Jトラスト Research Memo(4):日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業がけん引して業績回復基調(2)
[19/09/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■Jトラスト<8508>の業績動向
2. セグメント別業績
同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業、非金融事業(総合エンターテインメント事業と不動産事業の合算)の5事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の8割強を占める。2019年12月期第1四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が利益を確保し、東南アジア金融事業、投資事業の損失を補った。
(1) 日本金融事業
日本金融事業には、信用保証業務を中心に事業展開する(株)日本保証、クレジット・信販業務のJトラストカード(株)、サービサー業務のパルティール債権回収(株)などがある。国内の消費者金融市場が縮小するなか、2015年9月には実質的に無担保ローン事業から撤退し、不動産関連の保証業務及び債権買取回収業務に注力する体制を整備した。日本金融事業は、同社グループの強みが生かせる分野を中心に緩やかに成長することで、同社グループ全体の利益を下支えする役割を担っている。
2019年12月期第1四半期における日本金融事業は、保証料収益や債権回収における利息収益が堅調に推移したことからほぼ前年同期並みの2,345百万円(前年同期比1.1%減)を計上し、セグメント利益は貸倒引当金繰入額の減少により1,078百万円(同11.1%増)と安定的な利益を維持し、韓国及びモンゴル金融事業に次いで高い利益水準を確保した。
日本金融事業では、子会社の日本保証がアパートローン保証に注力した結果、2019年6月の債務保証残高の合計は2,089億円となり、2017年3月の859億円から大きく増加している。今後は保証商品の多角化を進める方針である。
不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価、審査と信用保証を担い、銀行が融資を行う。主に地域銀行数行と提携して、賃貸住宅ローン(アパートローン)保証業務を中心に保証残高は右肩上がりで増加を続けているが、アパートローンについては2019年3月時点でデフォルトはない。同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は98%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は、近年、競争が激化していることから取扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることで利益を確保している。
ただ、金融機関の審査基準が厳格化していることなどから、当面はアパートローンの保証残高は増加を期待しにくい環境にある。こうした環境下、最近の動きとしては、新たな保証商品としてクラウドファンディング商品の保証を開始した。日本保証の強みである不動産担保ローンの保証商品を2本リリースしたところ好評で、2本ともにおよそ40分以内に完売となった。さらに、海外不動産担保ローンの保証提携先銀行も増え、計3行になっている。こうした提携先の拡大や商品の多様化により、今後も保証残高が積み上がると見られる。
また、パルティール債権回収による債権買取回収業務でも、不良債権の買取りが順調に進み、請求債権残高は合計9,000億円超となった。パルティール債権回収が取り扱う請求可能債権残高は、2017年3月の7,306億円から2019年6月には7,874億円に増加している。業界全体では金融機関等の貸付債権が6割近くを占めるのに対し、同社ではリース・クレジット債権が過半数を占めている。これに、日本保証が(株)武富士より承継した簿外債権(請求可能債権)の約1,500億円を加えると、サービサー事業における債権残高は9,000億円を超える。
債権買取回収業務における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。回収力の強さは、金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位性となり、事業拡大という好循環につながる。今後もこの強みを生かした事業拡大を進めていく方針だ。また、こうした国内事業での債権回収力の強さは、韓国やインドネシアでも生かされている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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2. セグメント別業績
同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業、非金融事業(総合エンターテインメント事業と不動産事業の合算)の5事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の8割強を占める。2019年12月期第1四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が利益を確保し、東南アジア金融事業、投資事業の損失を補った。
(1) 日本金融事業
日本金融事業には、信用保証業務を中心に事業展開する(株)日本保証、クレジット・信販業務のJトラストカード(株)、サービサー業務のパルティール債権回収(株)などがある。国内の消費者金融市場が縮小するなか、2015年9月には実質的に無担保ローン事業から撤退し、不動産関連の保証業務及び債権買取回収業務に注力する体制を整備した。日本金融事業は、同社グループの強みが生かせる分野を中心に緩やかに成長することで、同社グループ全体の利益を下支えする役割を担っている。
2019年12月期第1四半期における日本金融事業は、保証料収益や債権回収における利息収益が堅調に推移したことからほぼ前年同期並みの2,345百万円(前年同期比1.1%減)を計上し、セグメント利益は貸倒引当金繰入額の減少により1,078百万円(同11.1%増)と安定的な利益を維持し、韓国及びモンゴル金融事業に次いで高い利益水準を確保した。
日本金融事業では、子会社の日本保証がアパートローン保証に注力した結果、2019年6月の債務保証残高の合計は2,089億円となり、2017年3月の859億円から大きく増加している。今後は保証商品の多角化を進める方針である。
不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価、審査と信用保証を担い、銀行が融資を行う。主に地域銀行数行と提携して、賃貸住宅ローン(アパートローン)保証業務を中心に保証残高は右肩上がりで増加を続けているが、アパートローンについては2019年3月時点でデフォルトはない。同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は98%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は、近年、競争が激化していることから取扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることで利益を確保している。
ただ、金融機関の審査基準が厳格化していることなどから、当面はアパートローンの保証残高は増加を期待しにくい環境にある。こうした環境下、最近の動きとしては、新たな保証商品としてクラウドファンディング商品の保証を開始した。日本保証の強みである不動産担保ローンの保証商品を2本リリースしたところ好評で、2本ともにおよそ40分以内に完売となった。さらに、海外不動産担保ローンの保証提携先銀行も増え、計3行になっている。こうした提携先の拡大や商品の多様化により、今後も保証残高が積み上がると見られる。
また、パルティール債権回収による債権買取回収業務でも、不良債権の買取りが順調に進み、請求債権残高は合計9,000億円超となった。パルティール債権回収が取り扱う請求可能債権残高は、2017年3月の7,306億円から2019年6月には7,874億円に増加している。業界全体では金融機関等の貸付債権が6割近くを占めるのに対し、同社ではリース・クレジット債権が過半数を占めている。これに、日本保証が(株)武富士より承継した簿外債権(請求可能債権)の約1,500億円を加えると、サービサー事業における債権残高は9,000億円を超える。
債権買取回収業務における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。回収力の強さは、金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位性となり、事業拡大という好循環につながる。今後もこの強みを生かした事業拡大を進めていく方針だ。また、こうした国内事業での債権回収力の強さは、韓国やインドネシアでも生かされている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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