木徳神糧 Research Memo(3):2019年12月期2Qは米穀事業の採算低下により、営業利益が大幅減
[19/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年12月期第2四半期の業績概要
木徳神糧<2700>の2019年12月期第2四半期は、売上高が57,058百万円(前年同期比2.4%減)、営業利益234百万円(同55.6%減)、経常利益270百万円(同52.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益166百万円(同54.9%減)となった。主力の米穀事業において、価格は比較的高値で推移したものの、比較的採算のよいMA米の販売数量が減少したことにより、セグメントとしては減収・減益となった。その他の事業は比較的堅調に推移したが、主力の米穀事業が減益となったことから全体の営業利益、経常利益は前年同期比で大幅な減益となった。
セグメント別売上高は、米穀事業が49,665百万円(前年同期比2.7%減)、飼料事業が3,318百万円(同5.6%増)、鶏卵事業が2,484百万円(同1.6%減)、食品事業が1,590百万円(同11.2%減)となった。食品事業は、2016年8月に子会社内外食品を売却したことにより、売上高が最小のセグメントとなっている。
またセグメント別営業利益(全社分消去前)は、米穀事業が471百万円(前年同期比41.3%減)、飼料事業が155百万円(同0.9%減)、鶏卵事業が22百万円(同72.7%増)、食品事業が27百万円の損失(前年同期47百万円の損失)となった。
(1) 米穀事業
主力の米穀事業では、米穀の総販売数量は239.4千トンとなり前年同期の259.1千トンから19.7千トン減少した。内訳は、国内産精米96.7千トン(同0.2千トン増)、外国産精米(MA米含む)93.2千トン(同25.3千トン減)、玄米49.5千トン(同5.4千トン増)であった。国内産精米については、コンビニエンスストアや外食チェーン向け、いわゆる中食・外食向けの販売は比較的堅調であったが、生協やGMS経由で販売される一般家庭向けの精米販売は価格が比較的高かったこともあり低調に推移し、販売数量は微増にとどまった。一方、入札によるMA米の調達が思うように進まなかったことから、外国産米の販売数量は減少した。玄米の販売(主に卸業者向け)は末端での在庫の関係もあり、前年同期比では5.4%増となった。
価格においては、平成29年(2017年)産米は15,500〜15,700円前後で推移したが、平成30年(2018年)産米もほぼ15,700円前後で推移した。このため同社の国産米の売上高は前年同期並みであったが、入札で決定されるMA米の数量が大幅に減少したことから全体の売上高は低下し、価格競争による採算の悪化と運賃や保管料など物流コストの上昇を受け、セグメント利益は前年同期比で大幅減となった。
(2) 飼料事業
国内の穀類や糟糠類の需給が逼迫したことから販売数量は減少したが、輸入牧草類の販売が伸長したことから売上高は前年同期比で微増となった。一方で、国内原料価格や物流コストの上昇などから利益率が低下し、セグメント利益は前年同期比で減益となったが、ほぼ計画に沿った結果であった。地味ではあるが、着実に利益を計上している部門である。
(3) 鶏卵事業
鶏卵相場は、供給過剰により前年同期に比べて安値でスタートしたことから売上高は微減となった。しかし相対的に採算の良い鶏卵加工品(外食チェーン向け等)の販売が増加したことなどから、利益率は向上し、セグメント利益は微増となった。
(4) 食品事業
食品事業では、鶏肉事業を行っていた子会社の内外食品の株式を2016年夏にすべて売却したことで、長い間損失を計上していた鶏肉事業から完全に撤退した。この結果、現在の食品事業は同社及び台湾子会社が行う米関連の加工食品、米粉製品、たんぱく質調整米(真粒米)等の製造・販売だけになっており、売上高は以前に比べて大きく縮小している。損益面では、不採算事業から撤退したことで大幅な不採算体質からは脱却したが、たんぱく質調整米の台湾工場の稼働が計画より遅れていることなどから、セグメント損益はわずかではあるが損失が続いた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<ST>
1. 2019年12月期第2四半期の業績概要
木徳神糧<2700>の2019年12月期第2四半期は、売上高が57,058百万円(前年同期比2.4%減)、営業利益234百万円(同55.6%減)、経常利益270百万円(同52.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益166百万円(同54.9%減)となった。主力の米穀事業において、価格は比較的高値で推移したものの、比較的採算のよいMA米の販売数量が減少したことにより、セグメントとしては減収・減益となった。その他の事業は比較的堅調に推移したが、主力の米穀事業が減益となったことから全体の営業利益、経常利益は前年同期比で大幅な減益となった。
セグメント別売上高は、米穀事業が49,665百万円(前年同期比2.7%減)、飼料事業が3,318百万円(同5.6%増)、鶏卵事業が2,484百万円(同1.6%減)、食品事業が1,590百万円(同11.2%減)となった。食品事業は、2016年8月に子会社内外食品を売却したことにより、売上高が最小のセグメントとなっている。
またセグメント別営業利益(全社分消去前)は、米穀事業が471百万円(前年同期比41.3%減)、飼料事業が155百万円(同0.9%減)、鶏卵事業が22百万円(同72.7%増)、食品事業が27百万円の損失(前年同期47百万円の損失)となった。
(1) 米穀事業
主力の米穀事業では、米穀の総販売数量は239.4千トンとなり前年同期の259.1千トンから19.7千トン減少した。内訳は、国内産精米96.7千トン(同0.2千トン増)、外国産精米(MA米含む)93.2千トン(同25.3千トン減)、玄米49.5千トン(同5.4千トン増)であった。国内産精米については、コンビニエンスストアや外食チェーン向け、いわゆる中食・外食向けの販売は比較的堅調であったが、生協やGMS経由で販売される一般家庭向けの精米販売は価格が比較的高かったこともあり低調に推移し、販売数量は微増にとどまった。一方、入札によるMA米の調達が思うように進まなかったことから、外国産米の販売数量は減少した。玄米の販売(主に卸業者向け)は末端での在庫の関係もあり、前年同期比では5.4%増となった。
価格においては、平成29年(2017年)産米は15,500〜15,700円前後で推移したが、平成30年(2018年)産米もほぼ15,700円前後で推移した。このため同社の国産米の売上高は前年同期並みであったが、入札で決定されるMA米の数量が大幅に減少したことから全体の売上高は低下し、価格競争による採算の悪化と運賃や保管料など物流コストの上昇を受け、セグメント利益は前年同期比で大幅減となった。
(2) 飼料事業
国内の穀類や糟糠類の需給が逼迫したことから販売数量は減少したが、輸入牧草類の販売が伸長したことから売上高は前年同期比で微増となった。一方で、国内原料価格や物流コストの上昇などから利益率が低下し、セグメント利益は前年同期比で減益となったが、ほぼ計画に沿った結果であった。地味ではあるが、着実に利益を計上している部門である。
(3) 鶏卵事業
鶏卵相場は、供給過剰により前年同期に比べて安値でスタートしたことから売上高は微減となった。しかし相対的に採算の良い鶏卵加工品(外食チェーン向け等)の販売が増加したことなどから、利益率は向上し、セグメント利益は微増となった。
(4) 食品事業
食品事業では、鶏肉事業を行っていた子会社の内外食品の株式を2016年夏にすべて売却したことで、長い間損失を計上していた鶏肉事業から完全に撤退した。この結果、現在の食品事業は同社及び台湾子会社が行う米関連の加工食品、米粉製品、たんぱく質調整米(真粒米)等の製造・販売だけになっており、売上高は以前に比べて大きく縮小している。損益面では、不採算事業から撤退したことで大幅な不採算体質からは脱却したが、たんぱく質調整米の台湾工場の稼働が計画より遅れていることなどから、セグメント損益はわずかではあるが損失が続いた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<ST>