動物高度医療 Research Memo(4):連携病院数、初診件数は増加基調
[19/07/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
4. 連携病院数及び初診件数
診療件数は一次診療施設からの紹介件数によるため、日本動物高度医療センター<6039>は特に初診件数(新規に受け入れた症例数)を最も重要な経営指標と位置付けている。そして連携病院数の増加が初診件数や総診療件数(初診数と再診数の合計)の増加、すなわち収益の拡大につながる。
連携病院に関しては、同社Webサイトにおける連携病院としての紹介、学術情報等の提供、診療手術への参加、同社施設の利用(有料)等のサービスを提供している。
学会発表やセミナー開催などの学術活動を継続的に推進して連携動物病院の増加を図り、連携病院数は増加基調である。2010年3月末の2,248施設から2019年3月末の3,525施設まで増加した。さらに2019年4月末時点では3,540施設まで増加している。病院の新規開業に伴って受入体制が強化されるため、連携病院数も病院の新規開業(2011年12月名古屋病院、2018年1月東京病院)時に大幅増加する傾向がある。また連携病院数の増加に伴って、全国の小動物診療施設軒数に対する連携病院数の割合も、2010年3月末の22.2%から2019年3月末の29.4%に上昇している。
連携病院数の増加基調に連動する形で、初診件数及び総診療件数は増加基調である。また初診から手術に至る割合はおおむね3分の1程度で推移しており、初診件数の増加に伴って手術件数も増加基調である。2019年3月期(通期)の初診件数は2018年3月期比23.4%増の6,032件、総診療件数は15.1%増の23,819件、手術件数は13.1%増の1,802件となった。
高度医療専門の総合病院への参入障壁高く、競合リスクは小さい
5. 収益特性・リスク要因と対策
収益特性・リスク要因としては、一次診療施設からの紹介への依存、新規病院開業に伴う収益変動、ペット飼育頭数の減少や競合など事業環境の変化、診療サービスの過誤や診療動物間での感染症流行、獣医師法や獣医療法といった法令の改正による規制強化、人材の育成・確保などがある。
競合に関しては、一次診療施設の動物病院数は増加傾向(農林水産省調べによる全国の小動物診療施設軒数は2009年末の10,135軒から2018年末の11,981軒まで増加)だが、同社は一次診療施設と直接競合せず、一次診療施設と連携するビジネスモデルである。そして連携病院数は増加基調であり、全国の小動物診療施設軒数に対する連携病院数の割合も2010年3月末の22.2%から2019年3月末の29.4%に上昇している。また患者動物に最適な検査・診断・治療を迅速に提供できる高度医療専門の総合病院への参入障壁は高く、競合激化リスクは小さいと考えられる。
質の高い獣医師・動物看護師の育成・確保に注力
6. 人材の育成・確保
高度な医療サービスを提供するには質の高い獣医師・動物看護師の存在が必須であり、同社は中期成長に向けて人材の育成・確保に注力している。
同社単体ベースの2019年3月末時点の職員数は169名(2018年3月末比20名増加)である。このうち現場で診療に携わる獣医師は76名、看護師は49名である。医師不足で大量の採用・増員が難しく、時間外労働の上限規制などの影響も警戒される状況だが、人材の育成・確保は着実に進展している。
人材の育成・確保に関しては、大学・専門学校・各種団体との関係性・人脈形成による採用強化に加えて、卒後臨床研修制度(2008年4月開始)を通じた獣医師育成も行っている。卒後臨床研修制度は、大学卒業後2年間に体系的なカリキュラムと指導体制のもとで、獣医師としての人格や価値観を育成し、患者動物を体系的に診ることができる基本的な診療能力を習得することを目的とした制度である。
また看護師の活用に対する期待が高まっている。動物看護師は現状では獣医師法によって補助業務しか行えないが、高度化する動物医療に対応するため、動物看護師を国家資格化して人間医療と同様に採血や投薬などの医療行為を行えるようにする法案(愛玩動物看護師法案)が成立した。同社の看護師は既に民間資格を取得しており、国家資格への移行もスムーズに進展すると考えられ、看護師活用による獣医師の負担軽減や業務の効率化につながることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SF>
4. 連携病院数及び初診件数
診療件数は一次診療施設からの紹介件数によるため、日本動物高度医療センター<6039>は特に初診件数(新規に受け入れた症例数)を最も重要な経営指標と位置付けている。そして連携病院数の増加が初診件数や総診療件数(初診数と再診数の合計)の増加、すなわち収益の拡大につながる。
連携病院に関しては、同社Webサイトにおける連携病院としての紹介、学術情報等の提供、診療手術への参加、同社施設の利用(有料)等のサービスを提供している。
学会発表やセミナー開催などの学術活動を継続的に推進して連携動物病院の増加を図り、連携病院数は増加基調である。2010年3月末の2,248施設から2019年3月末の3,525施設まで増加した。さらに2019年4月末時点では3,540施設まで増加している。病院の新規開業に伴って受入体制が強化されるため、連携病院数も病院の新規開業(2011年12月名古屋病院、2018年1月東京病院)時に大幅増加する傾向がある。また連携病院数の増加に伴って、全国の小動物診療施設軒数に対する連携病院数の割合も、2010年3月末の22.2%から2019年3月末の29.4%に上昇している。
連携病院数の増加基調に連動する形で、初診件数及び総診療件数は増加基調である。また初診から手術に至る割合はおおむね3分の1程度で推移しており、初診件数の増加に伴って手術件数も増加基調である。2019年3月期(通期)の初診件数は2018年3月期比23.4%増の6,032件、総診療件数は15.1%増の23,819件、手術件数は13.1%増の1,802件となった。
高度医療専門の総合病院への参入障壁高く、競合リスクは小さい
5. 収益特性・リスク要因と対策
収益特性・リスク要因としては、一次診療施設からの紹介への依存、新規病院開業に伴う収益変動、ペット飼育頭数の減少や競合など事業環境の変化、診療サービスの過誤や診療動物間での感染症流行、獣医師法や獣医療法といった法令の改正による規制強化、人材の育成・確保などがある。
競合に関しては、一次診療施設の動物病院数は増加傾向(農林水産省調べによる全国の小動物診療施設軒数は2009年末の10,135軒から2018年末の11,981軒まで増加)だが、同社は一次診療施設と直接競合せず、一次診療施設と連携するビジネスモデルである。そして連携病院数は増加基調であり、全国の小動物診療施設軒数に対する連携病院数の割合も2010年3月末の22.2%から2019年3月末の29.4%に上昇している。また患者動物に最適な検査・診断・治療を迅速に提供できる高度医療専門の総合病院への参入障壁は高く、競合激化リスクは小さいと考えられる。
質の高い獣医師・動物看護師の育成・確保に注力
6. 人材の育成・確保
高度な医療サービスを提供するには質の高い獣医師・動物看護師の存在が必須であり、同社は中期成長に向けて人材の育成・確保に注力している。
同社単体ベースの2019年3月末時点の職員数は169名(2018年3月末比20名増加)である。このうち現場で診療に携わる獣医師は76名、看護師は49名である。医師不足で大量の採用・増員が難しく、時間外労働の上限規制などの影響も警戒される状況だが、人材の育成・確保は着実に進展している。
人材の育成・確保に関しては、大学・専門学校・各種団体との関係性・人脈形成による採用強化に加えて、卒後臨床研修制度(2008年4月開始)を通じた獣医師育成も行っている。卒後臨床研修制度は、大学卒業後2年間に体系的なカリキュラムと指導体制のもとで、獣医師としての人格や価値観を育成し、患者動物を体系的に診ることができる基本的な診療能力を習得することを目的とした制度である。
また看護師の活用に対する期待が高まっている。動物看護師は現状では獣医師法によって補助業務しか行えないが、高度化する動物医療に対応するため、動物看護師を国家資格化して人間医療と同様に採血や投薬などの医療行為を行えるようにする法案(愛玩動物看護師法案)が成立した。同社の看護師は既に民間資格を取得しており、国家資格への移行もスムーズに進展すると考えられ、看護師活用による獣医師の負担軽減や業務の効率化につながることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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