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GMOペパボ Research Memo(9):インフラサービスの成長をベースにプラットフォーム化を推進

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. 今後の成長戦略
GMOペパボ<3633>は今後の成長戦略として、「表現活動を支援する会社として圧倒的No.1」を目指すことを打ち出した。インターネット上の表現活動を支えるインフラサービス(ロリポップ!、ムームードメイン等)に加えて、利用者同士が結びつくプラットフォームサービス(minne、SUZURI、カラーミーショップ等)を積極展開し、また、資本提携やM&A等も活用しながら成長スピードを加速していく考えだ。資本提携やM&Aの対象としては、「カラーミーショップ アプリストア」の開発ベンダーのほか、「minne」のプラットフォーム活性化に寄与する企業、同社サービスと親和性の高いサービスで顧客基盤を持つ企業などが考えられる。

(1) EC支援事業
EC支援事業では、「カラーミーショップ」におけるアプリストア戦略が注目される。ECによるアプリストアの成功モデルとしてカナダのShopifyが挙げられる。ECショップ作成サービス「Shopify」のアクティブ店舗数で80万店舗以上、総流通額で4.4兆円の規模に達している急成長企業だ。成長の原動力となっているのが「Shopify App Store」で、2009年にリリースして以降、登録アプリ数は2,400件以上、店舗当たりの平均インストール数は6件(アプリ利用店舗数は87%の70万店舗)、有料アプリの平均利用金額は3,138円となっている。

同社は国内で約4万店舗のECショップを顧客としており、2018年12月期の流通総額は1,300億円と年々拡大している。顧客店舗の商材もファッション・アクセサリーから日用雑貨、食品・飲料、玩具・ゲーム等多岐に広がっているが、カテゴリーごとに必要となる機能も異なり、こうしたニーズに対応していく基盤がアプリストアとなる。今後、アプリの種類が増えてくれば利用顧客数も増加し、同事業の収益成長も加速していくものと予想される。

そのほか、EC支援事業での取り組みとしては2019年5月に発表した全国商工会連合会との包括連携協定の締結が注目される。具体的な取り組みとしては、全国商工会連合会の80万超の会員事業者(自営業者、中小企業等)のうち、6万超の会員事業者が利用しているホームページ作成ツールが2020年3月末でサービスを終了することに伴い、これら会員事業者及び新たにホームページの作成を希望する会員事業者に対して、同社のサービスである「グーペ」を特別プランとして無償提供するというもの。また、これら会員事業者がEC事業を希望する場合は、「カラーミーショップ」の導入やマーケティング・集客方法を学ぶセミナー等のイベント開催も行っていく。さらには、自営業者や小規模事業者の資金繰りの課題解決に向けたサービスとして「FREENANCE」の提案や、その他グループのサービスの提案も必要に応じて行っていく予定にしている。同社にとっては「グーペ」のサービスをきっかけとして、各種サービスの顧客増加につながる可能性があり、2020年以降の収益に貢献するものと期待される。

(2) ハンドメイド事業
「minne」については今回、「CtoCハンドメイドマーケット」から「ものづくりの総合プラットフォーム」へと再定義を行った。ここ数年、3Dプリンターやレーザーカッター等の生産技術の革新が進んだことや、シェアリングエコノミーの拡大により第三者に生産を委託することが容易となり、様々な手法で作品を創作することが可能となったためだ、こうした市場環境の変化に対応し、従来は創作者自身の出品に限定していたが、今後は第三者が作った作品や企業の出品についても、同社の審査基準をクリアすれば可能とした。

参加企業については伝統工芸品や障がい者によるアート作品の販売を行っている企業等を視野に入れているほか、個人作家にとって自身の作品の価値が上がるような商品や企業等の参加を想定している。2019年8月時点で10社程度が出品の意向を示しており既に数社が販売をスタートしている。今後も参加企業等を増やしていくことで「minne」の流通規模の拡大を図っていく。

一方、作家(表現者)に対する支援という面では、ワークショップの機会を提供し、受講者にものづくりの魅力を伝える「講師」という新たな活躍の場を創出していく取り組みを進めていく。具体的な取り組みとして、2019年7月に国内最大級の会員制シェア工房「Maker's Base」を運営する(株)Maker'sと業務提携を発表し、国内でのワークショップの共同開催を行っていくほか、今後は海外での共同開催の検討を進め、オンライン販売だけでなくオフラインでの収益獲得も進めていく。

(3) フリーランス向け金融支援サービス
2019年より子会社で開始したフリーランス向け金融支援サービスについては、まだ規模こそ小さいものの、当初の想定を上回る申し込み件数と約80%の高いリピート率となっていることから、同サービスに対するニーズは極めて強く、今後収益柱の1つとして育つ可能性のある事業として注目される。利用者の主な職種はプログラマーやデザイナー等となっており、1回当たりの平均買取り額は20万円程度と想定よりも高く推移している。

同様のサービスを提供する企業が出てきていることもあり、同社はフリーランスの顧客基盤を持つ会社と提携を進めることで、これらの潜在ニーズを早期に取り込んでいく戦略だ。既に、freee(株)と業務提携し、API連携により会計ソフト「freee」で作成した請求書から簡単に「FREENANCE」に買取申請できる機能の提供を2019年8月から開始しており、クラウドソーシング等のプラットフォーマーとの連携も検討を進めている。

潜在的な市場規模としては、請求書(売掛債権)の買取額で約5千億と同社では試算している。これは、国内の専業のフリーランス人口約228万人※に、平均年収432万円及び「FREENANCE」の想定利用率5%を掛け合わせた数値となる。手数料率は利用頻度に応じて3〜10%に設定しているため、5%と仮定すると同社の売上ポテンシャルは250億円に相当することになる。

※2019年7月に内閣府が発表した推計値。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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