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タマホーム Research Memo(5):地域限定商品によるシェア拡大戦略が奏効、注文住宅の受注棟数は前期比13%増

注目トピックス 日本株
■タマホーム<1419>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 住宅事業
住宅事業の売上高は前期比6.9%増の151,647百万円、営業利益は同67.2%減の801百万円となった。グループ間取引を含む売上高の内訳は、注文住宅事業が前期比7.0%増の144,872百万円、リフォーム事業が同3.6%増の5,504百万円、その他が同12.1%増の1,553百万円となり、いずれも増収基調が続いた。

注文住宅事業は、地域限定商品が好調で受注棟数が前期比13.0%増の10,604棟と1万棟を突破し、販売棟数でも同6.7%増の8,444棟と3期連続で増加するなど、市場全体を上回る成長が続いた※。受注好調により、契約から引き渡しまでの期間も通常の約6ヶ月から直近は約8ヶ月に伸びている。地域限定商品の構成比率(単体ベース)は、受注棟数で前期の67.6%から77.1%に、販売棟数で同43.8%から73.5%に大きく上昇しており、地域限定商品の好調が市場シェアの上昇につながったと考えられる。同社は各都道府県でトップシェアを目指しているが、2019年5月期は8県(前期は長崎県のみ)でトップ、あるいはトップをうかがえる水準を達成したもようだ。一方、利益面では戦略的に1棟当たりの利益を抑えた地域限定商品の販売構成比率が上昇したことや、受注拡大に向けた広告宣伝費、販促費、人件費等の増加が減益要因となった。このうち、人件費の増加については、営業体制の強化(連結従業員数で前期末比130名増の3,538名に拡大)に加えて、受注成果に応じて支払われる歩合給(先行費用)の増加が要因となっている。

※住宅着工統計によれば、2018年度の持ち家の着工戸数は前年度比1.8%増の28.7万戸となっており、3年連続で市場シェアは上昇している。


リフォーム事業は、受注高が前期比15.1%増の6,206百万円となった。同社が販売してきた住宅のうち入居後10年を経過した物件を中心に、保証延長工事等の契約件数が増加した。ただ、利益面では多様な顧客ニーズに対応したことに伴う受注商品の構成変化により、1件当たりの利益率が低下し減益に転じている。

なお、2018年は6月に大阪府北部地震(最大震度6弱)、9月に北海道胆振東部地震(最大震度7)と立て続けに大きな地震が発生したが、これら地震の発生によって同社の建築した住宅で半壊、全壊したケースは1例もなく、耐震性に強い住宅であることが改めて証明された格好となっており、注文住宅の受注好調の一因になっていると考えられる。

(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比47.8%増の26,640百万円、営業利益は同301.5%増の5,553百万円と大幅増収増益となった。グループ間取引を含む事業別の売上動向を見ると、戸建分譲事業は前期比10.1%増の13,866百万円と5期連続の増収となった。資金回転率を重視した10区画以下の小規模分譲地を中心に仕入・販売に積極的に取り組んだことが奏効した。販売棟数は前期比18.9%増の472棟と拡大し、このうち小規模分譲地については同43.9%増の269棟、構成比率は前期の42.5%から57.0%に上昇した。

一方、マンション事業については大型プロジェクトが完売したこと、並びに中古マンションのリノベーション販売に取り組んだことで同42.5%増の2,097百万円となった。現状、新規の分譲開発案件がないため、当面は中古マンションのリノベーション販売のみとなる。サブリース事業はオフィスビルの保有物件が増加したことにより、同12.2%増の2,447百万円と2期ぶりに増収に転じた。

その他売上については同338.3%増の8,432百万円と急拡大した。このうち、本格始動したオフィス区分所有権販売事業の売上げは2件のプロジェクトで約38億円となった。また、残り約46億円の大半は、当第2四半期に売上計上した福岡の自社ビル(博多区、土地959平方メートル、建物4,219平方メートル)の売却となっている。売却額は非開示だが、売却益として3,362百万円を計上しており、不動産事業の増益要因の8割を占めたことになる。

(3) 金融事業
金融事業の売上高は前期比0.1%増の1,165百万円、営業利益は同16.1%減の432百万円となった。つなぎ融資件数が減少したものの、住宅火災保険や生命保険等の保険営業の強化に取り組んだことで前期並みの売上水準を確保した。利益面では、販売体制強化に伴う人件費増が減益要因となった。

(4) エネルギー事業
エネルギー事業は太陽光発電設備の発電量が安定して推移したことで、売上高は前期比0.3%増の882百万円、営業利益は同1.1%減の327百万円とほぼ横ばい水準で推移した。

(5) その他事業
その他事業の売上高は前期比8.9%増の6,538百万円、営業利益は135百万円(前期は53百万円の損失)となった。注文住宅事業における販売棟数増加に伴い、子会社で展開する家具・インテリア販売など住宅周辺事業の売上が好調に推移したほか、不採算事業から撤退したことによる損益改善効果で、営業利益は7期ぶりに黒字転換した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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