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ギフト Research Memo(4):モチベーションを向上させる制度やプライベートブランド商品が強み

注目トピックス 日本株
■事業概要

2. 店舗・業態・人材の開発
ギフト<9279>は、出店から製造、教育までの重要な機能を内製化しており、同社ビジネスモデルを特徴付けている。店舗開発は経験豊富な開発要員6人と社長が担っている。出店する際は、競合店状況や駅乗降客数、商圏人口、交通量など候補地の立地特性とブランドの相性、出店投資額などを総合的に勘案し、プロデュース店を含め同社で一元的な意思決定を行っている。商品力が強いため、1等立地でなくても十分に収益を稼ぎ出すことができる。また、出店済エリアが首都圏に偏っていることから、西日本や地方など出店余地は依然大きいと思われる。新業態開発は社長が陣頭指揮を取っている。新業態開発のポイントは、市場で評価されている業態を価値が最大化されるように開発することにある。その好例が「豚山」である。

立地や時間帯によって異なるが、平均4人程度(キッチン2人、フロア2人)で店舗を運営している。店内の元気ある雰囲気づくりやスムーズなオペレーションは、従業員教育により各店とも同様の水準に維持されるよう標準化が徹底されている。同社は従業員教育を内製化しており、座学からOJT、理念から運営手法まで社内研修体系が確立されている上、全社員が月に1回集まって店舗単位で課題解消などについてプレゼンし、成功事例の横展開を図っている。また、評価制度や表彰制度、インセンティブ制度、キャリアアップなど、職人気質で個店優先のラーメン業界では珍しく、モチベーション向上ための制度がある。このため、採用と教育に見合った出店ペースであれば、運営悪化につながるような事態に陥らない仕組みになっている。


PBが同社の強さの素
3. プライベートブランド(PB)商品
ラーメン店は通常、麺を製麺メーカーから仕入れるか店内で打ち、生ガラからタレやスープを店内で焚き出す。これでは非常においしい味を作っても2店目以降は品質が安定せず、店が増えてもスケールメリットが得られず、むしろスケールデメリットになってしまう。つまり大きなビジネスにはならないということである。同社がこうした課題を乗り越え、多店舗展開できた第1の理由はPB商品にあると考えられる。ラーメン店にとって最も重要な商品構成要素である麺とタレ、スープについて、同社はすべて自社で開発している。グループ内製造拠点として、神奈川県平塚市に製麺工場を有し「四之宮商店」ブランドの麺を製造、一方、タレとスープに関しては、品質管理が行き届き供給力のあるメーカーに製造を委託している。店内で生ガラから焚き出さないため、1)廃棄ロスが少ない、2)スープ職人の養成を必要としない、3)水道光熱費が安い、4)出店立地の制約がない(周辺への匂いの問題が生じない)、5)仕込みの人件費を抑えられる??というメリットがある。

さらにPB商品によって、質量ともに安定供給体制を確保できる上、全店舗一括仕入によって低コストを実現、駅近エリアの地域密着性、ロードサイドエリアの品質一定性も支えることができる。このため、直営店もプロデュース店も、どの店舗も値頃で安定した味と品質の商品を、安定して提供し続けることが可能なのである。このように職人なしで「横浜家系ラーメン」の味を確立したことが、同社最大の強みと言える。このようなPB商品に加え、収益力が強く創業来実質退店ゼロという直営店の運営ノウハウを提供することで、特徴的なプロデュース店運営のスキームを成立することができた。プロデュース店も同社の強みで、直営店の出店や運営でそう無理をせずとも、プロデュース店へのPB販売で一定の成長力が担保される。FC制度と異なってオーナーの負担が小さいので、既に複数店を経営しているオーナーが多く、同社とオーナーはWin-Winの関係にあると言えるだろう。ラーメン店チェーンに珍しいこうした独特の経営手法は、好きで始めた「生業」に対して社長が自ら科学的にアプローチしたことが背景になっていると思われる。同様のアプローチをしている企業は、ラーメン業界にそう多くないと考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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