規制が強化※された影響やAuのスマートパス経由の収入も減少傾向にあることが売上低迷の要因となっている。ただ、欧州向けについてはほぼ下げ止まったと見ている。

※欧州で2018年5月に施行されたGDPR(一般データ保護規則)に伴い、アップストアではレギュレーションを変更し、同一会社で類似アプリの登録審査が厳しくなった。


なお、同事業では新たな取り組みとして新コンテンツ、新サービスの開発に注力しており、当第2四半期では「ママスタジアム」内の新コンテンツとして保育園探しを支援する「ママスタ保活」を2019年2月にリリースしている。各地域の保育園情報を同社独自のデータ収集によって、場所やさまざまな保育条件等から、該当する保育園を検索できるサービス(無料)となっている。

また、新サービスとして月額定額500円で毎日1杯のドリンクの無料サービスを加盟飲食店で受けられるスマートフォン向けサービス「welnomi(ウェルノミ)」の提供を開始している。2019年2月より加盟飲食店の事前登録を開始し、同年6月時点で10都道府県、約300店舗が加盟店となっており、ユーザーの事前登録数も2千人と突破している。2019年7月末まで月額無料キャンペーンを行っており、有料化移行もこれら利用ユーザーをいかにつなぎとめられるか、新規ユーザーを増やしていくことができるかが事業を伸ばしていくうえでのポイントとなる。

なお、利益が大幅減益となったのは新コンテンツ、新サービス開発のための人員を増員したことが主因で、前第2四半期末の人員43名に対して、当第2四半期末は14名増の57名まで増加している。同社では、新サービスや新コンテンツ開発、育成のための先行投資期間と位置付けており、計画どおりの進捗となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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