タマホーム Research Memo(7):2020年5月期も注文住宅事業・戸建分譲事業の成長により増収増益が続く予想
[19/08/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2020年5月期の業績見通し
タマホーム<1419>の2020年5月期の連結業績は、売上高が前期比7.0%増の200,000百万円、営業利益が同4.5%増の7,700百万円、経常利益が同7.8%増の7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.3%増の4,300百万円と増収増益が続く見通し。
国内の住宅着工戸数は、消費増税の影響や景気の先行き不透明感、人口の減少傾向が続くなかで、横ばい基調からやや弱含みでの推移が予想されるものの、注文住宅では地域限定商品を中心とした豊富な受注残を背景に前期比1ケタ台の増加を見込んでいるほか、不動産事業でも戸建分譲事業等で増収を見込んでいる。利益面では、地域限定商品の値上げを2018年12月の受注契約時より段階的に進めており、これら受注案件の販売が当第1四半期から寄与することで住宅事業が増益に転じるほか、不動産事業も増益を見込んでいる。なお、前期は不動産事業において好採算な販売用不動産の売却があったが、当第1四半期も規模は下回るがホテル(東京都大田区羽田、土地1,057平方メートル、建物3,074平方メートル)の売却を1件実施する。ホテルの稼働率は高く黒字化していたものの、事業ポートフォリオの見直し及び経済合理性を勘案して、売却を決定したとしている。事業セグメント別の見通しは以下のとおり。
(1) 住宅事業
住宅事業については前期比1ケタ台の増収増益となる見通し。主力の注文住宅事業については、豊富な受注残を背景に販売棟数で1ケタ台後半の伸びを見込んでいる。地域限定商品の販売構成比は前期の73.5%から一時的に80%前後まで上昇する可能性があるが、値上げの浸透により収益性も改善する。また、リフォーム事業については同社が販売した築10年超の住宅が年間1万棟ペースで増加しており、これら顧客を中心に受注件数の拡大が見込まれる。リフォーム事業についても、増収効果により増益に転じる見通しだ。
なお、消費増税の影響については2019年4月の受注契約分から反映されるため、同業他社も含めて4月以降の受注が総じて軟調に推移していたが、6月受注に関しては同社のみ前年同月比で7%増※とプラスに転じており、いち早く回復していることがうかがえる。地域限定商品の投入等によって各地域でシェアが着実に上昇しているほか、2014年4月の消費増税時における営業戦略の失敗が糧になっていると見られる。前回は駆け込み受注を積極的に取り込んだことで、月次受注は前年同月比2倍近くまで急増したものの、施工能力以上の受注を抱え込んだ結果、施工期間が延伸しキャンセル件数が増加、増税後の受注低迷期間も長期化し、2016年5月期まで業績が悪化する要因となった。今回は各地域で施工能力をベースとした受注活動を行っており、過度な駆け込み受注が発生しなかったことや、顧客ニーズによっては戸建分譲住宅を提案するなど営業面で工夫していることが受注の早期回復につながったと見ることができる。
※受注の内訳は、注文住宅が1%増、戸建分譲が62%増、リフォームが60%増となっている。
(2) 不動産事業
不動産事業のうち、戸建分譲事業の販売強化により増収を見込んでいる。前期に好採算の販売用不動産物件を売却した反動もあり、利益面では若干の増益となる見通しだ。戸建分譲販売事業については営業体制の強化により、小規模分譲地の仕入販売ノウハウが順調に蓄積していることもあり、全国規模での拡大が見込まれる。マンション事業については、中古マンションのリノベーション販売を強化していく。
また、オフィス区分所有権販売事業については都心5区を中心にオフィスビルの需要が依然旺盛なことから、適正価格での仕入(営業利益率で10〜20%)を行いながら事業規模の拡大を目指していく方針だ。前期末の保有物件として3プロジェクト(延べ床面積で2,060平方メートル)があり、これらを販売していくほか新たな仕入による販売を進めていく。サブリース事業についてはこれら保有物件の販売時期等によって変動すると見られる。
(3) その他の事業
金融事業は注文住宅の販売棟数増加を背景とした保険契約件数の拡大に加えて、前期に落ち込んだつなぎ融資案件を回復することで増収増益を見込んでいる。エネルギー事業については太陽光発電能力が変わらないため、前期比横ばい水準で計画に織り込んでいる。また、その他事業については2019年7月に「タマディアホテル羽田」を閉館したため、売上高で数億円程度の減収要因となるものの、不採算事業からの撤退が一巡したことや住宅周辺事業の拡大により増収増益が見込まれる。なお、ホテル関連事業としては、2018年3月に大阪で開業したカプセルホテル「タマキャビン大阪本町」(客室数88室(122床)、宿泊料は平均で4,000〜8,000円)があるが、収益への影響は軽微となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2020年5月期の業績見通し
タマホーム<1419>の2020年5月期の連結業績は、売上高が前期比7.0%増の200,000百万円、営業利益が同4.5%増の7,700百万円、経常利益が同7.8%増の7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.3%増の4,300百万円と増収増益が続く見通し。
国内の住宅着工戸数は、消費増税の影響や景気の先行き不透明感、人口の減少傾向が続くなかで、横ばい基調からやや弱含みでの推移が予想されるものの、注文住宅では地域限定商品を中心とした豊富な受注残を背景に前期比1ケタ台の増加を見込んでいるほか、不動産事業でも戸建分譲事業等で増収を見込んでいる。利益面では、地域限定商品の値上げを2018年12月の受注契約時より段階的に進めており、これら受注案件の販売が当第1四半期から寄与することで住宅事業が増益に転じるほか、不動産事業も増益を見込んでいる。なお、前期は不動産事業において好採算な販売用不動産の売却があったが、当第1四半期も規模は下回るがホテル(東京都大田区羽田、土地1,057平方メートル、建物3,074平方メートル)の売却を1件実施する。ホテルの稼働率は高く黒字化していたものの、事業ポートフォリオの見直し及び経済合理性を勘案して、売却を決定したとしている。事業セグメント別の見通しは以下のとおり。
(1) 住宅事業
住宅事業については前期比1ケタ台の増収増益となる見通し。主力の注文住宅事業については、豊富な受注残を背景に販売棟数で1ケタ台後半の伸びを見込んでいる。地域限定商品の販売構成比は前期の73.5%から一時的に80%前後まで上昇する可能性があるが、値上げの浸透により収益性も改善する。また、リフォーム事業については同社が販売した築10年超の住宅が年間1万棟ペースで増加しており、これら顧客を中心に受注件数の拡大が見込まれる。リフォーム事業についても、増収効果により増益に転じる見通しだ。
なお、消費増税の影響については2019年4月の受注契約分から反映されるため、同業他社も含めて4月以降の受注が総じて軟調に推移していたが、6月受注に関しては同社のみ前年同月比で7%増※とプラスに転じており、いち早く回復していることがうかがえる。地域限定商品の投入等によって各地域でシェアが着実に上昇しているほか、2014年4月の消費増税時における営業戦略の失敗が糧になっていると見られる。前回は駆け込み受注を積極的に取り込んだことで、月次受注は前年同月比2倍近くまで急増したものの、施工能力以上の受注を抱え込んだ結果、施工期間が延伸しキャンセル件数が増加、増税後の受注低迷期間も長期化し、2016年5月期まで業績が悪化する要因となった。今回は各地域で施工能力をベースとした受注活動を行っており、過度な駆け込み受注が発生しなかったことや、顧客ニーズによっては戸建分譲住宅を提案するなど営業面で工夫していることが受注の早期回復につながったと見ることができる。
※受注の内訳は、注文住宅が1%増、戸建分譲が62%増、リフォームが60%増となっている。
(2) 不動産事業
不動産事業のうち、戸建分譲事業の販売強化により増収を見込んでいる。前期に好採算の販売用不動産物件を売却した反動もあり、利益面では若干の増益となる見通しだ。戸建分譲販売事業については営業体制の強化により、小規模分譲地の仕入販売ノウハウが順調に蓄積していることもあり、全国規模での拡大が見込まれる。マンション事業については、中古マンションのリノベーション販売を強化していく。
また、オフィス区分所有権販売事業については都心5区を中心にオフィスビルの需要が依然旺盛なことから、適正価格での仕入(営業利益率で10〜20%)を行いながら事業規模の拡大を目指していく方針だ。前期末の保有物件として3プロジェクト(延べ床面積で2,060平方メートル)があり、これらを販売していくほか新たな仕入による販売を進めていく。サブリース事業についてはこれら保有物件の販売時期等によって変動すると見られる。
(3) その他の事業
金融事業は注文住宅の販売棟数増加を背景とした保険契約件数の拡大に加えて、前期に落ち込んだつなぎ融資案件を回復することで増収増益を見込んでいる。エネルギー事業については太陽光発電能力が変わらないため、前期比横ばい水準で計画に織り込んでいる。また、その他事業については2019年7月に「タマディアホテル羽田」を閉館したため、売上高で数億円程度の減収要因となるものの、不採算事業からの撤退が一巡したことや住宅周辺事業の拡大により増収増益が見込まれる。なお、ホテル関連事業としては、2018年3月に大阪で開業したカプセルホテル「タマキャビン大阪本町」(客室数88室(122床)、宿泊料は平均で4,000〜8,000円)があるが、収益への影響は軽微となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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