BBT Research Memo(8):リカレント教育サービス、国際バカロレアの普及拡大で収益成長を目指す
[19/07/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
2.成長戦略
ビジネス・ブレークスルー<2464>は中期的な成長戦略として、マネジメント教育サービス事業における「リカレント教育サービスの強化」「法人営業の強化」、プラットフォームサービス事業における「国際バカロレアの普及・拡大」に取り組むことで収益を拡大していく方針を打ち出している。各事業の取り組み施策は以下のとおり。
(1)マネジメント教育サービス事業
a)リカレント教育サービスの強化
21世紀においては、AIやロボットの普及とともに、多くの仕事がこれらに代替されることが予見される。従って、今後はAIやロボットに代替されない能力、あるいはAIを味方にするための能力を身に付ける事の重要性が格段に増す。同社は、こうした領域において、個人の「学び直し」の場となるリカレント教育のニーズが拡大すると予想している。企業経営上も、これまで通用した経営戦略やビジネス・モデルが通用しなくなる「デジタル・ディスラプション」の時代が目前に迫る中、次代のリーダーやグローバル人材、イノベーター等の育成が重要となっている。こうした観点から同社は、B2C、B2Bの双方の領域において最新の人材再教育(リカレント教育)に対する事業機会が増すと見ている。
同社ではこれらニーズを取り込むため、個人向けでは「リカレント・スタートプログラム」等の新たなプログラムの開発・拡充により受講者数の拡大を図っていくほか、法人向けでも主要な大手顧客に対してリカレント教育体系の導入を支援する取組みを推進していく方針となっている。国内のリカレント教育の現状を見ると、25歳以上の社会人が学士課程へ入学する割合は、OECD加盟国の平均が20%に対し、日本は2%と大きく遅れており、潜在的な成長余地は大きいと言える。
政府の「未来投資戦略2018」では、リカレント教育の受講者数を2015年の約49万人から2022年度には100万人まで拡大することを目標に掲げており、リカレント教育に適した遠隔教育サービスを提供する同社にとっては追い風になると考えられる。同社が提供する教育プログラムのうち、文部科学省の「職業実践力育成プログラム」の認定を受けたプログラムが8件、厚生労働省の「専門実践教育訓練指定講座」で認定を受けたプログラムが5件あり、これらプログラムの受講者数拡大も今後期待される。
b)法人向け教育サービス
法人向け教育サービスの2018年度の国内市場規模は5,200億円前後で、このうち同社の事業領域であるeラーニング市場については650億円程度と全体の1割強の水準になっていると見られる。ここ数年は通信インフラ環境が整備されてきたことや、場所と時間の制約がないeラーニングのメリットが認知されるようになり、導入企業も増加傾向となっている。
同社の売上成長率も2015年3月期以降は10%超の成長ペースを維持しており、当面は主要顧客1社当たり売上高の増加や新規顧客の開拓によって2ケタ成長ペースが続くものと予想される。今後も引き続き営業体制の強化やデジタルマーケティングの活用等によって顧客数の拡大及び顧客当たり売上高の拡大に注力していく方針となっている。
中長期的には1社当たり売上高で10百万円超の規模となる顧客数を100〜200社まで増やしていくことを目標としている(2019年3月期は17社)。このため、今後は10,000時間超にわたる既存コンテンツを、顧客企業のニーズに最適化した形で編集して提供するほか、顧客企業が持つコンテンツと組み合わせて提供していくような大型案件の受注獲得にも注力していく。特にここ最近は、遠隔型と集合型を組み合わせたブレンド型の教育研修サービスのニーズが増加傾向にあり、両サービスを手掛ける同社にとっては追い風となる。
(2)プラットフォームサービス事業
同社は今後も年1〜2校のペースでバイリンガルプリスクールを都心部で開設し、最終的には東京23区を中心に10〜15拠点まで拡大、IB認定取得校として「アジアNo.1のインターナショナルスクール」を目指していく。プリスクール等の開設に当たっては、独自開設のほかM&Aの活用なども検討し、スムーズに展開していく方針となっている。弊社では同社の構想が予定どおり進めば、拠点展開による売上高だけで2019年3月期実績の23億円から約1.74倍となる40億円程度まで成長する可能性があると見ている。
自社の拠点展開だけで「アジアNo.1のインターナショナルスクール」の実現を目指していく期間を成長の第1フェーズとすれば、成長の第2フェーズは蓄積してきたノウハウやコンテンツを基に、プラットフォームサービスとして他の教育機関に提供していくフェーズとなる。前述したように国内では200校のIB認定取得が文部科学省の目標となっており、潜在需要は大きいと言える。プラットフォームサービスは、生徒向けの学習プログラムを提供するサービスと、教員向けの研修プログラムサービスとに分けられる。
生徒向け学習プログラムのうち遠隔型で提供可能なものについては、コンテンツ化して「AirCampus®」を通じて提供していくことになる。2017年4月よりサザンクロス大学(豪州)と同社及び子会社のアオバの3者の共同プロジェクトにより、ブレンド型教育(対面型教育と遠隔型教育のミックス)のコンテンツに関して共同開発を進めている。現在もA-JISの高等部でブレンド型教育を試験的に実施しており、科目別に学習指導法などの課題点を抽出し、ブラッシュアップを進めている段階にある。予定では2020年夏に学習プログラムが完成し、検証を進めながら「A-JIS光が丘キャンパス」で導入を進めていくほか、第2フェーズ(他校へのプラットフォームサービス展開)に向けた準備も同時に進めていく計画となっている。
また、教員向け研修プログラムについては、IBの導入を目指す学校だけでなくアクティブ・ラーニング型学習を志向する学校に対する需要も見込まれる。アクティブ・ラーニングについては指導内容等が従来と大きく変わるため、一定程度の研修が必要となるためだ。同社は、グループの各校・園で取組んできた実績やノウハウを基盤として、ブレンド型教育を現場で実践できるような教育システムを確立した後に、外部の教員向けサービスとして提供していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2.成長戦略
ビジネス・ブレークスルー<2464>は中期的な成長戦略として、マネジメント教育サービス事業における「リカレント教育サービスの強化」「法人営業の強化」、プラットフォームサービス事業における「国際バカロレアの普及・拡大」に取り組むことで収益を拡大していく方針を打ち出している。各事業の取り組み施策は以下のとおり。
(1)マネジメント教育サービス事業
a)リカレント教育サービスの強化
21世紀においては、AIやロボットの普及とともに、多くの仕事がこれらに代替されることが予見される。従って、今後はAIやロボットに代替されない能力、あるいはAIを味方にするための能力を身に付ける事の重要性が格段に増す。同社は、こうした領域において、個人の「学び直し」の場となるリカレント教育のニーズが拡大すると予想している。企業経営上も、これまで通用した経営戦略やビジネス・モデルが通用しなくなる「デジタル・ディスラプション」の時代が目前に迫る中、次代のリーダーやグローバル人材、イノベーター等の育成が重要となっている。こうした観点から同社は、B2C、B2Bの双方の領域において最新の人材再教育(リカレント教育)に対する事業機会が増すと見ている。
同社ではこれらニーズを取り込むため、個人向けでは「リカレント・スタートプログラム」等の新たなプログラムの開発・拡充により受講者数の拡大を図っていくほか、法人向けでも主要な大手顧客に対してリカレント教育体系の導入を支援する取組みを推進していく方針となっている。国内のリカレント教育の現状を見ると、25歳以上の社会人が学士課程へ入学する割合は、OECD加盟国の平均が20%に対し、日本は2%と大きく遅れており、潜在的な成長余地は大きいと言える。
政府の「未来投資戦略2018」では、リカレント教育の受講者数を2015年の約49万人から2022年度には100万人まで拡大することを目標に掲げており、リカレント教育に適した遠隔教育サービスを提供する同社にとっては追い風になると考えられる。同社が提供する教育プログラムのうち、文部科学省の「職業実践力育成プログラム」の認定を受けたプログラムが8件、厚生労働省の「専門実践教育訓練指定講座」で認定を受けたプログラムが5件あり、これらプログラムの受講者数拡大も今後期待される。
b)法人向け教育サービス
法人向け教育サービスの2018年度の国内市場規模は5,200億円前後で、このうち同社の事業領域であるeラーニング市場については650億円程度と全体の1割強の水準になっていると見られる。ここ数年は通信インフラ環境が整備されてきたことや、場所と時間の制約がないeラーニングのメリットが認知されるようになり、導入企業も増加傾向となっている。
同社の売上成長率も2015年3月期以降は10%超の成長ペースを維持しており、当面は主要顧客1社当たり売上高の増加や新規顧客の開拓によって2ケタ成長ペースが続くものと予想される。今後も引き続き営業体制の強化やデジタルマーケティングの活用等によって顧客数の拡大及び顧客当たり売上高の拡大に注力していく方針となっている。
中長期的には1社当たり売上高で10百万円超の規模となる顧客数を100〜200社まで増やしていくことを目標としている(2019年3月期は17社)。このため、今後は10,000時間超にわたる既存コンテンツを、顧客企業のニーズに最適化した形で編集して提供するほか、顧客企業が持つコンテンツと組み合わせて提供していくような大型案件の受注獲得にも注力していく。特にここ最近は、遠隔型と集合型を組み合わせたブレンド型の教育研修サービスのニーズが増加傾向にあり、両サービスを手掛ける同社にとっては追い風となる。
(2)プラットフォームサービス事業
同社は今後も年1〜2校のペースでバイリンガルプリスクールを都心部で開設し、最終的には東京23区を中心に10〜15拠点まで拡大、IB認定取得校として「アジアNo.1のインターナショナルスクール」を目指していく。プリスクール等の開設に当たっては、独自開設のほかM&Aの活用なども検討し、スムーズに展開していく方針となっている。弊社では同社の構想が予定どおり進めば、拠点展開による売上高だけで2019年3月期実績の23億円から約1.74倍となる40億円程度まで成長する可能性があると見ている。
自社の拠点展開だけで「アジアNo.1のインターナショナルスクール」の実現を目指していく期間を成長の第1フェーズとすれば、成長の第2フェーズは蓄積してきたノウハウやコンテンツを基に、プラットフォームサービスとして他の教育機関に提供していくフェーズとなる。前述したように国内では200校のIB認定取得が文部科学省の目標となっており、潜在需要は大きいと言える。プラットフォームサービスは、生徒向けの学習プログラムを提供するサービスと、教員向けの研修プログラムサービスとに分けられる。
生徒向け学習プログラムのうち遠隔型で提供可能なものについては、コンテンツ化して「AirCampus®」を通じて提供していくことになる。2017年4月よりサザンクロス大学(豪州)と同社及び子会社のアオバの3者の共同プロジェクトにより、ブレンド型教育(対面型教育と遠隔型教育のミックス)のコンテンツに関して共同開発を進めている。現在もA-JISの高等部でブレンド型教育を試験的に実施しており、科目別に学習指導法などの課題点を抽出し、ブラッシュアップを進めている段階にある。予定では2020年夏に学習プログラムが完成し、検証を進めながら「A-JIS光が丘キャンパス」で導入を進めていくほか、第2フェーズ(他校へのプラットフォームサービス展開)に向けた準備も同時に進めていく計画となっている。
また、教員向け研修プログラムについては、IBの導入を目指す学校だけでなくアクティブ・ラーニング型学習を志向する学校に対する需要も見込まれる。アクティブ・ラーニングについては指導内容等が従来と大きく変わるため、一定程度の研修が必要となるためだ。同社は、グループの各校・園で取組んできた実績やノウハウを基盤として、ブレンド型教育を現場で実践できるような教育システムを確立した後に、外部の教員向けサービスとして提供していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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