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タナベ経営 Research Memo(3):2019年3月期はほぼ会社計画どおりの増収増益を達成

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2019年3月期業績の概要
タナベ経営<9644>の2019年3月期業績は、売上高で前期比2.8%増の9,046百万円、営業利益で同3.6%増の970百万円、経常利益で同4.0%増の1,003百万円、当期純利益で同2.9%増の694百万円となった。売上高、営業利益、経常利益ともに9期連続の増収増益となり、ほぼ会社計画どおりの着地となった。

国内景気の緩やかな回復基調が続くなかで、経営コンサルティングや人材開発コンサルティングの受注が堅調に推移したほか、SP(セールスプロモーション)コンサルティングについても、経営コンサルティング事業との連携強化を進めるなど積極的な営業活動を展開したことにより受注が拡大し、売上増に貢献した。同社が主要KPIとするチームコンサルティングの期中平均契約社数は前期比20社増の591社となり、売上高で同4.6%増の3,990百万円と順調に拡大している。

売上総利益率が前期比で0.4ポイント低下の44.8%となったが、これは持続的成長を実現するための投資となるコンサルタントの採用強化に伴う人件費増が要因となっている。一方、販管費率は増収効果や業務効率の向上に取り組んだことにより、前期比0.5ポイント低下の34.1%となり、この結果、売上高営業利益率は同0.1ポイント上昇の10.7%と7期連続で上昇した。


経営コンサルティング事業、SPコンサルティング事業ともに増収が続く
2. 事業セグメント別動向
(1) 経営コンサルティング事業
経営コンサルティング事業の売上高は前期比3.0%増の5,171百万円、セグメント利益は同1.6%増の1,357百万円となり、期初会社計画(売上高5,150百万円、セグメント利益1,355百万円)をいずれも上回った。各種コンサルティングの期中平均契約数が前期比10件増の562契約となり増収要因となった。利益率が前期比で0.3ポイント低下したが、これは専門性の高いプロフェショナル人材の採用強化に伴う人件費増が要因で、会社計画どおりとなっている。2019年3月期末のコンサルタント人員は経営コンサルタントが150名(前期末比14名増)、人材開発コンサルタントが26名(同2名増)となっている。

サービス別の売上動向を見ると、主力の経営コンサルティングの売上高は前期比2.3%増と堅調に推移した。コンサルティングのテーマは、「人材採用・育成・活躍」「中期経営計画(ビジョン)策定・推進」「事業承継・後継体制づくり」等が引き続き安定して推移したほか、「ブランディング戦略」「経営方針の策定・推進(意思決定支援等)」「営業戦略」等のテーマも増加した。経営コンサルティングの期中平均契約数は前期並みの水準にとどまったものの、1件当たり契約単価が相対的に高い中堅企業向けの受注が増加したことにより、売上高は増加した。また、経営コンサルティング契約につなげるための導線となる戦略ドメイン&ファンクション研究会については、研究会テーマ数や開催数が増加したものの、テーマごとの参加社数にばらつきが見られ、全体の参加社数で949社(前期比9社減)と若干減少、参加者数の減少により売上高も減少した。アライアンス(提携)については、全国の地域金融機関・会計事務所等の提携先数が129先(前期比10先減)と減少したことにより、会費収入等が減少したが、提携先からの紹介によるコンサルティング案件の受注は増加した。

人材開発コンサルティングの売上高は、前期比3.9%増となった。オーダーメイド型教育(研修)は期中平均契約数が前期比で増加したものの、ジュニアボード(次世代経営チーム育成)コンサルティングやFCCアカデミー(企業内大学)設立コンサルティング等の提案充実に注力したことにより、平均受注単価が低下し、売上高は伸び悩む結果となった。一方で、ジュニアボードコンサルティングは将来の会社の柱となる経営幹部の人材育成ニーズの高まりにより、期中平均契約数、売上高ともに増加したほか、FCCアカデミー設立コンサルティングについても、プロフェショナル人材の早期育成を可能とするITプラットフォームを活用したクラウドサービスが好評で、導入社数が前期末の約50社から約80社に拡大し、売上高増に貢献した。「FCCアカデミー」導入の際には、顧客企業ごとにオリジナル動画等の教育コンテンツも制作しており、初期導入費用で10百万円超、また年会費の継続収入も得られるビジネスモデルとなっている。そのほか、FCCセミナーについても参加社数が4,584社(前期比244社増)となり、売上高増と新規顧客基盤の拡充に寄与した。

(2) SPコンサルティング事業
SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の売上高は前期比2.6%増の3,875百万円、セグメント利益は同7.3%減の187百万円となり、期初会社計画(売上高3,850百万円、セグメント利益210百万円)に対して売上高は上回ったものの、セグメント利益は若干未達となった。業務プロセスの見直し費用とそれに係る人件費の増加が主因で、前期比での減益要因ともなっている。なお、2019年3月期末のSPコンサルタント人員は57名(前期比1名減)となった。

サービス別の売上動向を見ると、SPコンサルティング(セールスプロモーションコンサルティング(月次契約)+SPデザイン)は前期比6.3%増と好調に推移した。経営コンサルティング事業との連携による「プロモーション戦略」「ブランディング戦略」の立案・実行推進支援やWebプロモーションコンサルティングの契約件数が増加した。また、SPデザインについても戦略総合研究所内のデザインラボとの連携による独自性の高いプロモーションツールとして付加価値の高い提案を行ったほか、外部企業との連携による提案内容の充実を図ったことで、契約件数が増加した。

SPツールについては継続した安定受注があるものの、付加価値の高いSPデザインに注力したため、売上高は前期比1.1%減となった。また、ダイアリーについては発行60周年を迎えたブルーダイアリーのリ・ブランディング活動が功を奏し、前期比0.7%増と微増収となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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