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橋本総業HD Research Memo(6):2019年3月期は、収益性の向上により増収増益で着地

注目トピックス 日本株
■業績動向

2. 2019年3月期業績動向
橋本総業ホールディングス<7570>の2019年3月期の業績は、売上高132,944百万円(前期比3.6%増)、営業利益2,482百万円(同11.6%増)、経常利益2,735百万円(同11.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,803百万円(同4.6%増)となった。2018年度の国内建設業界において、民間住宅投資は貸家の着工減はあったものの持家と分譲が底堅く推移、民間非住宅投資は企業の設備投資の増加を背景に堅調に推移した。一方、公共投資はほぼ横ばいとなり、業界全体で若干のプラス推移となった。

このような状況下、親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却損などを特別損失に計上したため伸び率が低くなった。しかし、一層のシェアアップと新規需要の開拓を目指し、成長への取り組みである「3つのフル」を実践、業界最大・最良のネットワークへの取り組みとして「みらい活動」、生産性向上への取り組みとして「進化活動」も具体化して積極展開した。このため、売上高で2,944百万円、営業利益で82百万円、経常利益で135百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で153百万円期初計画を上回る好調な業績となった。

部門別において、管材類部門の売上高は42,895百万円(前期比4.0%増)となった。住宅分野は新築とリフォーム需要がともに低調だったため汎用配管材の販売は横ばいだったが、非住宅分野は建築設備工事や工場プラント関連の需要が増加したため堅調に推移した。原材料や物流費などコストプッシュの影響を受けて製品価格を値上げしたが、商品の安定供給を図るため、市況への機動的対応や在庫商材の拡充、商材の拡大に注力した。

商品別では、パイプは鉄鋼製品全般の需要が好調に推移する一方原材料費が高騰したが、同社は積極的に値上げに取り組んで市況改善を図る一方、在庫管理精度の向上や即納体制の強化、鋼管類の加工対応などを進めた。継手は金属系が競争激化で価格下落、防災設備向けは安定推移、ステンレスが増加傾向という状況のなか、同社は在庫拡充による即納体制の強化やパイプやバルブと組み合わせた総合的な受注、特需部門での販売強化などを推進した。バルブは建築設備需要が都内を中心に活発化したものの、プラント関連投資が半導体関係中心に減少、新規案件も都内再開発以外が減少するなか、同社は市況価格に対応した販売体制や在庫商材の種類と量の充実、自動弁の組立て機能の活用などを推進した。化成品は素材価格上昇による製品値上げ、プレハブ化の浸透による住宅・非住宅における需要増という環境にあり、同社は在庫拡充により即納体制やルート販売を強化、戸建向け樹脂管のプレハブ加工を充実させた。土木・その他は耐震化や老朽管更新の需要増の反面、人手不足による実工事の減少、ポリエチレン管とGX管の採用エリアの拡大、150A以下の樹脂管と鋳鉄管の比率逆転といった状況にあり、同社は地方支店中心に販売エリアを拡張、地域ごとに給水材料の取扱いを進め、樹脂管の即納体制を構築した。

衛生陶器・金具類部門の売上高は38,036百万円(前期比0.6%増)となった。住宅需要が新築・リフォームともに年間を通じて若干低迷する一方で、非住宅物件のリフォーム需要は前年をやや上回って推移した。同社は住宅リフォーム需要への対応強化のためメーカーのショールームを活用して潜在需要を取り込む一方、非住宅分野のホテルや保育園といった公共物件の受注に注力した。トイレ・水栓金具は住宅の新築・リフォーム需要が若干低迷したものの、非住宅物件や高級機ゾーンのトイレがやや伸長しており、同社は新商品をメーカーと共同PRをするとともにショールーム商談会を強化、在庫機能を生かした商品供給体制を構築した。洗面・浴室設備は戸建住宅向けがやや増加、集合住宅向けがやや減少、普及品は前年並みだったが高級品がやや低迷、一方で非住宅物件向けは好調に推移した。同社はユーザー向けの提案型ショールームイベントを開催し、東雲エコリフォームセンターにおける研修体制も強化した。

住宅設備機器類部門の売上高は21,615百万円(前期比0.6%増)となった。給湯機器は非住宅の需要が堅調に推移したことで業務用の需要が好転、住宅向けではエコキュートの取替需要が好調に推移した。なかでもガス機器と石油機器で省エネ・高効率タイプのものが伸長した。キッチンは各メーカーから新商品が発売されていることもあり、戸建リフォーム向けの需要がやや増加した。メーカー間で差が生じたシステムキッチンはやや伸長、セクショナルキッチンは前年並みとなった。これに対し同社は、リフォーム・取替需要に対応して給湯器の在庫を積み増して自社キャンペーンを展開、ショールーム商談会を活用してマンション向けキッチンの受注にも注力した。また、省エネ・高効率給湯器の拡販に全国ベースで取り組み、ガス、石油、電気を複合した提案を強化、地域ごとに主力メーカーとのタイアップを推進した。住宅総合卸としての強みを生かし、ショールーム商談会や設備商品のトータル受注も強化した。

空調機器・ポンプ部門の売上高は28,917百万円(前期比10.0%増)となった。空調機器類の需要が猛暑の影響などにより高水準で推移、特に住宅用は高機能型が人気で販売単価が上昇した。換気扇の需要は住宅竣工件数とほぼ連動し前年をやや下回ったが、浴室暖房乾燥機は伸長、汎用ポンプ、家庭ポンプはともに堅調に推移した。その中で同社は、仕入先との関係を強化するとともにユーザーニーズに合わせて普及機から高機能機まで幅広く提案を行ったことで、業務用空調機の販売は堅調に推移した。空調・換気機器は更新需要が拡大するなか、高級機ゾーンが拡大する一方、業務用は個別分散方式とセントラル方式に2極化した。同社は仕入先と情報共有を進め、省エネ機の拡大やボリュームゾーン、学校空調需要への対応を進めた。ポンプ・水槽の需要は家庭用が縮小傾向だったが産業用は更新需要で堅調、給水用はユニット型が拡大した。同社は地域との接点を強化し物件情報を早期に収集、農水、産機、土木関連分野での取り組みを強化、家庭用ポンプの販売シェアを拡大した。エネルギー関連では省エネ、蓄エネ、創エネといった需要に対応した製品を増やした。蓄電池とHEMSの連携商品の製品化が進んだ一方で、産業用太陽光発電の需要は減少した。同社は省エネ、蓄エネ、創エネ商材やHEMSと蓄電池、デジタル家電の提案を強化、産業用太陽光システムの拡販も推進した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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