TKP Research Memo(1):日本リージャスに続き台湾リージャスを買収。新中期経営計画を公表
[19/08/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ティーケーピー<3479>は、貸会議室ビジネスを起点とした「空間再生流通事業」を展開している。不動産オーナーから遊休不動産等を大口(割安)で仕入れ、会議室や宴会場などに「空間」を「再生」し、それを法人に小口で販売・シェアリングを行う独自のビジネスモデルに特徴がある。遊休不動産の有効活用を図りたい不動産オーナーと、低コストで効率的に会議室を利用したい法人のニーズを結び付けるところに新たな市場を創出し、高い成長性を実現してきた。また、ケータリングや宿泊などの周辺サービスによる差別化や高付加価値化にも取り組んでいる。
貸会議室は目的や予算に応じて5つのグレードに分かれるが、会議室数は合計2,489室(うち、海外33室)に上り、全国の主要都市に幅広く展開している(2020年2月期第1四半期末時点)。また、年間利用企業数は約26,000社(うち、上場企業約2,000社)を誇り、85%の高いリピート率により安定収益基盤を形成するとともに、今後の事業展開の可能性を広げる重要な資産となっている。
2019年5月31日には、レンタルオフィス「Regus」を展開する日本リージャスホールディングス(株)(以下、日本リージャス)の子会社化(全株式の取得)により、短中期のオフィス事業へ本格参入した。これまでの会議室利用(時間貸し)だけでなく、オフィス利用(月貸し等)への展開により、ポテンシャルの大きな日本のフレキシブルオフィスマーケットをけん引していく方針である。さらに2019年8月9日には、台湾リージャスの買収を公表するとともに、台湾におけるリージャス事業の長期独占契約を締結。台湾を皮切りに海外展開の加速にも取り組む。
1. 2020年2月期第1四半期業績の概要
2020年2月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比14.1%増の10,405百万円、営業利益が同18.2%増の2,087百万円と増収及び営業増益となり、売上高、営業利益は過去最高を更新した(四半期ベース)。なお、日本リージャス連結化による損益面への影響は第2四半期からとなる(バランスシートは第1四半期末から連結化)。売上高は、高グレード会議室を軸とした積極出店が奏功するとともに、ホテル事業の伸長、周辺サービスの取り込みによる単価向上などが増収に寄与。利益面では、積極出店やホテル開業にかかる費用、事業拡大に向けた人員増強に伴う人件費等により先行費用が増加したものの、単価向上(高付加価値化)や高稼働により吸収し、営業増益を実現した。一方、財政状態(バランスシート)については、日本リージャス連結化によって大きく変化。総資産は「のれん」の計上等により約1,055億円と前期末比で倍増するとともに、有利子負債も前期末比95.6%増の約702億円に拡大。自己資本比率は10.4%(同21.0%)に低下している。もっとも、新たに発行した優先株式約130億円を含めて判断すると、財務面での悪化は限定的と捉えることもできる。
2. 2020年2月期の連結業績予想
日本及び台湾リージャス連結化による影響を踏まえ、2019年8月16日に2020年2月期の業績予想を増額修正した(2019年6月26日に続き2回目の増額修正)。修正後の売上高は前期比58.2%増の56,206百万円、営業利益は同77.4%増の7,607百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。引き続き、オーガニックな成長に加えて、日本及び台湾リージャスの連結化が増収に大きく寄与する見通しである。一方、利益面でも、のれん償却費が新たな負担となるものの、増収効果や高付加価値化による収益性の改善のほか、日本及び台湾リージャスの連結化による利益の上乗せにより大幅な増益を実現する。弊社では、同社や日本及び台湾リージャスのそれぞれの業績の伸びを勘案すれば、同社の業績予想は十分に達成可能な水準であると評価している。業績予想の中には織り込まれていないPMI(買収後の統合プロセス)やシナジー創出(共同仕入れや相互送客の効果など)に向けた具体的な進捗状況に注目したい。
3. 成長戦略
同社は、日本及び台湾リージャスの買収に伴って、2019年8月16日に新中期経営計画を公表した。最終年度2022年2月期の目標として、売上高79,326百万円、営業利益12,471百万円(営業利益率15.7%)、EBITDA18,313百万円(EBITDAマージン23.1%)を目指す内容となっている。引き続き、進行中のホテル事業の拡大に加えて、日本及び台湾リージャスとのシナジー創出を通じて、今後更なる拡大が見込まれるフレキシブルオフィス市場でのシェア拡大や周辺サービスの拡大、海外展開により成長を加速する戦略である。さらに2030年には国内拠点を現在の約410拠点から1,500拠点へと拡大する構想も描いている。
■Key Points
・2020年2月期第1四半期の業績も順調に拡大し、売上高、営業利益ともに過去最高を更新(四半期ベース)
・2019年5月31日にレンタルオフィス「Regus」を展開する日本リージャスを買収すると、2019年8月9日には台湾リージャスの買収も公表
・日本及び台湾リージャス買収に伴い、2020年2月期の業績予想を増額修正するとともに、新たに中期経営計画を公表
・これまでの会議室利用(時間貸し)だけでなく、オフィス利用(月貸し等)への展開により、ポテンシャルの大きな日本のフレキシブルオフィスマーケットをけん引していくほか、台湾を皮切りとして海外展開も加速する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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ティーケーピー<3479>は、貸会議室ビジネスを起点とした「空間再生流通事業」を展開している。不動産オーナーから遊休不動産等を大口(割安)で仕入れ、会議室や宴会場などに「空間」を「再生」し、それを法人に小口で販売・シェアリングを行う独自のビジネスモデルに特徴がある。遊休不動産の有効活用を図りたい不動産オーナーと、低コストで効率的に会議室を利用したい法人のニーズを結び付けるところに新たな市場を創出し、高い成長性を実現してきた。また、ケータリングや宿泊などの周辺サービスによる差別化や高付加価値化にも取り組んでいる。
貸会議室は目的や予算に応じて5つのグレードに分かれるが、会議室数は合計2,489室(うち、海外33室)に上り、全国の主要都市に幅広く展開している(2020年2月期第1四半期末時点)。また、年間利用企業数は約26,000社(うち、上場企業約2,000社)を誇り、85%の高いリピート率により安定収益基盤を形成するとともに、今後の事業展開の可能性を広げる重要な資産となっている。
2019年5月31日には、レンタルオフィス「Regus」を展開する日本リージャスホールディングス(株)(以下、日本リージャス)の子会社化(全株式の取得)により、短中期のオフィス事業へ本格参入した。これまでの会議室利用(時間貸し)だけでなく、オフィス利用(月貸し等)への展開により、ポテンシャルの大きな日本のフレキシブルオフィスマーケットをけん引していく方針である。さらに2019年8月9日には、台湾リージャスの買収を公表するとともに、台湾におけるリージャス事業の長期独占契約を締結。台湾を皮切りに海外展開の加速にも取り組む。
1. 2020年2月期第1四半期業績の概要
2020年2月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比14.1%増の10,405百万円、営業利益が同18.2%増の2,087百万円と増収及び営業増益となり、売上高、営業利益は過去最高を更新した(四半期ベース)。なお、日本リージャス連結化による損益面への影響は第2四半期からとなる(バランスシートは第1四半期末から連結化)。売上高は、高グレード会議室を軸とした積極出店が奏功するとともに、ホテル事業の伸長、周辺サービスの取り込みによる単価向上などが増収に寄与。利益面では、積極出店やホテル開業にかかる費用、事業拡大に向けた人員増強に伴う人件費等により先行費用が増加したものの、単価向上(高付加価値化)や高稼働により吸収し、営業増益を実現した。一方、財政状態(バランスシート)については、日本リージャス連結化によって大きく変化。総資産は「のれん」の計上等により約1,055億円と前期末比で倍増するとともに、有利子負債も前期末比95.6%増の約702億円に拡大。自己資本比率は10.4%(同21.0%)に低下している。もっとも、新たに発行した優先株式約130億円を含めて判断すると、財務面での悪化は限定的と捉えることもできる。
2. 2020年2月期の連結業績予想
日本及び台湾リージャス連結化による影響を踏まえ、2019年8月16日に2020年2月期の業績予想を増額修正した(2019年6月26日に続き2回目の増額修正)。修正後の売上高は前期比58.2%増の56,206百万円、営業利益は同77.4%増の7,607百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。引き続き、オーガニックな成長に加えて、日本及び台湾リージャスの連結化が増収に大きく寄与する見通しである。一方、利益面でも、のれん償却費が新たな負担となるものの、増収効果や高付加価値化による収益性の改善のほか、日本及び台湾リージャスの連結化による利益の上乗せにより大幅な増益を実現する。弊社では、同社や日本及び台湾リージャスのそれぞれの業績の伸びを勘案すれば、同社の業績予想は十分に達成可能な水準であると評価している。業績予想の中には織り込まれていないPMI(買収後の統合プロセス)やシナジー創出(共同仕入れや相互送客の効果など)に向けた具体的な進捗状況に注目したい。
3. 成長戦略
同社は、日本及び台湾リージャスの買収に伴って、2019年8月16日に新中期経営計画を公表した。最終年度2022年2月期の目標として、売上高79,326百万円、営業利益12,471百万円(営業利益率15.7%)、EBITDA18,313百万円(EBITDAマージン23.1%)を目指す内容となっている。引き続き、進行中のホテル事業の拡大に加えて、日本及び台湾リージャスとのシナジー創出を通じて、今後更なる拡大が見込まれるフレキシブルオフィス市場でのシェア拡大や周辺サービスの拡大、海外展開により成長を加速する戦略である。さらに2030年には国内拠点を現在の約410拠点から1,500拠点へと拡大する構想も描いている。
■Key Points
・2020年2月期第1四半期の業績も順調に拡大し、売上高、営業利益ともに過去最高を更新(四半期ベース)
・2019年5月31日にレンタルオフィス「Regus」を展開する日本リージャスを買収すると、2019年8月9日には台湾リージャスの買収も公表
・日本及び台湾リージャス買収に伴い、2020年2月期の業績予想を増額修正するとともに、新たに中期経営計画を公表
・これまでの会議室利用(時間貸し)だけでなく、オフィス利用(月貸し等)への展開により、ポテンシャルの大きな日本のフレキシブルオフィスマーケットをけん引していくほか、台湾を皮切りとして海外展開も加速する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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