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毎日コムネット Research Memo(1):2020年5月期通期は7年連続の増収増益予想

注目トピックス 日本株
■要約

毎日コムネット<8908>は、学生寮・学生マンションの企画・設計・開発・募集・運営管理、合宿旅行、大企業の新卒採用支援、再生エネルギー発電などの様々な事業を展開するサービスカンパニーである。1979年に大学生の合宿研修に特化した旅行業からスタートし、2002年にはJASDAQ市場に上場。その後、学生向けマンションの開発・管理・サブリース(転貸)及びREIT等の投資家向けの物件販売事業に業容を拡大し、現在の主力事業に育て上げた。大企業の新卒採用関連サービスは、2015年に(株)ワークス・ジャパンを連結子会社化し、第三の柱となっている。大学生の様々な生活シーンを一気通貫で支援する唯一無二の企業である。2018年5月に東証2部、同年11月には東証1部に昇格した。

1. 事業概要
同社の事業セグメントは、不動産ソリューション事業と学生生活ソリューション事業の2つ。不動産ソリューション事業の中でも不動産マネジメント部門が主力であり、首都圏を中心に大学周辺の学生寮・学生マンション203棟9,520戸(2019年5月期)の募集・運営管理を行う。首都圏の大学生・大学院生の数は過去安定的に推移しており、特に同社物件の主要な対象となる女子大学生は増加傾向にある。一方、学生寮・学生マンションの供給量は少なく需給ギャップは解消されていない。2019年4月時点の入居率は14年連続で100%を誇っており需要の高さを証明する。不動産デベロップメント部門における近年の開発物件の中では、ニーズの高い寮タイプ(食事付き)が比率を高める。企画・設計・開発から募集、運営管理までを一気通貫で行うことにより、強靭なビジネスモデルが構築されている。

学生生活ソリューション事業は、課外活動ソリューション部門と人材ソリューション部門の2部門。同社設立当初から続く課外活動ソリューション部門では、合宿旅行商品販売を始めとした多様な商品・サービスを提供。人材ソリューション部門は主に連結子会社ワークス・ジャパンの事業であり、大企業・中堅企業の新卒採用を支援する様々なサービスを展開し成長を続ける。

2. 2019年5月期通期の業績
2019年5月期通期の連結業績は、売上高で前期比3.6%増の17,411百万円、営業利益で同15.0%増の2,033百万円、経常利益で同14.6%増の1,925百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同14.9%増の1,250百万円となり、6年連続の増収増益を達成した。売上面では、不動産マネジメント部門が順調に拡大したのに加え、人材ソリューション部門が業績を伸ばし、増収増益に貢献した。不動産マネジメント部門では、総管理戸数が203棟9,520戸(前期末から502戸増)と順調に積み上がり、入居率(2019年4月時点)も14年連続100%と好調を維持した。人材ソリューション部門では、企業の旺盛な新卒採用活動とともに、インターンシップ(就業体験)を早期に導入する企業が増えたことなどが追い風となった。営業利益は、人件費を始めとする販管費の増加があったものの、不動産ソリューション事業等の売上総利益の増加の影響が上回り、大幅な増益となった。特に不動産マネジメント部門の売上総利益増325百万円の寄与が大きかった。営業利益率は11.7%(前期比1.2P上昇)と2ケタの水準を維持しており、収益性の高いビジネスモデルを築いていることがわかる。

3. 2020年5月期の見通し
2020年5月期の業績予想は、売上高で前期比9.8%増の19,120百万円、営業利益で同4.7%増の2,130百万円、経常利益で同5.5%増の2,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同7.2%増の1,340百万円と、7年連続の増収増益を予想する。中期経営計画の3年目に当たる2020年5月期は、中期経営計画で掲げてきた売上高・各利益計画を上方修正した。2020年5月期も不動産ソリューション事業が全社業績をけん引する予想。不動産デベロップメント部門では開発戸数が多く、5棟1,137戸(前々期253戸、前期596戸)がオープン予定。そのうち857戸は東京大学目白台インターナショナルビレッジである。不動産マネジメント部門においては、前期増加した管理戸数が継続して業績貢献するのを始め、総管理戸数10,657戸(前期比11.9%増)を計画する。引き続き学生マンションの需要は堅調であり、食事付き学生マンションのブランド化や留学生対応の充実策なども進捗しており、15年連続4月入居率100%達成に向けて視界良好である。同社のビジネスモデルは、主力の不動産マネジメント部門やエネルギーマネジメント部門をはじめとしてストックビジネスの割合が高く、その他の部門もリピート性が高く、安定的な成長を見通すことができる。3ヶ年中期経営計画の最終年度(2020年5月期)は、不動産ソリューション事業の安定成長がけん引し、計画を上回る可能性が高いと弊社は予想する。

4. 成長戦略・トピック:食事付き学生マンション「カレッジコート」のブランド化に取り組む。東大目白台インターナショナルビレッジが2019年9月オープン
同社の学生マンション・学生寮の中でも「カレッジコート」ブランドで展開する食事付き学生マンションが人気である。近年の開発物件の中でも食事付きが過半を占めており、2019年5月期の開発物件では510戸(全開発戸数596戸の約86%)、期末管理戸数で3,235戸(全管理戸数9,520戸の約34%)に達する。学生マンションは親が契約の意思決定を行うため、食生活に心配のない「食事付き」を選ぶケースが多い。カレッジコート(食事付き)の食堂は、現代風のデザインの明るいカフェのような空間で入居者間のコミュニケーションの場でもある。同社では社内に1級建築士がおり、地域や土地の形状、大学の特徴などに応じて丁寧にデザインされ、資材調達されるため、1つとして同じデザインはない。食事の内容も充実している。22時まで作り置きなし、健康志向の充実した献立、病気の際は病人食を提供、等こだわりの食事を提供する。専門サイトでのPRも強化しており、「カレッジコート」のブランド化を推進する考えだ。

2019年9月に東京大学目白台インターナショナルビレッジがオープンした。この国際学生寮は、総戸数857戸、約1,000名収容可能な巨大な施設であり、留学生や外国人研究者が入居対象者(日本人学生も含む)となる。入居者のコミュニケーションの促進を意図してシェア型住居(704戸)が多い一方、独立型住居(153戸)では入居者の所属・家族構成・多様なライフスタイルに対応する。同社が主力とするサブリース契約ではなく総合管理契約のため同社業績へのインパクトは限定的。同社の開発・運営ノウハウにより、大学の先進的な取り組みを支援するフラッグシップ事例として期待したい。

5. 株主還元策:2019年5月期は配当金28円(6円増配)、配当性向40.3%。今後も安定配当が期待できる
同社は、安定的な経営基盤の確保と自己資本利益率の向上、安定的な配当の継続を業績に応じて行うことを基本方針としている。2017年5月期まで30%以上を堅持してきた連結配当性向は、2018年5月期以降35%を目安に修正された。2019年5月期以降も35%以上を継続する計画である。2019年5月期の配当金は年28円(6円増配、東証1部指定の記念配当3円を含む)、連結配当性向は40.3%となった。増益と配当性向の上昇が重なり、大幅な増配となった。2020年5月期は、配当金28円、配当性向37.6%を予想する。安定的な増益により今後も安定配当が期待できる。

■Key Points
・学生寮・学生マンションの企画・設計・開発から大企業の新卒採用支援まで幅広く展開する東証1部上場のサービスカンパニー。
・少子化のなかでも首都圏女子大学生数は増加トレンド。就活でのインターンシップ普及が人材ソリューション部門の追い風に
・2020年5月期通期は7年連続の増収増益予想。主力の学生マンションが業績をけん引。15年連続入居率100%を目指す
・食事付き学生マンション「カレッジコート」のブランド化に取り組む。東大目白台インターナショナルビレッジが2019年9月オープン
・2019年5月期は配当金28円(6円増配)、配当性向40.3%。今後も安定配当が期待できる。株主数が増加し流動性向上

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


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