デジハHD Research Memo:ゲームデバッグ事業に続く第二の収益の柱として、システムテスト事業の成長が加速
[19/09/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
第1四半期(4〜6月)は「デバッグ」が業績をけん引、エンタープライズ事業は前年同期比1.5倍の成長を実現
デジタルハーツホールディングス<3676>の2020年3月期第1四半期(4〜6月)決算は、売上高4,988百万円(前年同期比12.1%増)、営業利益189百万円(同37.2%減)、経常利益189百万円(同37.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益112百万円(同38.2%減)で着地した。売上高は、第1四半期としては過去最高を更新している。エンターテインメント事業及びエンタープライズ事業はいずれも増収となり、エンターテインメント事業の「デバッグ」の売上高は2ケタ成長を達成し業績をけん引した。また、注力事業であるエンタープライズ事業が前年同期比1.5倍の成長を実現した。一方、利益面については減益となったが、これは積極的な先行投資を実施したことによるものである。同社では、2017年6月の代表取締役社長の交代以降、新経営体制を発足し「第二創業期」と位置づけ経営改革を実施してきた。この第二創業期で最も重要なのが、エンタープライズ事業の拡大であり、2020年3月期第1四半期は今後、加速度的に増加が見込まれる「システムテスト」のアウトソーシングニーズを確実に取り組むための強固な事業基盤を構築するうえで欠かすことのできない、攻めの人材投資のほか、M&A及びアライアンスを進めた。
エンターテインメント事業は主力の「デバッグ」が好調に推移
セグメント別の業績では、主に、コンソールゲーム、モバイルゲーム、アミューズメント機器のデバッグ、ゲームの受託開発、プロモーション活動支援等のサービスを展開するエンターテインメント事業の売上高は4,033百万円(前年同期比6.2%増)、セグメント利益が727百万円(同7.3%増)だった。主力の「デバッグ」で、コンソールゲーム向けのサービスにおいて、顧客ニーズを的確に捉えた提案型の営業活動やサービス品質の向上・改善に向けた継続的な取り組みが奏功し、複数の大型タイトル案件の獲得が進むなど、好調に推移した。また、厳しい市場環境が続いていたアミューズメント機器業界にも復調の兆しが見え始めており、顧客企業における新台開発が徐々に活発化したことを背景に、これらに係るデバッグニーズを取り込むことで、デバッグの売上高は3,444百万円(同10.7%増)と大幅な増収を達成している。
エンタープライズ事業は「システムテスト」の成長が加速
エンタープライズ事業の売上高は954百万円(前年同期比46.3%増)となり、先行投資を行った影響等からセグメント損失は184百万円だった。エンタープライズシステムの不具合を検出するサービスである「システムテスト」では、新規案件の獲得に必要不可欠であるテストエンジニアの確保・育成を目的とする積極的な人材投資を継続し、受注体制を強化するなかで、走行テストをはじめとする自動車関連の大型案件等を獲得している。また、2020年3月期第1四半期から新設した「統合コントロールセンター」において、テストエンジニアの稼働状況やプロジェクト進捗管理等を徹底することで、効率的な業務運営に努めており、売上高は430百万円(同65.8%増)と大幅な増収を達成した。システムの受託開発やITサポート、セキュリティ等のサービスを提供する「ITサービス・セキュリティサービス」においても、売上高523百万円(同33.4%増)と好調である。システムの受託開発サービスが好調に推移しているほか、セキュリティサービスにおいては、協業先である米国Synackと共同で提供しているペネトレーションテストサービス(システム全体の脆弱性を洗い出すサービス)の新規案件獲得が進んだ。
米国LOGIGEAR CORPORATIONを子会社化。システムテストの非連続な成長を目指す
最先端技術の活用等を目的に、テスト自動化に関する高い技術力及び実績を有する米国のLOGIGEAR CORPORATION(LogiGear)の株式取得及びLogiGearが実施する第三者割当増資を引き受けることにより、2019年8月1日付けで子会社化。LogiGearグループ各社も同社の関連会社となった。同社では、このLogiGearグループの技術力及び知見と、(株)デジタルハーツの営業力を活用することで、テスト自動化がまだ浸透していない日本市場を中心に、テスト自動化と親和性の高い大規模かつ継続的なテスト案件の獲得に注力し、システムテスト事業の非連続な成長を目指す。
2020年3月期上期までを攻めの投資期間とし、下期以降から収益回収フェーズへ
2020年3月期の業績予想については、売上高23,000百万円(前期比19.5%増)、営業利益1,800百万円(同12.1%増)、経常利益1,830百万円(同10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,250百万円(同20.7%減)としている。第1四半期時点では通期計画に対する利益の進捗率は決して高くはないが、もともと下期以降の飛躍を見据え、上期は専門人材をはじめとする攻めの投資を継続する計画だったため、概ね会社の想定通りに進捗しているもよう。またLogiGearグループの業績は第3四半期以降に取り込む予定であり、2020年3月期計画に対しての影響は軽微とみられるが、自動化ツールの活用等のグループ化に伴うシナジー効果は期待できよう。
なお、これまで続けてきた人材投資については、LogiGearグループの子会社化によってテストエンジニア約500名を一気に獲得したこともあり、落ち着く可能性がある。ただ、自動化ツールを活用しても、テスト工程の100%自動化は難しく、規模は縮小しながらも人材投資は続く見込みとなっている。
3〜5年後にシステムテストの売上高100億円、テスト自動化案件比率70%を目指す
同社は、ゲームデバッグ事業に続く第二の収益の柱としてシステムテスト事業を拡大すべく、テスト自動化技術を有するLogiGearグループを子会社化し、システムテスト事業の非連続な成長を目指す戦略を掲げている。市場環境としては、アジャイル開発といった短期間でソフトウエアを開発する流れが浸透しているほか、クラウド化の加速によって操作性の向上・機能追加等の継続的なアップデートが発生している。これにより、短いサイクルでテストが多発しているほか、同じ環境・手順・設定のテストが発生しているため、結果的には低コストかつ効率的なテスト実行に対するニーズが拡大している。同社はテスト自動化でこれらの増加する需要に対応する。同社では今後、テスト自動化案件比率70%以上を目指しており、パラダイムシフトが起こっている業界におけるテスト案件獲得に注力する。ターゲットとする市場としては、1)テスト自動化と高い親和性があるソフトウエア、2)今後も継続的な成長が見込まれるマーケット、3)テスト工程のアウトソースが早いと見込まれるマーケット(社内リソースだけでは対応できないほどの膨大なテスト工数、自社内にシステムテストの知見を持つエンジニアが不在)を選定理由として、流通(eコマース)、自動車、情報・通信(アプリケーション)を挙げている。
システムテスト事業の数値目標については、2020年3月期に売上高25億円、2021年3月期に50億円、2022年3月期以降には売上高100億円達成を目指す計画である。テスト自動化案件比率においては、2020年3月期10%、2021年3月期40%、2022年3月期以降で70%とする計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
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デジタルハーツホールディングス<3676>の2020年3月期第1四半期(4〜6月)決算は、売上高4,988百万円(前年同期比12.1%増)、営業利益189百万円(同37.2%減)、経常利益189百万円(同37.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益112百万円(同38.2%減)で着地した。売上高は、第1四半期としては過去最高を更新している。エンターテインメント事業及びエンタープライズ事業はいずれも増収となり、エンターテインメント事業の「デバッグ」の売上高は2ケタ成長を達成し業績をけん引した。また、注力事業であるエンタープライズ事業が前年同期比1.5倍の成長を実現した。一方、利益面については減益となったが、これは積極的な先行投資を実施したことによるものである。同社では、2017年6月の代表取締役社長の交代以降、新経営体制を発足し「第二創業期」と位置づけ経営改革を実施してきた。この第二創業期で最も重要なのが、エンタープライズ事業の拡大であり、2020年3月期第1四半期は今後、加速度的に増加が見込まれる「システムテスト」のアウトソーシングニーズを確実に取り組むための強固な事業基盤を構築するうえで欠かすことのできない、攻めの人材投資のほか、M&A及びアライアンスを進めた。
エンターテインメント事業は主力の「デバッグ」が好調に推移
セグメント別の業績では、主に、コンソールゲーム、モバイルゲーム、アミューズメント機器のデバッグ、ゲームの受託開発、プロモーション活動支援等のサービスを展開するエンターテインメント事業の売上高は4,033百万円(前年同期比6.2%増)、セグメント利益が727百万円(同7.3%増)だった。主力の「デバッグ」で、コンソールゲーム向けのサービスにおいて、顧客ニーズを的確に捉えた提案型の営業活動やサービス品質の向上・改善に向けた継続的な取り組みが奏功し、複数の大型タイトル案件の獲得が進むなど、好調に推移した。また、厳しい市場環境が続いていたアミューズメント機器業界にも復調の兆しが見え始めており、顧客企業における新台開発が徐々に活発化したことを背景に、これらに係るデバッグニーズを取り込むことで、デバッグの売上高は3,444百万円(同10.7%増)と大幅な増収を達成している。
エンタープライズ事業は「システムテスト」の成長が加速
エンタープライズ事業の売上高は954百万円(前年同期比46.3%増)となり、先行投資を行った影響等からセグメント損失は184百万円だった。エンタープライズシステムの不具合を検出するサービスである「システムテスト」では、新規案件の獲得に必要不可欠であるテストエンジニアの確保・育成を目的とする積極的な人材投資を継続し、受注体制を強化するなかで、走行テストをはじめとする自動車関連の大型案件等を獲得している。また、2020年3月期第1四半期から新設した「統合コントロールセンター」において、テストエンジニアの稼働状況やプロジェクト進捗管理等を徹底することで、効率的な業務運営に努めており、売上高は430百万円(同65.8%増)と大幅な増収を達成した。システムの受託開発やITサポート、セキュリティ等のサービスを提供する「ITサービス・セキュリティサービス」においても、売上高523百万円(同33.4%増)と好調である。システムの受託開発サービスが好調に推移しているほか、セキュリティサービスにおいては、協業先である米国Synackと共同で提供しているペネトレーションテストサービス(システム全体の脆弱性を洗い出すサービス)の新規案件獲得が進んだ。
米国LOGIGEAR CORPORATIONを子会社化。システムテストの非連続な成長を目指す
最先端技術の活用等を目的に、テスト自動化に関する高い技術力及び実績を有する米国のLOGIGEAR CORPORATION(LogiGear)の株式取得及びLogiGearが実施する第三者割当増資を引き受けることにより、2019年8月1日付けで子会社化。LogiGearグループ各社も同社の関連会社となった。同社では、このLogiGearグループの技術力及び知見と、(株)デジタルハーツの営業力を活用することで、テスト自動化がまだ浸透していない日本市場を中心に、テスト自動化と親和性の高い大規模かつ継続的なテスト案件の獲得に注力し、システムテスト事業の非連続な成長を目指す。
2020年3月期上期までを攻めの投資期間とし、下期以降から収益回収フェーズへ
2020年3月期の業績予想については、売上高23,000百万円(前期比19.5%増)、営業利益1,800百万円(同12.1%増)、経常利益1,830百万円(同10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,250百万円(同20.7%減)としている。第1四半期時点では通期計画に対する利益の進捗率は決して高くはないが、もともと下期以降の飛躍を見据え、上期は専門人材をはじめとする攻めの投資を継続する計画だったため、概ね会社の想定通りに進捗しているもよう。またLogiGearグループの業績は第3四半期以降に取り込む予定であり、2020年3月期計画に対しての影響は軽微とみられるが、自動化ツールの活用等のグループ化に伴うシナジー効果は期待できよう。
なお、これまで続けてきた人材投資については、LogiGearグループの子会社化によってテストエンジニア約500名を一気に獲得したこともあり、落ち着く可能性がある。ただ、自動化ツールを活用しても、テスト工程の100%自動化は難しく、規模は縮小しながらも人材投資は続く見込みとなっている。
3〜5年後にシステムテストの売上高100億円、テスト自動化案件比率70%を目指す
同社は、ゲームデバッグ事業に続く第二の収益の柱としてシステムテスト事業を拡大すべく、テスト自動化技術を有するLogiGearグループを子会社化し、システムテスト事業の非連続な成長を目指す戦略を掲げている。市場環境としては、アジャイル開発といった短期間でソフトウエアを開発する流れが浸透しているほか、クラウド化の加速によって操作性の向上・機能追加等の継続的なアップデートが発生している。これにより、短いサイクルでテストが多発しているほか、同じ環境・手順・設定のテストが発生しているため、結果的には低コストかつ効率的なテスト実行に対するニーズが拡大している。同社はテスト自動化でこれらの増加する需要に対応する。同社では今後、テスト自動化案件比率70%以上を目指しており、パラダイムシフトが起こっている業界におけるテスト案件獲得に注力する。ターゲットとする市場としては、1)テスト自動化と高い親和性があるソフトウエア、2)今後も継続的な成長が見込まれるマーケット、3)テスト工程のアウトソースが早いと見込まれるマーケット(社内リソースだけでは対応できないほどの膨大なテスト工数、自社内にシステムテストの知見を持つエンジニアが不在)を選定理由として、流通(eコマース)、自動車、情報・通信(アプリケーション)を挙げている。
システムテスト事業の数値目標については、2020年3月期に売上高25億円、2021年3月期に50億円、2022年3月期以降には売上高100億円達成を目指す計画である。テスト自動化案件比率においては、2020年3月期10%、2021年3月期40%、2022年3月期以降で70%とする計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
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