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フェローテク Research Memo(9):半導体製造装置業界向けは失速予想もウエーハ加工などで増収維持の計画(2)

注目トピックス 日本株
■フェローテックホールディングス<6890>の今後の見通し

2. セグメント別見通し
セグメント別売上高、サブセグメント別売上高の予想は以下のようになっている。

(1) 半導体等装置関連:売上高60,800百万円(前期比8.7%増)
a) 真空シール関連事業の売上高は8,500百万円(同28.5%減)が予想されている。半導体製造装置向けはメモリー系投資延期の影響で、弱含みの可能性がある。FPD市場では、有機EL・液晶とも需要は弱含みの見通し。受託加工の需要は、太陽電池、半導体製造装置以外の需要を取り込み、稼働率を維持する計画だ。

主な施策は半導体製造装置メーカーとの共同開発を継続、大型加工機の設備投資を継続、同社グループ間の関係を強化してシナジー効果を得ること、グループ各社の既存チャネル・ブランドを活用し中国市場での営業を強化することである。

b) 石英製品の売上高は16,800百万円(同7.8%増)が予想されている。メモリー系(DRAM、3D-NAND)を中心に、半導体製造装置投資は一服感が出ているが2020年(第4四半期)から回復が予想される。消耗品比率の高い石英製品については、需給関係は悪くはない。微細化高温プロセス向けのSiポート、Siパーツも増加の見通し。

主な施策としては、大手OEM需要に対応するため設備を大幅に増設した(中国常山工場、東台工場の2拠点稼働中)。さらに次世代、次々世代用の開発案件への取り組みを強化する。(国内では山形に開発拠点をオープン、次世代開発製品の工場が2019年5月から稼働している。)

c) セラミックス製品の売上高は10,200百万円(前期比0.2%減)が予想されている。マシナブルセラミックスでは、国内半導体検査治具が復調する見込みで、微細化に伴う新タイプの冶具も伸長すると期待されている。一般産業用も引き続き堅調の予想。ファインセラミックスでは、国内半導体成膜装置部品は堅調に推移する見込みだが、海外成膜装置は低迷が予想される。

継続販売方針としては、マシナブルセラミックスでは微細化に伴う新型冶具の販売に注力、さらに高機能物性を持ったマシナブルセラミックスの拡販に注力する。ファインセラミックスでは、国内外の半導体装置部品及び一般産業機械部品などへ幅広い販売に注力する。

d) CVD-SiC製品の売上高は2,600百万円(同7.1%減)と微減が予想されている。国内外の半導体製造装置向け部材は、投資の延期、在庫調整などの影響で上半期は低調の予想、下半期からの回復を見込む。Sicエピ装置向け高純度耐熱部材は、堅調に推移する見込みで、来年(2020年)はさらに増加が期待されている。

施策としては、半導体製造装置向け消耗部材の拡販、生産体制の整備を進める。日本、中国の半導体製造装置メーカーへの新規採用に注力する。Sic半導体分野の開発・試作体制を強化する。

e) 半導体ウエーハ加工の売上高は10,500百万円(同45.1%増)が予想されている。6インチは既に40万枚/月体制が整っており、引き続き高稼働を維持する見込み。また8インチについては、上海工場(月産10万枚)をベースに通期での販売増を目指す。さらに今後は、杭州の新工場での機械装置搬入及び立ち上げに注力し、2021年3月期までに月産45万枚体制(現在の10万枚を含む)を構築する計画だ。

f) 装置部品洗浄:「その他」セグメントから分離し、2019年3月期から半導体等装置関連事業の新しいサブセグメントとして開示されており、2020年3月期の売上高は6,600百万円(同90.3%増)が予想されている。安徽(アンキ)省の新拠点と四川省内江の第2工場が立ち上がっており、更なる増産を継続する。

g) 石英坩堝の売上高は1,800百万円(同67.9%増)と予想されている。2020年3月期からこのセグメントに移動。半導体向けの販売が好調、8インチ向け大型坩堝も増加している。坩堝は半導体向けが中心となりつつあり、高付加価値のため売上総利益は増加傾向である。太陽電池向けは一部の大口径のみ販売する。

施策としては、半導体向けに注力し、拡販を目指す。半導体坩堝専用の工場(クリーン化、自動化後工程)の新棟が完成し、稼動開始した。近い将来32インチ化に備え大型溶解炉の開発に取り組む。早ければ、2019年下期に量産開始を目指す。

(2) 電子デバイス:14,900百万円(前期比15.5%増)
a) サーモモジュール製品の売上高は13,700百万円(同14.8%増)と回復が予想されている。自動車向けでは、温調シートは引き続き低調の見込みで、次世代の自動車用途への応用製品の開拓を進める。その他の産業用では、5Gなど通信機器向けの需要拡大を見込む。また需要増が期待されるパワー半導体基板は生産能力増強を継続する。

施策としては、TEのサブアッセンブリ製品の世界的拡販活動を展開する。自動車向け新アプリケーション開拓をさらに強化する。パワー半導体基板は、窒化ケイ素・窒化アルミニウム新素材の開拓を強化する。

b) 磁性流体・その他の売上高は1,200百万円(同24.1%増)が予想されている。

(3) 太陽電池:4,900百万円(前期比39.4%減)
a) 太陽電池用シリコンの売上高は百3,400百万円(同6.1%減)と微減収予想。市場価格は引き続き低水準で推移する見込みなので、当面はOEM(加工賃ビジネスなので評価損が出ない)に特化し、稼働率と採算性の確保に注力する。

施策としては、OEM品の高品質化を図り、低酸素化、スライス細線化を進める。不採算品種は生産撤退し、在庫処理をさらに進める。また遊休設備の処理も進める。またシリコン結晶製造装置は、外販は縮小する(売上高はゼロ)計画で、半導体用に内製化を進める。

b) セル・その他の売上高は1,500百万円(同54.2%減)と大幅減収が予想されている。価格は引き続き低水準で推移する見込みで、OEMのみに絞り込む。将来的にはOEM生産も撤退時期を見極める。

(4) その他:11,400百万円(前期比9.1%減)
2019年3月期から半導体製造装置の部品洗浄事業が半導体等装置関連に分離されており、現在の中心は子会社アサヒ製作所のリネン系洗剤やマシンアッセンブリ事業が含まれる。

3. 設備投資額と減価償却費
今期(2020年3月期)の設備投資額は48,000百万円が計画されているが、そのうち約41,000百万円が中・大口径ウエーハへの投資であり、残りはパワー半導体関係1,000百万円、石英関連(主に山形)2,000百万円、洗浄関連(中国)1,500百万円、その他諸々約2,500百万円となっている。減価償却費は前期の5,755百万円から8,000百万円へ増加する見込み。

高水準の設備投資を賄う資金計画は、減価償却で8,000百万円、営業キャッシュ・フロー及び手元資金で約18,000百万円、中国での補助金で7,000百万円、新規借入で15,000百万円となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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