Eストアー Research Memo(4):蓄積した販促ノウハウで差別化、大企業への提供で事業の効率的な拡大を目指す
[19/09/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略と進捗状況
2. マーケティングサービス事業の成長戦略
マーケティングサービス事業では顧客の売上増大に向けた調査・分析やコンサルティング、業務運営代行などのサービスを提供している。人の手による人的依存度が高いサービスであることが特徴だ。このことは後述するようにプラス・マイナス両面がある。
Eストアー<4304>がマーケティングサービス、とりわけコンサルティングの強化に注力する背景には、前述のような社会情勢・事業環境等の認識がベースとしてある。事業成功のための3要素は「良いもの」、「良い市場」、「良い情報」だが、現状はそれぞれ「物余り」、「人口減」、「情報過多」ということでモノが売れない状況となっている。その中で売上げを伸ばすには顧客との距離感をどう最適化するかにかかっているというのが戦略の根本だ。それを実現すべく同社がコンサルティングサービスを提供するのがマーケティングサービス事業ということだ。
そのマーケティングサービス事業の売上高は、2018年3月期まで極めて順調に成長してきたが、2019年3月期は前期比増収率が5.2%と急減速した。この要因は、前期の特需にある。これは計画外の受注であったと言う意味で、多くは季節的なプロモーション強化のための受注だ。ただ、この特需を差し引くと継続して二桁成長していると言える。もう1つ、新規顧客獲得が第3四半期後半までにほとんど進捗しなかったことも要因だ。
この点については、2017年8月に行った大規模組織改編の影響が出たとみられる。全社ベースで幹部ポジションの若返りを図ったことがその内容だ。2019年3月期は新体制下で事業計画を作成して取り組んだものの、若返りのマイナス面が先に出る形となって、事業計画を大きく下回って推移したとみられる。
こうした新規契約の獲得は、2019年3月期第4四半期(2019年1月〜3月)から徐々に改善し、2020年3月期第1四半期に入ると、契約が安定したペースで入るようになってきている。同社はコンサルティングが人的依存度の高いサービスであるなかで効率性を上げるために、(例えば年間契約額が1,000万円を超えるような)大口顧客の獲得に特化するような営業を行ってきている。この点も2018年の受注低迷につながった一因だが、2019年に入ってからはこうした大口案件の契約が着実に積み上がってきている状況だ。
軌道に乗りつつあるマーケティングサービス事業であるが、この事業は人的依存度が高いサービスという特徴がある。そのプラス面としては他社にまねされにくいということを挙げることができる。一方マイナス面は、人材(コンサルタント)の獲得や育成に時間を要するため、キャパシティを容易には増やせないということがある。この点については、売上成長をにらみながら一貫して人材投資を行ってきている。正確には毎年人材投資には十分な予算を割いて事業計画を立てている。ここ数年は想定したほどコンサルタントの獲得・育成が進まず、結果的に費用が想定を下回る展開が続いている。その結果、利益が期初予想を上回る着地となっているが長い目で見れば決して喜べることではない。
2020年3月期について同社は減益予想をしているが、この要因もここにある。中長期的な見地からは、今期は予定どおりに減益となることがむしろ好ましいと弊社では考えている。こうした状況については決してだらだらとは続かないと弊社ではみている。予算上は例年5人〜10人のコンサルタント増員を想定しているとみられ、計画通りに採用・育成が進めば2〜3年で目指す陣容を確立できると弊社ではみている。同社の人選基準を維持しながら、できるだけ早期に人材拡充を達成することに期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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2. マーケティングサービス事業の成長戦略
マーケティングサービス事業では顧客の売上増大に向けた調査・分析やコンサルティング、業務運営代行などのサービスを提供している。人の手による人的依存度が高いサービスであることが特徴だ。このことは後述するようにプラス・マイナス両面がある。
Eストアー<4304>がマーケティングサービス、とりわけコンサルティングの強化に注力する背景には、前述のような社会情勢・事業環境等の認識がベースとしてある。事業成功のための3要素は「良いもの」、「良い市場」、「良い情報」だが、現状はそれぞれ「物余り」、「人口減」、「情報過多」ということでモノが売れない状況となっている。その中で売上げを伸ばすには顧客との距離感をどう最適化するかにかかっているというのが戦略の根本だ。それを実現すべく同社がコンサルティングサービスを提供するのがマーケティングサービス事業ということだ。
そのマーケティングサービス事業の売上高は、2018年3月期まで極めて順調に成長してきたが、2019年3月期は前期比増収率が5.2%と急減速した。この要因は、前期の特需にある。これは計画外の受注であったと言う意味で、多くは季節的なプロモーション強化のための受注だ。ただ、この特需を差し引くと継続して二桁成長していると言える。もう1つ、新規顧客獲得が第3四半期後半までにほとんど進捗しなかったことも要因だ。
この点については、2017年8月に行った大規模組織改編の影響が出たとみられる。全社ベースで幹部ポジションの若返りを図ったことがその内容だ。2019年3月期は新体制下で事業計画を作成して取り組んだものの、若返りのマイナス面が先に出る形となって、事業計画を大きく下回って推移したとみられる。
こうした新規契約の獲得は、2019年3月期第4四半期(2019年1月〜3月)から徐々に改善し、2020年3月期第1四半期に入ると、契約が安定したペースで入るようになってきている。同社はコンサルティングが人的依存度の高いサービスであるなかで効率性を上げるために、(例えば年間契約額が1,000万円を超えるような)大口顧客の獲得に特化するような営業を行ってきている。この点も2018年の受注低迷につながった一因だが、2019年に入ってからはこうした大口案件の契約が着実に積み上がってきている状況だ。
軌道に乗りつつあるマーケティングサービス事業であるが、この事業は人的依存度が高いサービスという特徴がある。そのプラス面としては他社にまねされにくいということを挙げることができる。一方マイナス面は、人材(コンサルタント)の獲得や育成に時間を要するため、キャパシティを容易には増やせないということがある。この点については、売上成長をにらみながら一貫して人材投資を行ってきている。正確には毎年人材投資には十分な予算を割いて事業計画を立てている。ここ数年は想定したほどコンサルタントの獲得・育成が進まず、結果的に費用が想定を下回る展開が続いている。その結果、利益が期初予想を上回る着地となっているが長い目で見れば決して喜べることではない。
2020年3月期について同社は減益予想をしているが、この要因もここにある。中長期的な見地からは、今期は予定どおりに減益となることがむしろ好ましいと弊社では考えている。こうした状況については決してだらだらとは続かないと弊社ではみている。予算上は例年5人〜10人のコンサルタント増員を想定しているとみられ、計画通りに採用・育成が進めば2〜3年で目指す陣容を確立できると弊社ではみている。同社の人選基準を維持しながら、できるだけ早期に人材拡充を達成することに期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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