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プロパティAG Research Memo(3):2019年3月期は創業以来16期連続の増収増益を達成

注目トピックス 日本株
■プロパティエージェント<3464>の業績動向

1. 2019年3月期の業績概要
マンション業界においては、首都圏における2018年度(2018年4月−2019年3月)のマンション供給戸数は前年度比0.5%減の36,641戸と横ばいに推移し、1戸当たり平均価格は2年連続、平米単価は7年連続で上昇したものの、上昇幅は縮小した((株)不動産経済研究所調べ)。この年間供給戸数のうち東京都区部では同5.7%減となった一方で、埼玉県は同22.6%増、千葉県も同26.4%増となっており、都心の用地価格高騰等の要因により、郊外の開発が多くなってきている。また、首都圏におけるコンパクトマンション(専有面積30平米以上50平米未満)は、戸数、シェアともに2015年以降4年連続で増加して、都区部では全供給の16.3%を占める結果となった。1〜2人世帯が増えていることが背景にある。

収益不動産については、一部の金融機関や不動産業者による不適切な融資に関する問題から融資環境が厳しくなり、一部のアパートや1棟収益物件などで販売低迷が見られるものの、収益性のあるマンション投資は、その商品性の確かさ、低金利の恩恵、堅調な賃料などから、好調を維持する状況となった。株式市場や債券市場が不安定な状況下、安定収益投資として収益不動産の相対的優位性が注目された。

このような経済環境のもと、同社は2019年3月期を「進化・変革元年」と位置付け、事業領域拡大のため、SBI AI&Blockchainファンドへの出資や不動産クラウドファンディング事業開始に向けた不動産特定共同事業の許可取得など、様々な取り組みを行った。また、社内における新規事業開発チームを拡充し、事業開発やM&Aの検討を積極的に行ってきた。既存事業については、同社の生産性指標の1つである1人当たり営業利益の向上に注力し、海外富裕層に向けた販路の拡大や営業社員1人当たり販売件数の向上を実現するのみならず、CRM戦略、マーケティング戦略の進化による反響獲得単価の削減に成功し、収益面、費用面双方からの進化を図ることができた。この結果、売上高21,534百万円(前期比12.0%増)、営業利益は1,730百万円(同24.3%増)、経常利益1,385百万円(同22.8%増)、当期純利益は872百万円(同19.1%)の増収増益となった。16期連続の増収増益となり、経常利益は過去最高を更新するなど、同社の戦略の正しさを裏付ける好決算となった。

決算はおおむね2018年11月6日発表の修正予想に沿った着地であったが、期初予想に比べると、売上高は10.3%下回る一方、逆に各段階の利益は10%前後上回る好決算であった。同社が事業展開する東京都心エリアの投資用不動産の平均価格は上昇傾向を維持しており、同社の販売状況も販路の拡大や値引き幅の抑制などにより価格、利益面において当初計画を上回って推移した。また、生産性向上、事業効率向上の観点から強化したCRM戦略やマーケティング戦略が奏功し、人員数や広告宣伝費の削減が想定より大きくなった。

セグメント別には、不動産開発販売事業では、東京23区の都心エリアでの集中戦略をさらに強化し、投資用マンション(クレイシア等)382戸(前期比10.1%減)、居住用コンパクトマンション(Vクレイシア)133戸(同2.1倍)、その他225戸(同10.4%減)に加え、アパート(Sクレイシア)3棟の販売を開始した。投資用マンションでは販売戸数は減少したが、好立地物件の販売が寄与して販売単価が上昇した。また、居住用マンションでは購入者のニーズに対応することで、販売戸数が大きく伸びた。結果、不動産開発販売事業の売上高は20,860百万円(同12.2%増)、営業利益は1,562百万円(同20.7%増)となった。

プロパティマネジメント事業は、自社開発物件販売後の確実な賃貸管理戸数の増加等により、2019年3月期末の賃貸管理戸数は2,816戸(前期比8.3%増)、建物管理戸数は3,045戸(同23.9%増)となり、また、利益率改善のため、各種手数料の確保や賃貸付け早期化によるコスト削減を図った結果、同事業の売上高は674百万円(同8.3%増)、営業利益は168百万円(同72.0%増)となった。

2. 財務状況
2019年3月期末は、翌事業年度の販売物件が竣工したことにより販売用不動産が、開発用地の積極的な取得及び開発進行により仕掛販売用不動産が増加したことなどから、流動資産は前期末比5,884百万円増加した。また、投資その他の資産が増加したことから、固定資産は同91百万円増加した。以上から資産合計は同5,975百万円増の22,834百万円となった。

負債では、物件の順調な引渡による資金回収及び返済により1年内返済予定の長期借入金が減少した一方、物件開発のための運転資金の調達により短期借入金が増加したことなどにより、流動負債が前期末比1,930百万円増加した。また、自社開発物件の新たな用地仕入にかかる資金を調達したことにより長期借入金が増加したことなどから、固定負債は同2,857百万円増加した。この結果、負債合計は同4,787百万円増の17,669百万円になった。

純資産合計は、前期末比1,188百万円増の5,164百万円であった。これは主に新株予約権行使に伴う新株発行により、資本金及び資本準備金がそれぞれ195百万円、当期純利益の計上により繰越利益剰余金が777百万円増加したことによる。

以上から、2019年3月期末の自己資本比率は22.6%、流動比率は257.4%であった。また、ROA(総資産経常利益率)は7.0%、ROE(自己資本当期純利益率)は19.1%であった。2019年3月期決算短信集計によると、東証1部不動産業の自己資本比率31.01%を下回るが、ROA 4.15%、ROE 8.97%を大きく上回っており、同社の収益性の高さが際立っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)




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