ダイコク電 Research Memo(1):業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリース
[19/07/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 事業概要
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2 本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35% を握る。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,592店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発や継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換、自社開発パチスロ遊技機の開発など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策など)を通じて、パチンコ業界が大きな転換点を迎えるなかで、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。2019年4月には、事業環境の大きな変化に対応するため、社長交代を含む、新たな経営体制へ移行すると、2019年6月には、いよいよ業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースし、今後の事業拡大に向けて本格的に動き出した。ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、市場シェア拡大と収益力の向上を目指している。
2. 2019年3月期の業績
2019年3月期の業績は、売上高が前期比8.6%減の31,166百万円、営業利益が同28.1%増の1,527百万円と減収ながら大幅な増益となった。「新規則」※の影響により、依然として設備投資に対して慎重な姿勢が継続する厳しい市場環境が続くなかで、「情報システム事業」は大手企業向けにホールコンピュータの導入が進んだことやCRユニット等の販売が堅調に推移したことから、ほぼ前期並みの売上高を確保したものの、「制御システム事業」については、遊技機市場全体の新台販売台数が低調に推移するなか、遊技機メーカーの販売計画の見直しやリユース率の上昇などにより、制御ユニット及び部品販売が大きく落ち込んだ。一方、利益面では、サービス売上の伸びや付加価値の高い提案営業などにより売上総利益率を改善。また、販管費についても研究開発費の一巡や販売手数料の減少等により大きく減少したことから、計画を上回る増益を実現した。
※2017 年9 月4 日に公布(施行は2018年2月1日より)された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(詳細は後述)の略。以下同様。
3. 2020年3月期の業績予想
2020年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比9.1%増の34,000百万円、営業利益を同21.5%減の1,200百万円と増収減益を見込んでいる。「情報システム事業」及び「制御システム事業」がともに増収となる見通しである。「情報システム事業」は、「新規則」に対応した様々なコンテンツを搭載した製品を市場投入する。特に、ホール経営の基盤となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の早期普及により、新製品の導入に拍車をかけるとともに、顧客の囲い込みを推進する。一方、「制御システム事業」についても、「新規則」に適した魅力的な遊技性を創出し、新技術を活用した企画・製品提案をパチンコ遊技機全体に拡げる方針である。ただ、利益面で大幅な減益となるのは、基幹システムなどの入れ替えや展示会等の販売促進費のほか、AIホールコンピュータのリリースに伴う減価償却費の発生等によるものである。
4. 今後の戦略的方向性
同社は2020年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進してきたが、相次ぐ外部要因(一連の規則改正等)より想定以上に厳しい市場環境が続いていることなどから、最終年度の定量目標を引き下げた。ただ、今後の方向性に大きな変更はない。次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、成長力及び収益力の向上を実現する方針である。ホール業界の再編が予想される中で、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」による囲い込みやデータの活用をした新たな価値の提供により、いかにホール業界の活性化に貢献していくのか、今後の動向に注目したい。
■Key Points
・2019年3月期業績は「新規則」の影響により減収となるも研究開発費の一巡等により大幅な増益を実現
・2020年3月期業績は増収ながら減価償却費の増加に伴って減益となる見通し
・2019年6月には、いよいよ業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリース
・ホール経営の効率化、省力化に貢献するとともに、データ活用による新たな価値の提供により、市場シェアの拡大と収益力の向上を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 事業概要
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2 本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35% を握る。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,592店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発や継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換、自社開発パチスロ遊技機の開発など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策など)を通じて、パチンコ業界が大きな転換点を迎えるなかで、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。2019年4月には、事業環境の大きな変化に対応するため、社長交代を含む、新たな経営体制へ移行すると、2019年6月には、いよいよ業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースし、今後の事業拡大に向けて本格的に動き出した。ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、市場シェア拡大と収益力の向上を目指している。
2. 2019年3月期の業績
2019年3月期の業績は、売上高が前期比8.6%減の31,166百万円、営業利益が同28.1%増の1,527百万円と減収ながら大幅な増益となった。「新規則」※の影響により、依然として設備投資に対して慎重な姿勢が継続する厳しい市場環境が続くなかで、「情報システム事業」は大手企業向けにホールコンピュータの導入が進んだことやCRユニット等の販売が堅調に推移したことから、ほぼ前期並みの売上高を確保したものの、「制御システム事業」については、遊技機市場全体の新台販売台数が低調に推移するなか、遊技機メーカーの販売計画の見直しやリユース率の上昇などにより、制御ユニット及び部品販売が大きく落ち込んだ。一方、利益面では、サービス売上の伸びや付加価値の高い提案営業などにより売上総利益率を改善。また、販管費についても研究開発費の一巡や販売手数料の減少等により大きく減少したことから、計画を上回る増益を実現した。
※2017 年9 月4 日に公布(施行は2018年2月1日より)された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(詳細は後述)の略。以下同様。
3. 2020年3月期の業績予想
2020年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比9.1%増の34,000百万円、営業利益を同21.5%減の1,200百万円と増収減益を見込んでいる。「情報システム事業」及び「制御システム事業」がともに増収となる見通しである。「情報システム事業」は、「新規則」に対応した様々なコンテンツを搭載した製品を市場投入する。特に、ホール経営の基盤となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の早期普及により、新製品の導入に拍車をかけるとともに、顧客の囲い込みを推進する。一方、「制御システム事業」についても、「新規則」に適した魅力的な遊技性を創出し、新技術を活用した企画・製品提案をパチンコ遊技機全体に拡げる方針である。ただ、利益面で大幅な減益となるのは、基幹システムなどの入れ替えや展示会等の販売促進費のほか、AIホールコンピュータのリリースに伴う減価償却費の発生等によるものである。
4. 今後の戦略的方向性
同社は2020年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進してきたが、相次ぐ外部要因(一連の規則改正等)より想定以上に厳しい市場環境が続いていることなどから、最終年度の定量目標を引き下げた。ただ、今後の方向性に大きな変更はない。次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、成長力及び収益力の向上を実現する方針である。ホール業界の再編が予想される中で、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」による囲い込みやデータの活用をした新たな価値の提供により、いかにホール業界の活性化に貢献していくのか、今後の動向に注目したい。
■Key Points
・2019年3月期業績は「新規則」の影響により減収となるも研究開発費の一巡等により大幅な増益を実現
・2020年3月期業績は増収ながら減価償却費の増加に伴って減益となる見通し
・2019年6月には、いよいよ業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリース
・ホール経営の効率化、省力化に貢献するとともに、データ活用による新たな価値の提供により、市場シェアの拡大と収益力の向上を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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