城南進研 Research Memo(1):事業環境の激変に能動的に取り組み、着実に成果を積み上げつつある
[19/07/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
城南進学研究社<4720>は東京・神奈川を地盤とする総合教育ソリューション企業。大学受験の「城南予備校」から出発し、社会環境の変化に対応して、小学生や乳幼児へと教育サービスを拡大してきた。一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援することを目指している。
1. 事業ポートフォリオの変革に伴う費用増加で減収減益
同社の2019年3月期決算は、売上高6,941百万円(前期比1.2%減)、営業損失385百万円(前期は304百万円の利益)と減収減益となった。ほぼ期初予想どおりの着地でサプライズはなかった。同社を取り巻く事業環境は少子化に加えて2020年度からの大学入試制度改革や学習指導要領の大規模改革など、激しく動いている最中にある。同社はこうした変化を見据え、従前から事業構造改革を進めてきたが、2019年3月期は事業ポートフォリオの改革、すなわち「城南予備校」の統廃合を加速する一方、新業態である「城南予備校DUO」の新規開校などに取り組んだ。営業損失の計上は、成長業態である「マナビス」や「城南予備校DUO」などの新規開校に伴う費用や、乳幼児・児童教育関連などの費用が、先行投資的に増加したことが要因だ。
2. 中期経営計画の基本戦略に沿って諸施策が進捗
2020年3月期は現行の中期経営計画の最終年度に当たる。現行中期経営計画では大学入試制度改革への対応や、少子高齢化の進行を見越した収益構造改革、顧客ロイヤルティの向上などを基本戦略として、各種施策に取り組んでいる。2019年3月期は、4技能を伸ばす英語教育の推進に関して(株)アイベックの子会社化やiaeグローバルジャパン(株)との提携を進めた。また、ICTの活用ではAI活用ラーニングシステムを「城南予備校DUO」に導入した。事業ポートフォリオ改革では、「城南予備校DUO」や「河合塾マナビス」の開校加速に加え、(株)フェアリィーと(株)リトルランドを子会社して乳幼児・保育事業の強化に努めた。全体として、中期経営計画で掲げる基本戦略に沿って着実に進捗し、次の飛躍に向けて駒がそろいつつある。今後は、これらの駒をどのように生かしてシナジーを実現し収益成長につなげるかにポイントが移ることになるだろう。
3. 2020年3月期は増収増益を予想
2020年3月期について同社は、売上高7,459百万円(前期比7.5%増)、営業利益19百万円(前期は385百万円の損失)と増収増益を予想している。売上高は、予備校部門の一段の縮小が予想されるが、前期に新規開設した拠点の通期寄与や前期中にグループ入りした子会社の貢献、乳幼児教育部門の拡大などで増収を計画している。一方利益は、前期に引き続き事業ポートフォリオ改革を積極的に進めることを織り込んで営業利益がぎりぎり水面に浮上する計画になっているとみられる。この点は、状況次第では上振れの余地もあると考えられる。しかし、同社にとって重要なことは目先の利益ではなく、2021年3月期にかつてのように5%前後の営業利益率を回復することであり、2020年3月期はそのための基盤整備を着実にやりきることだと弊社では考えている。
■Key Points
・2019年3月期の赤字転落は、収益構造改革に向けた強い意志と覚悟の表れ
・予備校部門での校舎統廃合が着実に進展
・M&Aの成果で英語教育や乳幼児・児童教育の成長ポテンシャルが大きく拡大
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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城南進学研究社<4720>は東京・神奈川を地盤とする総合教育ソリューション企業。大学受験の「城南予備校」から出発し、社会環境の変化に対応して、小学生や乳幼児へと教育サービスを拡大してきた。一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援することを目指している。
1. 事業ポートフォリオの変革に伴う費用増加で減収減益
同社の2019年3月期決算は、売上高6,941百万円(前期比1.2%減)、営業損失385百万円(前期は304百万円の利益)と減収減益となった。ほぼ期初予想どおりの着地でサプライズはなかった。同社を取り巻く事業環境は少子化に加えて2020年度からの大学入試制度改革や学習指導要領の大規模改革など、激しく動いている最中にある。同社はこうした変化を見据え、従前から事業構造改革を進めてきたが、2019年3月期は事業ポートフォリオの改革、すなわち「城南予備校」の統廃合を加速する一方、新業態である「城南予備校DUO」の新規開校などに取り組んだ。営業損失の計上は、成長業態である「マナビス」や「城南予備校DUO」などの新規開校に伴う費用や、乳幼児・児童教育関連などの費用が、先行投資的に増加したことが要因だ。
2. 中期経営計画の基本戦略に沿って諸施策が進捗
2020年3月期は現行の中期経営計画の最終年度に当たる。現行中期経営計画では大学入試制度改革への対応や、少子高齢化の進行を見越した収益構造改革、顧客ロイヤルティの向上などを基本戦略として、各種施策に取り組んでいる。2019年3月期は、4技能を伸ばす英語教育の推進に関して(株)アイベックの子会社化やiaeグローバルジャパン(株)との提携を進めた。また、ICTの活用ではAI活用ラーニングシステムを「城南予備校DUO」に導入した。事業ポートフォリオ改革では、「城南予備校DUO」や「河合塾マナビス」の開校加速に加え、(株)フェアリィーと(株)リトルランドを子会社して乳幼児・保育事業の強化に努めた。全体として、中期経営計画で掲げる基本戦略に沿って着実に進捗し、次の飛躍に向けて駒がそろいつつある。今後は、これらの駒をどのように生かしてシナジーを実現し収益成長につなげるかにポイントが移ることになるだろう。
3. 2020年3月期は増収増益を予想
2020年3月期について同社は、売上高7,459百万円(前期比7.5%増)、営業利益19百万円(前期は385百万円の損失)と増収増益を予想している。売上高は、予備校部門の一段の縮小が予想されるが、前期に新規開設した拠点の通期寄与や前期中にグループ入りした子会社の貢献、乳幼児教育部門の拡大などで増収を計画している。一方利益は、前期に引き続き事業ポートフォリオ改革を積極的に進めることを織り込んで営業利益がぎりぎり水面に浮上する計画になっているとみられる。この点は、状況次第では上振れの余地もあると考えられる。しかし、同社にとって重要なことは目先の利益ではなく、2021年3月期にかつてのように5%前後の営業利益率を回復することであり、2020年3月期はそのための基盤整備を着実にやりきることだと弊社では考えている。
■Key Points
・2019年3月期の赤字転落は、収益構造改革に向けた強い意志と覚悟の表れ
・予備校部門での校舎統廃合が着実に進展
・M&Aの成果で英語教育や乳幼児・児童教育の成長ポテンシャルが大きく拡大
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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