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城南進研 Research Memo(6):予備校部門を大幅統廃合、受け皿としての新業態「城南予備校DUO」を開校

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略と進捗状況

2. 「事業ポートフォリオの改善と経営基盤の強化」の進捗状況
少子化や大学入試の多様化に伴う顧客ニーズの変化などにより、事業ポートフォリオの改善というテーマは、以前から重要な課題となっていた。特に課題だったのは「城南予備校」を運営する予備校部門だ。主として高卒生を対象に集団事業を全日制で実施するという事業モデルは、生徒数が多い時代に高い充足率で運営できれば非常に高い収益性を実現できた。しかし少子化の現在は歯車が逆回転し、固定費の高さが経営の大きな負担となっている状況だ。これまでも城南進学研究社<4720>は予備校校舎の統廃合を行ってきたが、2019年3月期は本拠地とも言える川崎校を始め、柏校、吉祥寺校の合計3校を統廃合した。この結果、2019年3月末には6校体制へと減少した。

残された6校についても、今後更なる統廃合が検討されていくと弊社では推測している。同社自身もその方向性については否定していない。少子化の進展や大学入試における推薦・AO入試の拡大、生徒側のニーズの多様さといった要素を考えれば、予備校のターゲット顧客層はさらに縮小していく可能性が高く、同社もそれへの対応を着実に進めると考えられる。

事業ポートフォリオ改革という点では、予備校の統廃合で減少した生徒をどう取り返すかだ。これについて同社は「城南予備校DUO」と「河合塾マナビス」の拡大で臨む方針だ。

「城南予備校DUO」は、名称に“予備校”とあるためミスリーディングを招きやすいが、実体は個別指導の派生形態だ。同社の業績開示においても、「城南予備校DUO」の売上高は個別指導(直営)部門に組み込まれている。事業モデルは、現役高校生を対象とし、講師1人に対して生徒数8人をマックスとして、集団授業と個別指導を組み合わせる形で授業を行うものだ。集団指導と個別指導に、さらにAIによる学びの最適化(システムは外部のatama plus(株)から導入)を組み合わせた点が特長となっている。

収益モデルは1校舎の教室数は2〜4教室程度で、現役生が対象であるため、夕方から夜間に2回転で収益が確保できるコスト構造としている。全日制の1クラス50人規模の集団事業を収益モデルとする予備校部門とはまったく異なるものであることがわかる。

同社は「城南予備校DUO」を、2018年3月期に2校(新百合ヶ丘校と三軒茶屋校)を開校した後、2019年3月期において5校開校して7校体制としている(2019年3月末時点)。2020年3月期についても複数開校予定としている。

収益貢献に関しては、当初の2校及び柏校については既に充足率が想定線を越えてきているもようだ。他の4校のうち、平塚校とたまプラーザ校も順調に充足率が上昇しているとみられるが、吉祥寺校と蒲田校は開校後日が浅いため、軌道に乗るには時間がかかると考えられる。

現状の7校という体制は、予備校当統廃合で失った収益ポテンシャルをカバーするにはまったく足りていない。目安としてまず20校体制を目指すものと弊社では推測している。一方で、同社は「城南予備校DUO」について、事業モデルが完全には完成しておらず、今後もブラッシュアップ(カリキュラム見直しやターゲット層の見極めなども含む)を新規開校と同時並行で進めていくとみられる。今後は、校舎数の拡大のアクセルを踏み込むのは事業モデルの完成度が高まった後になると弊社では見ている。その間をつなぐのは既存の個別指導教室ということになると考えられる。この点も踏まえて同社は2019年3月期にリニューアルを積極化させたと弊社ではみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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